2022年は神アニメになるように祈りを捧げましょうか。
お爺ちゃんの宗教は仏教それともキリスト教?えっ、エヒト教!やめときなあれ邪教だから
教室に視界が真っ白になるほどの眩い光がおさまると、そこは見慣れた教室ではなく、大理石で造られているであろう巨大な広間だった。
目の前には後光を背負い長い金髪を靡かせうっすらと微笑む中性的な顔立ちの人物が描かれている巨大な壁画が飾られていた。
周囲には先程まで一緒にいたクラスメイトが立っており、中には状況が吞み込めずへたり込んでしまっている者もいる。
そんな中で、五条だけは鼻歌まじりに歩いて、この状況を説明できそうな、祈りを捧げている者たちに話しかける。
「ねぇねぇ、これって君たちがやったの?」
まるで子供が遊びに入れて欲しいとお願いするぐらいの軽いノリで聞いてくる五条に対し、祈りを捧げている集団の中でも、特に煌びやかで豪華な服を身に纏う老人が一歩前に出て五条の質問に答える。
「その質問の答えには『はい』であり、『いいえ』であると答えさせてもらいましょうか」
「ふ~ん、明確には答えないつもりね……」
「いえいえ、この話しは少々長くなりそうなので、ここでは皆様方も楽にできないでしょうから、どうぞこちらへ……」
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そして、案内されたのは十メートル以上ありそうなテーブルが幾つも並んだ大広間だった。
案内した老人の名はイシュタルといい、どこぞの美の女神と同じだった為に、五条は「けっさく~♪」と言いながら腹を抱えて笑ったので、皆が顔を真っ青にして五条の口を抑え込みに行った。
「さて、勇者様。ようこそ、トータスへ。そしてご同胞の皆様。あらためて歓迎致しますぞ」
皆が席に座ると、イシュタルさんが頭を下げて歓迎の言葉を投げかけてくる。
それと同時に、カートを押しながら美人なメイドさん達が入ってきてお茶を入れてくた。
男子は(五条や光輝を除く)メイドに視線が釘付けになり、それを女子が冷たい目で見ていた。
全てのカップに紅茶が注ぎ終わると、イシュタルが話し始めた。
「さて、あなた方においてはさぞ混乱していることでしょう。一から説明させて頂きますのでな、まずは私の話を最後までお聞き下され」
そこから異世界系のテンプレで、魔人族という悪い奴がモンスターを支配する術を手に入れ、今や人族は窮地に追いやられているから助けて欲しいという願いだった。
「あなた方を召喚したのは〝エヒト様〟です。我々人間族が崇める守護神、聖教教会の唯一神にして、この世界を創られた至上の神。おそらく、エヒト様は悟られたのでしょう。このままでは人間族は滅ぶと。それを回避するためにあなた方を喚ばれた。あなた方の世界はこの世界より上位にあり、例外なく強力な力を持っています。召喚が実行される少し前に、エヒト様から神託があったのですよ。あなた方という〝救い〟を送ると。あなた方には是非その力を発揮し、〝エヒト様〟の御意志の下、魔人族を打倒し我ら人間族を救って頂きたい」
そういうとイシュタルはトリップしたかのように恍惚こうこつとした表情を浮かべている。
これは悪いパターンだ。神という免罪符であらゆる手段も正当化する。典型的な悪役の立ち位置に、このイシュタルは立っている。
もしかすると、いざという時に自分たちも神の為に死ねるのだ光栄であろう。などと言って処分されるかもしれないと、ハジメは恐ろしい想像をしてブルリと体を震わす。
そんな最悪の未来を考えていると、突然立ち上がり猛然と抗議する人が現れた。
愛子先生だ。
「ふざけないで下さい! 結局、この子達に戦争させようってことでしょ! そんなの許しません! ええ、先生は絶対に許しませんよ! 私達を早く帰して下さい! きっと、ご家族も心配しているはずです! あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」
プリプリと怒る姿にクラスメイト達はほんわかとした表情で見守っていると、次のイシュタルの言葉にその表情が凍りついた。
「お気持ちはお察しします。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です」
