呪術師という職業で世界最強!   作:リーグロード

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ようやくメグミに武器を持たせることが出来ました。
こっから修業編のスタート(すぐ終わる)です!


十指の式神

 前々回の掲示板回での安価を完了させた五条は、すぐさま街に戻ると、朝から修業前のウォーミングアップを兼ねたランニングをしていたメグミを発見し、建物の屋根からメグミの目の前まで飛び降りた。

 

「うぉ!!?」

 

「おっはよー! 今日も元気だねメグミ♪」

 

 突然、空から降って湧いたように現れた五条に驚きの声を漏らすメグミに、いつもながらマイペースに挨拶を交わす。

 

「朝から心臓に悪いんで、そういう登場の仕方は辞めろよ」

 

「いや~、いつもいいリアクションをしてくれるもんだからついね♪」

 

 てへぺろ♪ 顔で親指を立てる五条に、メグミは呆れたため息をこぼしてランニングを再開する。

 

「ちょっとちょっと、流石に無視して行っちゃうのは酷くな~い」

 

「酷くないです。こっちもあんたの無茶な修業に耐える為に体力が必要なんで、くだらない事で時間取らせないでくれ」

 

 ランニングとはいえ結構なスピードで走っているというのに、五条は後ろ向きで散歩するかのように平然と並んでくることにムカッ! ときたメグミは更に速度を上げるが、それでも五条は姿勢を変えずに並走してくる。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、なん……で……、そんな……ふざけた姿勢で……ついて……これんだよ!」

 

「そりゃ~俺が天才で天災だからとしか言いようがないね。これくらいの事も出来なきゃ最強は名乗れないからさ」

 

 なんだそりゃ? と意味が分からんといった表情で五条を見るメグミは考えることを止めて走ることのみに集中する。

 

 途中で五条のせいで自分のペースが狂ってしまったせいでかなり疲労してしまったが、ゴール地点であるギルドが目に入り、最後の力を振り絞って全力で駆け抜ける。

 

 その距離5m、4m、3m、2m、1m、ゴール!!! 

 

「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ……」

 

「お疲れサマンサ! 完走おめでとう。途中結構苦しそうに息吐いてたから無理かな~って思ったけど、メグミは結構根性あるよ」

 

 今は呼吸するのに精一杯で喋れないが、もし今喋れるのなら黙れよ本当に! と口にしてただろう。

 ってか、今こんな風になってんのはあんたのせいだからな! 

 

 恨み言もそこそこにようやく息が落ち着いてきた。最後にふぅ~っと体に残った熱された空気を吐き出してギルドに入って行く。

 

「いらっしゃいませ~。あら、メグミちゃん。もうランニング終わったの?」

 

 カウンターから顔を見せた受付嬢さんは、メグミの予想よりも早い到着に疑問をこぼしたが、後ろから続けて現れた五条を見て、その疑問は消し飛んだ。

 

「あの、五条様。お客様が奥の部屋でお待ちになっています。その~、今度は一体何をやらかしたんでしょうか?」

 

 青ざめた顔でこちらを伺う受付嬢にアッハッハッハ♪ と笑って懐からつい最近狩ったとある魔物の部位をカウンターの上に置いていった。

 

「あの、これってもしかしてベヒモスの爪では……」

 

 受付嬢の質問に答えることなく、五条はメグミを連れて奥の部屋に入っていく。

 その際、カウンターの方から「また上になんて報告すればぁぁぁ!!!」なんて悲鳴じみた声が聞こえて気もしたが、そんな事は自分には関係ないと割り切っている五条は一切気にもしていないし罪悪感も感じていない。

 

 ガチャリと扉を開いて部屋の中に入ってみると、そこには昨日武器の注文をした武器屋のオッサンが座って待っていた。

 

「おお、ようやく来よったか! 待っておったぞ!!」

 

「おっ! 待ってたのオッサンだったのか、ちょうどよかった。俺の方からもメグミを回収したらオッサンの店の方に顔見せに行くつもりだったからさ」

 

「そいつは好都合じゃな。いやなに、お主を待っていたのは他でもない、そこの小僧の武器の武器であるナイフとムチが完成したから急いで持って来たんじゃ!!」

 

「えっ、もう!? いくらなんでも早すぎない? もしかして、手抜きして作ったんじゃないの?」

 

「アホ抜かせ! 儂ら職人が武器づくりで手を抜くなんざ天地がひっくり返ってもあり得んわ!!」

 

