呪術師という職業で世界最強!   作:リーグロード

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執筆が中々進まない。因縁の相手は階段とか無個性でアーマー纏ってヒーローしてもいいですか?とか、ポンポン連日投稿してくる連中が悪い!(八つ当たり)


パンは剣よりも強し

 王城から飛び出して数分でマルクとメグミたちがいる街に辿り着く。

 本来ならば馬を飛ばして走っても半日以上は掛かる道のりを数分という僅かな時間で移動出来るのだから、やはりこの肉体と術式はチートである。

 

「やっぱし馬車で行くよか自分で走った方が早く辿り着くな♪」

 

 目の前の街の入り口を見て愉快そうに笑う五条に突如として槍が突きつけられる。

 

「貴様何者だ!?」

 

 街を守護する門番は目の前に一瞬で現れた五条に警戒して武器を構えるが、ここ最近で名を上げている冒険者であると気づくと、構えていた武器をすぐにしまって敬礼のポーズをする。

 

「し、失礼いたしました! どうぞお通り下さい!!」

 

「うんうん、ご苦労さん。そんじゃ、お仕事頑張ってね~♪」

 

 槍を構えられたことに一切の不快さを示さず、門番に肩を叩いて激励の言葉を掛ける。

 五条がキレてないことに心から安堵した門番は魂ごと飛び出しそうな安堵の息を吐く。その後の彼の仕事はいつも以上に気合が入っていたとかいないとか……。

 

 そうして、街の中に入った五条はここで重大なことに気が付く。

 

「あっ! そういえば、マルクたちとの合流をどうするか決めてなかった。どうしよっかな?」

 

 マルクたちと別れる際は、急に先生と団長に攫われるような形で連れていかれたから、修行のメニューとして飯を食べろ! としか言っておらず、いつどこで落ち合うかなんて決めていなかったのだ。

 

「まあ、適当にふらついてたらそのうち出会うだろ」

 

 とはいえ、急いで会う理由もないし、五条はとりあえず目に付いた場所にふらふらと寄って行くことにした。

 

「さてと、何処に行こうかな? とりあえず飯食っとけって言ったし、美味いもの探しに飯屋でも梯子すっかな」

 

 さて、どこにするかと辺りを見回していると、ふと見覚え……というよりも、メグミたちと出会う切っ掛けとなったパン屋が目に付いた。

 

「おーい! 商売繫盛してる?」

 

「ん? おおっ! これはこれは、よく来てくださいました。お噂は耳にしましたよ。何でも誰も倒したことのない魔物を倒したとか」

 

「まあね、あの程度の魔物なんか俺からしたら大袈裟だけど。この世界の連中じゃ仕方ないか」

 

 やれやれといったばかりに肩を竦める動作をする五条に、パン屋の店主は手揉みしながら素晴らしいだの、流石はだのとベタ褒めしてご機嫌伺いをする。

 

「いや~♪ まあ、それほどでもあるけどね♪」

 

 見るからに分かりやすいほど調子づいている五条に、パン屋の店主は思い出したように昨日あった出来事を話す。

 

「そういえば、昨日なんですがね、あのガキ共が店にやってきてウチのパンを買っていったんですよ!」

 

「そりゃ、俺が仕事を手伝わせて金をやったからな。あいつらは別に好きで盗みをしてたわけじゃなくて、金がないから仕方なく盗んでただけだ。ちゃんと仕事と金さえ渡せば買い物ぐらいするさ」

 

「は~なるほど、確かに言われてみればそうですね」

 

「これで約束通り問題は解決だ」

 

 あの日約束した通り、あいつらは今後この店だけでなくもう盗みを働くことがないだろうことを理解して、パン屋の店主は五条に頭を下げる。

 

「ありがとうございます! ですが、今考えてみると悲しいものですね。あいつら、魔族との戦争の為に国に納める税が理由で捨てられたんでしょうね。不甲斐ない大人を恨めばいいのか、攻めてくる魔族を恨めばいいのかどちらなんでしょうね?」

 

 実に重い話であると同時に、五条にとっては耳に痛い話だ。今回の王城に連れ去られた理由も戦争参加への意思変更の願いだった。

 神が選んだ勇者とはいえ、この世界でもまだ子供と呼べるような年齢の集団を戦争に送り込む程に人類は追い込まれているのだ。

 

 それを聞いても動きはしない五条。ここで他の小説の主人公ならば、実は内心ではこの世界の問題はこの世界の人間が解決すべき! だとか、敵にもなにか事情があるかもしれない? それが分かるまでは! などといった高潔な意思で人気を獲得しようと後で思いついた設定を途中でぶっこむかも知れないが、この作中の五条は違うと断言する!!! 

