仕事納めからずっとリングフィットアドベンチャーやってたら書くのがダルくなっちゃったのが言い訳です。
迷宮から帰ってきたらノバラとユウジは勿論のことだが、受付嬢や支部長なんかも心配したんだぞと駆け寄ってきた。
どうやら、1日経っても帰ってこない2人に何かあったのではないかとギルド内でちょっとした騒ぎになっており、捜索隊を編成するかどうかといった事態にまでなっていたらしい。
「いや~、参ったね。まさか俺たちが迷宮で修業している間に、そんな大事になってただなんて」
「参ったねじゃねぇよ! ウチの兄ちゃん連れ去ったまま1日も行方を眩ますな!」
メグミを丸1日もの間、迷宮で修業させてたことを一切報告せずに悪びれもなく「参ったね」と笑う五条にキレたノバラが怒りのラッシュをお見舞いするが、無情にも無下限術式によって1発もヒットすることなく、ノバラは息切れを起こして五条にケラケラ笑われる結果に終わった。
「こ……こいつ……、いつか絶対にしばき倒してやる!」
「おう! その日が訪れることを陰ながら祈っておいてあげるよ♪」
「やめとけ、その人滅茶苦茶強い上に意地悪だからな。
「──―っプ! あっはっはっは♪」
ムキー! と怒るノバラをバカにする五条と、それを冷静に止めるメグミに笑いをこらえきれずに吹き出してしまうユウジの4人はテーブルの上に所狭しと置かれた料理を片っ端から手を伸ばして片付けていると、唐突に五条から3人に提案を出す。
「さて、今回の修業でもうメグミの実力はそこいらの酔っ払い冒険者共よりかは圧倒的に強くなった。俺の庇護が無くても充分に冒険者でやっていける実力はある。
だからそろそろ俺も迷宮とかには飽きちゃったし、別の街に行こうかな~って思ってるんだけど、一緒に来る気はある?」
食事の手を止めて常にかけていたサングラスをズラしてその青い瞳でこっちを見てくるさまに、いつもの冗談ではない本気を感じさせられた。
「…………俺はあんたに教わることがまだまだあると思ってる。この街に思い入れもないし、できることなら一緒に街を出て行きたいと思っている」
「ちょっと! 兄ちゃんが行くなら私も一緒に行くかんね!」
「あっ、俺も俺も!!」
「じゃあ、全員が俺と一緒について来るってことでOKだね♪」
パン! と手を叩いて決定♪ と嬉しそうに笑う五条の後ろからおっかない顔をしたギルド支部長がやって来た。
「おい! 五条、貴様金ランク冒険者としてそう勝手に行動されてはこっちも困ることを考えてもらいんだがな」
「ん? ああ支部長さんか。別に俺が勝手に行動しようがいいっしょ? それともなに、あんたが俺の前に立って邪魔すんの?」
「──―っ!!?」
普段から荒くれ者の冒険者を相手する支部長でさえ、(本人的には)軽めのお遊びの殺気(当人からしたら死を覚悟するレベル)を放つ五条を前に冷や汗を隠せないでいる。
「──―ップ♪ 冗談だよ冗談。まあ、この街を出て行くのは冗談じゃないけど、その分長い間放置されてた難しいクエストとか大分クリアしておいてあげてたし、それで勘弁しといてよ」
あれほど強烈に放っていた殺気を引っ込めて笑って肩を叩く五条に腰が抜けて倒れそうになるが、ギルド支部長としての意地で立ち続ける。
そして、さっき五条が言った放置され続けていたクエストの件が本当か、受付嬢にアイコンタクトを取ると受付嬢は両手で〇を作って事実だということを証明する。
「はぁ……、分かった。お前が出て行くことはもう止めん。だが、後少しばかし待ってはくれんか?」
「ん? なんで?」
「実はな、ヘルシャー帝国からお前の偉業を聞きつけて勇者一行との謁見ついでに会いたいと仰っているんだ」