「ふ~ん、なら早速で悪いんだけど、その出来た完成品の武器を見せてよ」

 

「構わんぞ! ほれ、この風呂敷の中に入っておるわ!」

 

 ソファーの横に置いてあった風呂敷をテーブルの上に置くと、固く結んで風呂敷を紐解くと、そこからまさしく物語にでも出てきそうな程の雰囲気を纏ったナイフとムチが姿を現した。

 

「これが、俺の武器……」

 

 まるで壊れ物を扱うようにメグミはゆっくりと優しく握りしめる。

 

「ほ~う、これ程まで完成度の高い品を一晩で作るなんて、一体どういう手品を作ったんだ?」

 

「おお、ワシの知り合い全員に声を掛けてな。ベヒモスの素材をタダで手に入るチャンスがあるぞと一声漏らせばハイエナのように群がってきおってな。急ピッチで終わらせたって訳よ!」

 

 ガッハッハッハ!!! と笑いながら腕をまくって自慢してくる。

 

 なるほど、そりゃ完成が早い訳だ。武器も一目見て申し分なさそうだし、これならベヒモスの素材を渡すのも文句無いな。

 

「さて、そっちが依頼を完了させたんだ。こっちも依頼の品を出すとしようか」

 

「おう、そうじゃそうじゃ。っで、何処にあるんじゃベヒモスの素材は? それとも、これから迷宮に潜りに行くのか!?」

 

 目を輝かしながら子供のように急かしたてるオッサンに、五条はまあまあと落ち着かせてソファーに座らせる。

 

「オッサンのご所望の品はこれかな?」

 

 そうやって懐に手を突っ込むと、そこから爪や牙、更には角や皮に甲殻まで取り出して見せる。

 

「はぁ?」

 

「おお!! これが伝説の魔物ベヒモスの素材か!!! ほひょー!! 剣いや槍も……あるいは贅沢に使って鎧や盾も良いな。うぉ~、創作意欲が湧いてきよったぞ!!!」

 

 拳を握りしめながらテーブルに置かれた素材を全て風呂敷に無理矢理包み上げると、乱暴にドアを蹴破って出て行ってしまった。

 

「喜んで貰ったなら良かったけど、あれ程興奮するなんて職人ってのはどこの世界も一定以上の実力者は変わり種が多いもんだ」

 

「おい! 今の一体どういう仕掛けだよ?」

 

 そうベヒモスはかなりの巨体だ。その爪や牙1つ取っても人の懐に仕舞い込める代物ではない。

 それを1つどころか複数個取り出したことに驚きを隠せずにいるメグミは気になって五条に問い詰める。

 

「まあ、気になって当然だよね。オッサンは素材に夢中で気付かなかったようだけど……」

 

 気になっているであろうメグミに説明するように、両手の指を広げて自身の能力の一部を見せる。

 

 右手の親指に見たことのない文字のようなものが浮き出て纏わりついたと思えば、その指を折り曲げることで纏わりついてた文字が離れてテーブルの上で円を描くような形に配置され、その円の穴の中から一匹の生き物が現れた。

 

「お初にお目にかかります。私は五条様の式神の1体、ハムスチャンと申します」

 

「……」

 

 なんとそれは喋るネズミ……ならぬ喋る執事服を着たハムスターだった。

 

 状況を飲み込めずにポカーンとしかけるが、こういう状況に慣れたメグミは五条だからという結論を出して冷静になる。

 

「それで、こいつは一体何なんだ?」

 

「う~ん、もうちょっとだけいいリアクションを期待してたんだけど、あまり驚かないなら仕方ないっか」

 

 ツンツンと目の前でこっちを見上げているハムスターを指で触りながら、つまらなさそうにブ~ブ~っと文句を垂れる五条をジト目で睨んでいると仕方ないと説明を続けてきた。

 

「こいつは俺の10体いる式神の1体のハムスチャンだ」

 

「式神?」

 

「ああ、俺の十本の指にはそれぞれ契約した式神が憑いている。んで、式神ってのは……まあ、つまりるところ簡単に説明するなら何時でも手元に呼び寄せることができる部下と言った方が分かりやすいかな?」

 

「こいつが?」

 

 コツンと押すとポフッという擬音が聞こえてきそうなくらいに簡単に倒れるこいつが役に立つのかと疑問に覚えるが、次の瞬間にはその疑問は失せてなくなった。

 