 

 こいつは本当に面倒臭いから戦争に参加しないし、この話を聞いても今更参加すんのも何か嫌だと内心で考えている。

 というか、なんかいい感じに天之河が上手く戦争を終結させるだろうと安易なことを考える始末だ。

 

「まあ、心配しなくても神様が送ってきた勇者一行が何とかするでしょ! 店主は心配せずにパンを焼いてりゃいいよ」

 

「そうですな。私ごときが心配したところで戦争の結末が変わる訳でもあるまいし、余計な心配事でしたな」

 

「そうそう。あっ、そうだ! そのメグミ……俺が引き取ったガキたちなんだけどさ、今どこにいるか知らない? ちょっと俺の用事で別れちゃったからさ、今どこにいるか知んないんだよね」

 

「そうですか? すみませんが私も昨日会ったばかりで居場所までは……、あっ、そうだ! 昨日ちょっと興味本位であいつらが今どこで寝泊まりしているのか聞いたんですがね、どうやらギルドで寝泊まりしているようなんで、ギルドに行けば居場所が分かるかもしれませんよ」

 

「ああ……、そういえば、あいつらあの日は仮眠スペースで寝てたしな。寝床とかもあるか怪しかったし、先にギルドに向かってりゃ良かったのか」

 

 しくったなぁ! っと頭をかきむしると気分がスッキリしたの考えることを止めたのか、ふぅ~っと息を吐いて頭をかきむしる動作を止めた。

 

「あ~、まあ過ぎたことはいいや。そういや俺飯食いたくて店探してたんだったし、なんかまた適当にパンを持ってきてくれない? 金はほら金貨1枚で足りるだろ?」

 

 ズボンのポケットから金貨1枚を店主に投げると、それを落とさないように両手で慌ててキャッチした店主は目の色を変えて店に走って戻ってゆき、両手にパンが詰まった袋を携えて戻ってくる。

 

「お持たせ致しました! ご注文のパンです。どうぞ!!」

 

「おっ、サンキュー! そんじゃ、情報あんがとね。じゃ!」

 

「今後ともご贔屓にお願いします!」

 

 去ってゆく五条に深く丁寧なお辞儀を見せる……というよりも魅せる店主に対して、五条はあのパン屋を密かにお気に入り認定していた。

 

「さて、お土産のパンも買ったし、都合よくギルドに居ればさっさと修行をつけることができて楽なんだがな」

 

 袋に入ったパンを摘まみながら食べ歩きながらギルドを目指して歩く。

 

 口にくわえたパンを咀嚼しながら、ふと修業の内容が食べろだったから土産に食い物はミスったかな? と考えていると、目的のギルドが見えた。しかし、入り口から覗いたところに人だかりが出来ており、まだギルドに入ってもいないというのに何やら言い争うような怒鳴り声が聞こえてくる。

 

「こりゃ、なにか面白い予感がするな。こうしちゃいられねぇ! パン食ってる場合じゃねぇぞ!!」

 

 好奇心と野次馬根性に突き動かされた五条は、手に持ったパンを急いで口に詰め込んで吞み込み、騒ぎのするギルドへ走っていった。

 

 ギルドのなかでは見たことのない男と探していたメグミが口論……というより口喧嘩をしていた。

 

「ふっ、全く何度言ったらいいのかね? あんな偽物の剝製を飾って僕と同じ金ランクを名乗るだなんて、真っ当な冒険者である僕として嘆かわしいのだよ」

 

「だから、何度も言ってるだろ! あれは偽物なんかじゃなくて、正真正銘本物のベヒモスの頭だって。金ランクを自称するんならもっと目や頭を鍛えれば?」

 

「んな!?」

 

「あ~そっか、まともな方法で金ランクにならなかったから目も頭も弱いんだ」

 