「おいおい、俺はあいつらのついで扱いかよ」
「そう言うな、勇者はあのエヒト様からの人類救済の光なんだ。世間体を重んじればそうなっても仕方ないだろう」
「へいへい。で、その帝国さんはいつ頃来んの?」
「詳しい日程は魔人族側に漏れると困るということで、王族や一部の重鎮たち以外は知らされないことになっている」
「はぁ~、じゃあなに? いつ来るか分かんねぇ奴らの為に俺がわざわざ足止めを喰らわされるってわけ?」
気に入らねぇとばかしに苛立ちを隠すことのない声色で睨み付ける五条は、関係ない周りの冒険者連中もヒィ! と悲鳴を漏らすほど殺気立っていた。
当然のことながら、それを真っ正面で受けたギルド支部長は意地なんか吹き飛んで腰を抜かし、こんな無茶を押し付けてきた国の上層部連中を呪った。
「ふぅ~、分かった分かった。お国の命令に逆らえないのはお役所仕事の辛いところだもんな」
「あ……ああ……その通りだ。本当に困ったもんだ」
ひとまず助かったという事実を認識したギルド支部長はガクガク震える足を誤魔化しつつ五条の慰めに相槌を打つ。
「とはいえだ、なんのお詫びもなく遅延を受け入れてくださいは都合が良すぎるんじゃないか?」
「……っというと?」
ポンと肩に手を置いて不安を煽るような非常に爽やかな笑顔を浮かべながら、更に不安な事を口走る五条に嫌な予感がしつつも、ここで聞いておかなければ後々の事態に対処出来ないと判断して、聞きたくない心に蓋をして震えながら尋ねる。
「そうだな。お~い! メグミ、あの二匹を練習がてら出してみて」
「え? あいつらを今ここで出すんですか」
「大丈夫大丈夫! メグミが指示を出さない限り暴れないって。仮に暴れたとしても俺がいれば秒で大人しくさせるから」
2人の会話を聞いて一体何を呼び出すつもりなんだとその場にいた全員が戦々恐々としながら身構えていると、観念したかのようにメグミが椅子から離れて五条に教えてもらった印を結ぶことで、自身の影から2匹の玉犬を呼び出す。
「「ワオーン!!」」
ようやくの呼び出しにテンションが上がっているのか、遠吠えをするや否やメグミに向かって飛びつきその顔を舐めまわしてきた。
「うわっ!? ちょ、やめろお前ら!!」
「あっはっは、随分と懐かれたねメグミ」
「おい五条、あれは何だ? 見た感じ魔物のようだが、何故かは知らんが俺の勘が危険だといっているぞ」
「え、そりゃ危険でしょうに。ああ見えてあのベヒモスよりも下の階層の魔物なんだから」
「「「「「はあぁぁぁぁぁ!!!?」」」」」
まさかのベヒモスよりも下の階層の魔物とは思っていなかったらしく、ギルド支部長や聞き耳を立てていた連中が息をそろえて驚きの声を上げる。
「う~ん、いい反応するね。息もピッタシだし劇でもやったら♪」
「待て待て! いきなりそんなヤバイ奴らを出してどうするんだ!?」
「それなんだけどね。あの二匹をメグミの使役魔獣として登録しといてくんない」
「ふざけるな! ベヒモスよりも下の階層の魔物なんてお前以外止められんだろ! そんなのをギルドが認めて何か揉め事が起きた際の責任問題は誰が対応すると思ってるんだ!?」
「そりゃギルドで一番地位の高い人間でしょ」
「そ・れ・は・誰だと思ってるんだ!!!」
「ん」
ぜぇーはぁーぜぇーはぁーっと怒鳴り過ぎて呼吸困難になりかけるギルド支部長に、「ん」と指差してくる五条に血管ブチギレそうになるが、落ち着けと心の中で何度も繰り返して冷静さを取り戻す。
「っていうかさ、これくらいのことしてもらわなきゃ俺だって言うこと聞かないよ。そのくらいのことは分かるよね?」