「なら証拠を見せようか。ハムスチャン例のアレを取り出して」

 

「はい。ご主人様」

 

 唐突に自分の口の中に手を突っ込んだかと思うと、頬袋が膨らみ始め、そこから真っ黒な手袋をにゅるんっといった感じに出てきた。

 

「え? なにそれ?」

 

「あっ、これ? メグミも武器を持つようになったし、怪我の防止と滑り止めを兼ねたプ・レ・ゼ・ン・ト♪」

 

「キモい……」

 

「え~酷くない。まっ、いいけどね。んで、メグミが聞きたいのは手袋の事じゃなくてこのハムスチャンの能力のことだろ」

 

「そうだよ。この手袋の大きさからいって、明らかにそいつの口に収まる訳ねぇじゃん。ってか、人にプレゼントするもんを口から取り出すなよ」

 

「アッハッハッハ、大丈夫大丈夫。ほら、手袋に唾液とかついてないでしょ? こういう仕様なの。んで、こいつの力なんだけどね。要は頬袋の中に異空間を作り出してあらゆる物を出し入れすることが出来るんだよ」

 

 ポムポムとハムスチャンの頭をリズム良く叩いて上機嫌に説明するが、メグミにはある懸念が頭をよぎった。

 

(あれ? こいつがいるんなら迷宮に潜る際に俺らいらなくね?)

 

 その考えが顔に出ていたのか、五条は優しくメグミの頭を撫でてきた。急になんだと思って払いのけようとしたが、その時の五条の顔が無邪気そうに笑っているみたいで、何故かその手を払いのけることはしなかった。

 

「ま、メグミ程度じゃ俺の手は払いのけれないと思うけどね♪」

 

「やっぱりあんたムカつくわ!!」

 

「はっはっはっ♪ そんなムカつく俺なんだ。仕事に誰を連れていくかだとか、必要か必要ないかとか小さな事でメグミが悩む必要はないよ」

 

 グリグリと乱暴に頭を撫でましてきた五条にちょっと嬉しくなったが、流石にずっと乱暴に撫でまわしてくることにイラッときたメグミは「やっぱこの人の事を尊敬するなんてことは一生無いな」と思った。

 

 けど、この式神とやらがいたお陰で、懐からあんな風に色んな物を取り出す事が出来たのかと納得する。

 

 10本の指にそれぞれ式神がいるのなら、他にどんな式神がいるのか教えてもらおうとすると、部屋のドアが開いて支部長のバルスが中に入ってきた。

 

「おい! 五条!! お前またベヒモスを狩ってきたそうじゃないか!? それにさっきギルドから上機嫌で飛び出していったオーグの様子からしてお前がまた何か関わっているんだろ!? さあ、吐け。今度は一体どんなことをした」

 

 まさに鬼の形相といった面で詰め寄ってくるバルスに、君子危うきに近寄らずといったようにメグミはさっと五条の傍から距離を取った。

 

「ストップストップ! オーグってのは武器屋のオッサンのこと? それならメグミの武器を依頼した変わりにベヒモスの素材を渡しただけだよ」

 

「だけって……。お前なぁ、ベヒモスなんざ長い歴史でまだどの冒険者も討伐に成功したことのない伝説の魔物なんだぞ。それをたった数日のうちに2回も討伐するなんざ本来ならあり得ないことなんだよ、まったく……」

 

 どうしたもんかと困ったように頭をかく仕草をするが、その間にコッソリとメグミを手招きしてドアから逃げ出そうとした。

 

「ん? コラッ! 五条!!!」

 

「ヤベェ! とっとと逃げるぞメグミ!!!」

 

「なんで俺まで?」

 

 スタコラさっさと怒る支部長からメグミを連れて迷宮まで走って逃げ出した。その際に、受付嬢ちゃんからついでに幾つか迷宮でクリアできるクエストを受注してもらった。

 

「なあ、あの部屋にあんたの式神を置きッぱなしにしてきたけど大丈夫か?」

 

「ああ、ハムスチャンの事なら心配要らないよ。式神は自分の自由意思で消えることが出来るから」

 

「ふ~ん、ならいいやけど」

 

 さて、このまま迷宮まで行って夕方まで修業漬けというのもアリだが、俺なら全然問題は無いけど、まだ体力がそこまでついていないメグミじゃちょっと厳しそうだし、昼飯用の飯でも買っておくとするか。