「小僧貴様!? ……どうやら、五条とやらは噓つきなだけじゃなく、ガキの教育もまともに出来ない奴のようだな。仕方がない。少々荒っぽいが、ここは大人である僕が口のききかたというのを教える必要があるな?」

 

 一瞬腰に掛かった剣に手が伸びかけたが、流石にここでは人目があり過ぎるし、相手はまだ子供ということで冷静になった男は拳を握って殴る構えにでる。

 

「って、流石にそれはダメでしょ?」

 

 メグミが殴られるその寸前に、ちょうどタイミング良くこのギルドに入ってきた五条が間に入り、男の拳を片手で受け止める。

 

「っ!? なんだ貴様は?」

 

「五条さん!? 帰ってきてたのか!」

 

 その男の疑問はメグミが驚きの声を上げることで答えることになる。

 

「そうか、君が五条という冒険者の恥晒しか。あのような偽物の剝製をギルドの前に堂々と飾るとはプライドというものがないのかな?」

 

「……? 何言ってんの、あれが偽物って、そんな訳ないじゃん。まあ、雑魚にしてみれば認められない事実だから理解はしてやれるけどな」

 

 明らかに自身をバカにした言葉に男は憤慨する。

 

「貴様! まともな方法で金ランクに成り上がれない分際で、本物の金ランクであるこの閃刃のアベル様を雑魚呼ばわりだと!?」

 

 ついに腰に掛けていた剣を抜刀し、目の前にいる五条に突きつける。普通ならば剣を抜いた時点で周りの者が騒ぐかその場を収められそうな人物を呼びに行くかする筈だというのに、その場に集まっていた野次馬連中の一部は五条の姿を確認した瞬間、自分が座っていたテーブルに戻ってワインとツマミを注文してその後の展開を面白そうに眺めていた。

 

「さて、ここは先輩冒険者として、この世界の本当の厳しさというのをその身に教え込んであげよう」

 

 ふっ、とキザったらしい仕草に恐らく仲間である美女4人がキャー! っと騒ぎ立てる。

 当然、五条はそれを白けた目で見ており、その場にいる他の連中も同じような目でアベルを見ていた。

 

「おい! こりゃ一体何の騒ぎだ!!!」

 

 ギルドの奥の部屋から怒鳴り声を上げながらギルド支部長のバルス・ラプタがやって来た。

 

 そして、騒ぎの中心に五条がいるのを確認すると、全力で溜息を吐きながら事情を聴くために足を運ぶ。

 

「そんで、一体今度は何をやらかしたんだ五条?」

 

「ひっでぇ、マジで今回のはあっちの奴が喧嘩吹っ掛けてきたから俺が原因じゃねぇぞ」

 

 本当かというバルスの視線に、受付を担当していた受付嬢はコクコクと首を縦に振って肯定する。

 その事実に余計に深い溜息を吐いて頭をかくバルスにアベルが傍に寄って1つの提案をしてくる。

 

「バルス殿、僕には厳格な貴方が何故このような者を金ランクにしたのか分かりません。まさか、あんな偽物を渡されて信じたわけじゃないですよね?」

 

 なるほど、今回の騒ぎの原因は厄除け代わりにしたあのベヒモスの頭だったというわけか……。

 まさか、五条を相手に余計な真似を出させないために用意したものが、逆に仇になるとは思わなかった。

 

「いいか良く聞け。この五条という男はお前の想像の埒外にいるような化け物だ。あの入り口に飾ってあるベヒモスの剝製も偽物なんかじゃなく正真正銘この男が獲ってきた本物だ」

 

「ふ~ん、ならこうしませんか? この僕と五条による1対1の決闘をする。当然、バルス殿が言うようにこの男が本当に金ランクにふさわしい実力者であるならば、無様な真似を晒すことはないでしょうしね」

 

 そのアベルの様子には自分が負けることは一切ないという自信が見て取れた。

 だがそれは、五条の実力を知る者にとっては滑稽でしかなく、周りの冒険者は普段から上から目線の坊ちゃん気質のアベルに心の中で中指を立てており、メグミに至っては漏れ出る笑いを必死に隠しながら笑っている。

 

「あ~、なんか面倒だし殺るんならさっさとやろうぜ?」

 