「ふ、不可能って……ど、どういうことですか!? 喚べたのなら帰せるでしょう!?」
「先ほど言ったように、あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えませんのでな、あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様の御意思次第ということですな」
「そ、そんな……」
帰れないと知ってヘナヘナと椅子に力なく座り込む。周りの生徒達も口々に騒ぎ始めた。
「うそだろ? 帰れないってなんだよ!」
「いやよ! なんでもいいから帰してよ!」
「戦争なんて冗談じゃねぇ! ふざけんなよ!」
「なんで、なんで、なんで……」
誰もかれもがパニックになって騒ぎだてる。無理もない。平和な日本では戦争どころか、喧嘩ですら警察が呼ばれすぐに沈静化されるのだ。
ここにいるクラスメイトたちも、暴力沙汰なんて、精々が子供の喧嘩程度しかないのだろう。
それがいきなり連れてこられて「我々のために敵を殺してください」なんて遠回しに言われてパニックを起こすなと言う方が無理である。
そんな中、ハジメはこの大広間に着いてから一言も発さない五条の方に目がいった。いつもの彼ならば真っ先に抗議の声を挙げそうなものなのに、何故かだんまりを決め込んでいることに疑問がいったからだ。
そんな彼が見つめる先にはイシュタルが立っている。そのイシュタルは特に口を挟むでもなく静かにその様子を眺めていた。
だが、ハジメは、なんとなくその目の奥に侮蔑が込められているような気がした。今までの言動から考えると「エヒト様に選ばれておいてなぜ喜べないのか」とでも思っているのかもしれない。
皆を鎮めなければいけないはずの先生は既に立ち上がり注意する気力もなく、力なくカップの中の紅茶をジッと眺めている。
どうしたものかと思っていると、光輝が立ち上がりテーブルをバンッと叩いた。それに驚いた皆はビクッとなり光輝に注目する。
「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放っておくなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……イシュタルさん? どうですか?」
「そうですな。エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい」
「俺達には大きな力があるんですよね? ここに来てから妙に力が漲っている感じがします」
「ええ、そうです。ざっと、この世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょうな」
「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!」
キラリ! と無駄に真っ白い歯で笑って見せる光輝に先程までパニックになっていたクラスメイトたちが活気と希望が戻ってくる。
男子はキラキラとした憧れに近い視線を送り、女子の半数以上は熱っぽい視線を送っている。
「へっ、お前ならそう言うと思ったぜ。お前一人じゃ心配だからな。……俺もやるぜ?」
「龍太郎……」
「今のところ、それしかないわよね。……気に食わないけど……私もやるわ」
「雫……」
「え、えっと、雫ちゃんがやるなら私も頑張るよ!」
「香織……」
もはや満場一致で戦争に参加する流れだったのを、1人の男の挙手でぶった切られる。
「え~と、あのさ、勝手に話し進められて困るんだけどさ。俺は戦争する気はないよ」
五条は面倒臭そうにテーブルに足をのっけてふんぞりかえる。
それに対して、イシュタルはなんの反応も見せず、代わりに光輝が五条の態度と発言に激怒する。
「おい、いい加減にしろ五条! さっきからなんだその態度は!? お前はこの世界の人達が可哀想じゃないのか!!?」
「う〜ん、確かに可哀想だと思うよ。こんなガキの集団に頼るしかない現状にはね」
ポリポリと頬を掻きながら、くわぁ〜っと大きく欠伸をする五条の態度は、どう見ても興味がないのだろう。
「五条、お前っ!!!」
ついに我慢ならなかったのか、椅子を蹴飛ばし五条に近づきその胸元を掴み上げる。