 

「よし、メグミ。とりあえず、迷宮行く前に昼飯用の飯を買いに行くぞ」

 

「了解。行き先はいつものパン屋でいいの?」

 

「ああ、何だかんだあそこのパンがこの街で一番美味いからね♪」

 

 目的地が決まったのなら走る足は更に速くなる。一応メグミがついてこれる程度の速度に落としているとはいえ、並みの子供なら確実に文句の言いたくなるような速さだったが、強くなるという目的を持つメグミは、息を切らしながらも泣き言1つ零さず五条の後ろをピッタリくっついて走る。

 

(やっぱり、実力はまだ到底足りてないけど、才能はある。努力を苦にしても投げ出さない精神力も持ち合わせているな、こういう若い芽を見ると育てがいがあるってもんだね♪)

 

 ふんふ~ん♪ と思わず鼻歌を口ずさんでしまうくらいに上機嫌になるほどメグミという人間は五条にとって好感の持てる存在だ。

 

 そうこうしていると、目的のパン屋が見えてきた。後ろをチラリと覗き見ると、玉のような汗をかいてはいるが必死に喰らいついているメグミがちゃんといた。

 

 この街は迷宮のおかげで発展しているお陰でかなり広い。ギルドからパン屋までの道のりは軽く1駅分くらいはある。

 その道のりを10分かそこらで踏破するのは子供なら充分な偉業レベルの難易度だが、それをギリギリの状態とはいえメグミは達成してみせた。

 

「お疲れ様メグミ。はい、これでそこの店でジュースでも買って少し休んでな。これから迷宮に行くんだ。少しでも体力は戻しときなよ」

 

 膝に手をついて息を切らせながらも、五条から手渡された金を握りしめて息を整えながら歩いてジュースを販売している店に足を運ぶ。

 

「いらっしゃい。あら、どうしたのボク? 随分と急いできたみたいな感じだけど。何か飲みたいものでもあるのかい?」

 

 この店は人のよさそうなおばちゃんが店番をしており、商品は果実を絞って作るフルーツ系のジュースと、コーヒー等の飲み物を代表的に売っている。

 

「じゃあ、このアップルジュースを1つ」

 

「はいよ。銅貨3枚いただくよ」

 

 おばちゃんに銅貨を3枚手渡すと、新鮮な果実を絞って酸味のレモンを1滴零すことで甘く美味そうなアップルジュースが出来上がる。

 

 渇いた喉を潤す為に一気に飲み干すと、パン屋から3つの袋を携えた五条が出てきた。

 

「ちゃんと休憩は出来たかな? 昼飯用のパンと肉は買ったし、早速迷宮に行こうか」

 

 流石にこれから命の危険がある迷宮へ向かうのに走って貴重なスタミナをバカみたいに消費することはない。

 体力をつける為とはいえ、馬鹿正直にずっと走らせるのは愚の骨頂。故に、迷宮までの道中はナイフとムチを使った戦闘方の簡単な説明と、それによって切り抜けられる危機的状況の例を幾つか出して覚えさせる。

 

「──―っとまあ、近接戦闘におけるナイフの有用性は理解したかな?」

 

「はい。っといっても、今の俺にそこまでの芸当ができるとはあまり思えませんが……」

 

「確かに、力や技術が無い人間が下手にナイフを振り回せば敵どころか自分を傷つけかねない。けど、大丈夫。その為のサブウェポンのムチだし、何よりもメグミには才能がある。それは前の迷宮における戦闘でよく分かったからね」

 

 笑う五条の大丈夫にナイフを扱うことへの心の中に僅かにあった漠然とした不安が薄れてゆく、迷宮での修業がほんの少しだけ楽しみになってきた。

 




なんか今回の話は自分で読んでても地味だなぁ~って思ったし、前々から(2話の  お爺ちゃんの宗教は仏教それともキリスト教?えっ、エヒト教!やめときなあれ邪教だから)の懐から物を取り出す理由として式神とかいいじゃんと考えたけど、結構説明が雑だったと思う。
正直言ってこの話をスキップしても問題ないんじゃなかろうか?という漠然とした不安が作者の胸に燻っている。
そんな作者を救って次話投稿への活力を与えるのは読者諸君らの感想しかない。

応援メッセージ待ってます。

次のIFで五条が飛び込む世界

  • ゼロの使い魔
  • 七つの大罪
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  • オーバーロード
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