 やるの文字が違うのはただの誤字かそれとも……。

 

 とはいえ、それを了承の意と受け取ったアベルは抜いた剣を再び五条に向ける。

 

「さあ、君の武器を取り給え! それとも、ここでは人の目があるから場所を変えてほしいのかな?」

 

「はぁ~、仕方がないね。こっちも大人だ。ガキの戯言に本気で付き合ったらうるさく言われるし、こっちはこれで相手をしてあげるとするよ」

 

 そう言って五条が手にしたのは持っていた袋に入ってあった細長いフランスパンだった。

 

 それを本気か? といった目で見てきたアベルに対して、五条は「子供を相手に武器を使っちゃマズいでしょ?」と完全な挑発を放ち、それにカチンときたアベルは遠慮なくその手に持った剣を五条に振るう。

 

 仮にも金ランクの冒険者の攻撃だ。どんなものかと興味があったのだが、その結果は期待外れだった。

 

 五条は手に持ったフランスパンでアベルの剣を易々と受け止めると、更に力を込めてフランスパンを振り払って、アベルの持つ剣の刀身をへし折った。

 

「へあっ!? ──―ッゴパ!!?」

 

 その驚愕の事実に口を開いて驚くアベルの口に、五条は手に持ったフランスパンを遠慮容赦なく突っ込んで、そのまま頭から床に叩き付けるように乱暴に投げつける。

 

 ドゴン! という音を立てて床が破損し、アベルはその口いっぱいに詰め込まれたパンのせいで呼吸もできずKOされた。

 

 この間、実に2秒! という秒殺劇に、辺りは騒然となった。

 

「俺の世界じゃペンは剣よりも強し……ということわざがあるけど、これじゃパンは剣よりも強しだな」

 

 後頭部から思いっきり床に叩き付けられたアベルは完全に意識を失い、この決闘の勝者はまごうことなく五条であった。

 だが、その結果に納得していない者がいた。

 

「ちょっと、なんでアベル様の剣がフランスパンなんかで止められるのよ!?」

 

「そうよ! きっと何か不正を働いたに違いないわ!」

 

「やり直しなさいよ!」

 

「ちゃんと正々堂々と戦いなさいよ! この卑怯者!」

 

 散々な言われようだった。まあ、確かにフランスパンで剣を受け止めるだなんて普通はあり得ないことなのだが、それが出来るということはそれだけの実力差があるということ。

 仮に不正があったとしても、剣をフランスパンで受け止める不正ってなんだ? という質問で終わりだ。

 

 そんな不正をする意味も分からないし、そんなバカげた不正を見抜けないアベルの実力が無かったという結論で終わる。

 

 別にもう一度決闘をしてもよいのだが、その際に損をするのは余計に痛い目にあうアベルだということに取り巻きの美女たちは気づいていなかった。

 

 とはいえ、流石に気を失ったアベルをもう一度たたき起こしてまた決闘だ! なんて言っても、肝心のアベルがどう対応するか。

 あれは自意識過剰な劣化天之河といった存在だ。泣くまでいたぶってもいいが、さっさとメグミの修行に移りたい五条はサングラスを外して決闘のやり直しを叫ぶ美女4人にふっと微笑みかける。

 

「ねぇ、これ以上戦っても無駄だし俺の勝ちでいいよね?」

 

「「「「は、はい……///」」」」

 

 先程までやり直せと叫んでいたというのに、素顔の顔面偏差値限界突破であるイケメンの五条の微笑みにノックアウトされた美女たちは頬を赤らめて二つ返事で五条の勝ちを認めた。

 

((((((けっ、結局男は顔かよ!!!)))))

 

 それを見ていた強面の冒険者は内心で唾を吐き捨てた。

 




どうでしたかね?アベルのことを調べていたらギルド支部長じゃなくてギルドマスターだったという驚愕の事実にどうしよう?と悩みましたが、さして問題ではないのでこの作品ではバルスさんはマスターではなく支部長ということにします。

次のIFで五条が飛び込む世界

  • ゼロの使い魔
  • 七つの大罪
  • スレイヤーズ
  • オーバーロード
  • HUNTER×HUNTER
  • 蜘蛛ですが、なにか?
  • この素晴
  • ダンまち
  • 転スラ
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