「おいおい……、熱くなるなよ光輝。お前もしかしてさ、この戦争に参加して戦えばヒーローにでもなれると思っているわけ?」
「それがどうした? 人を救うんだ。それは正義の行いだろ」
「はぁ~、あのな一つだけ人生経験の足りないお前に助言してやるよ」
胸元を掴み上げている光輝の手を払いのけて立ち上がる。
「いいか光輝。そうやっていい子のフリをしようと意味ねぇんだよ。栄誉があろうと、大義があろうと、戦争なんて始めた瞬間からどっちも悪なんだよ……」
「っ……!」
普段のふざけた態度から一変して、凄まじい圧を感じるほどの五条の雰囲気に圧倒された光輝は押し黙る。
先程まで騒がしかった大広間が一瞬にしてお通夜状態になってしまい誰も口を開けない。
そんな雰囲気を壊したのもまた五条だった。
「それにさ、俺ってジャンプとか毎週月曜日にリアタイ派だし~、今期の深夜アニメじゃ蜘蛛ですがの後半クールも注目だしね☆」
茶目っ気たっぷりに答える五条の言葉に反応したのはイシュタルだった。
「ジャンプ……やら深夜アニメとやらはよく理解出来ませんが? 我が神であるエヒト様にお願いすれば大抵の願いは叶いますじゃろう」
「かぁ~、分かってないね。いいお爺ちゃん。これは叶うとかどうかの問題じゃなくてね、するかしないかの問題なんだよ。ファンとしては誰よりも先に見たいし、後から遅れてネタバレとかノーセンキューなわけよ。ドゥユーアンダスタン?」
ちっちっちっと、まるで分かってないなと言わんばかりに挑発する五条。
もはやクラスメイトは五条の失礼を通り越して無礼な態度に何も言えなくなり、どうでもいいわ勝手にやってろ状態になっている。
「ていうかさ、戦争するのに兵士とか自衛隊とかの戦闘特化した人員じゃなくて、平和な日本の学生を召喚するとか、マジで最近のラノベよろしくポンコツ臭が香るんだけど、エヒトって男神なんでしょ?」
「えっ、ええ、エヒト様は崇高な男神であらせられます」
「かぁ~、神様でポンコツが許されるのは美少女系の女神様しかいないのは常識っしょ。もうお爺ちゃん改宗しない? 今ならキリスト教か仏教の二大宗教を選ぶとおまけで銀の十字架か木彫りのブッタが貰えるよ」
何処から取り出したのか、五条の手には十字架と仏像が握られており、子供にどっちの玩具が欲しい? と聞く気軽さで教皇に改宗を薦める。
それでも柔らかな表情を浮かべたままのイシュタルにクラス一同は流石は世界的宗教のトップである教皇だと感心する。
「ほっほっほ、ご冗談を……。勇者様がたの宗教でしょうが、私は生涯エヒト様にお仕えする身でございますゆえ。どうかご勘弁を」
「あっそう。まあ、心変わりしたら何時でも言ってね。今度は聖典とかのパンフレットも付録として付けるから」
あっさりと断られ、五条もあっさりとその場は引くことにした。
「とりあえず、俺は戦争には一切関わらないけど、皆は戦争に参加するんだよね?」
くるりと振り返りクラスメイトにもう一度戦争に参加するのか尋ねる。主に光輝の方に注目して。
「そ……れは……。ああそうだ。参加するとも、困っている人がいるなら助けるのは当たり前のことだ。それに、俺たちは戦争の為に呼ばれた。ならそれに参加しない俺たちを援助できるほど王国も余裕はないはずだ。だから、例え俺一人だけだとしても、俺はこの世界の戦争に手を貸すつもりでいる!」
最初は戸惑いつつ話す光輝だったが、自らの胸の内を語る内に覚悟が決まったのか、力強い言葉で戦争への参加を口にする。
「ブラボー! いや~、そんな主人公らしい発言が出来るなんて流石は光輝だね。やっぱりこの中で勇者として呼ばれたのは君だろうね。なら精々戦争で死なないように頑張ることだ」
天之河の発言に笑いながら拍手喝采を起こす五条の態度はふざけているものだが、決して嘲笑の笑いではなく、それは感心からくる笑みだった。
当然、そんな五条の笑いが感心からくるものだと認識出来る者はおらず、その場にいる大抵の者が五条の事を勇敢な者を嘲笑うゲス野郎といった視線で見ていた。
なんか終わりが微妙な所になっちゃったけど勘弁な!
次のIFで五条が飛び込む世界
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