そうだった。こいつには帝国の使者がくるまでの数日間待っていて欲しいという要望を出しているんだった。
ここで交渉してみせても五条ならいつの間にか街から消えていても可笑しくないかもしれん。
こうなったら、腹をくくるしかあるまい。いかにあの二匹が深層の魔物であろうと五条が連れて来たということは五条の制御下あるということ。
国に目をつけられるか五条が連れて来た魔物を認めるか、非常に胃が痛い案件ではあるが、今もあのメグミ少年にじゃれついている様子からして急に暴れることはないだろうし、苦渋の決断だがあの二匹をメグミ少年の使役魔獣として認めるしか手はあるまい。
「……はぁ、分かった。その二匹をメグミ少年の使役魔獣として認める。だが、問題が発生した際はいの一番にお前が動くんだぞ!!」
「へいへ~い」
なんとも気の抜けた返事で返す五条に、本当に理解しているのかと問い詰めたくはなるが、言っても無駄だろうことは目に見えているので、とっととあの二匹の使役魔獣としての登録用の書類を作成させなければ。
色々あってふらつきながら歩くギルド支部長に、受付嬢や他の職員が詰め寄って口々に正気ですか!? や、あの魔物が暴れれば被害は絶対にヤバイです! など分かりきったような事ばかり言ってくる。
「え~い! そんなこと言われんでも分かってるわ!! お前らは口ではなく手を動かさんか!!!」
ギルド支部長の鶴の一声で蜘蛛の子を散らすように各々の仕事に戻っていく。
それを見てはぁ~っと腹をさすりながらため息を吐くギルド支部長に何人かの冒険者が心の中で『頑張って強く生きろ』と祈りを捧げる。
「さて、玉犬たちの登録はおっさんにでも任せるとして、俺とメグミは引き続き迷宮で修業するとしようか」
「おい! 言っとくけどな、また兄ちゃんを連れて丸1日行方を眩ませたら今度はタダじゃおかねぇからな!」
「お~怖い! 大丈夫だよノバラ。既にメグミは俺が教えようとした5段階の内の1つ目をクリアしたからね。前ほど遅くまでやるつもりはないよ」
「5段階の内の1つ? なんだよそれ?」
五条が言った修業の5段階の内容に疑問を持ったメグミが、聞くと待ってましたと言わんばかりに得意げに説明しだした。
聞けば五条が教えようとしている5つのこととは、戦闘の基礎、魔力の運用、呪力の獲得、呪力による戦闘方法、黒閃の修得のことらしい。
前半の2つはなんとなく理解できたが、後半の3つはよく分からなかった。
どうやら、呪力というのは五条が元いた世界の力のようで、人間の負の感情を力に変えるもののようだ。
「メグミは才能があったから最初に教える戦闘の基礎は7割方はOKって感じかな。こっから応用やら経験の有無なんかを積み重ねていくところだけど、メグミなら残りの4つを教えているうちに自然と学んでいけるでしょ♪」
「なんか適当だな……」
「ノンノン! そんなことないさ、俺もちゃんと考えているさ。とりあえず、次にメグミが目指すのは魔力の運用かな」
「俺に魔法でも覚えろってのか?」
「それもあるけど、俺としては魔力の制御をマスターして欲しいところだけどね」
百聞は一見に如かずと言われ、ギルドから迷宮へと場所を移し替えてその見本を見せてもらうこととなった。
ついでに、ノバラとユウジも見学しにおいでと言われて一緒について行くこととなった。
「それじゃあ、今から3人に魔力の運用とは何かを分かりやすく教えるから、ちゃんと聞くように!」
「「「はーい!」」」
非常に元気よく返事を返してくれる3人に満足そうな顔をする五条。
ちなみにだが、現在五条たち4人がいるのは迷宮の最下層の少し手前の方である。
あと少し進めば解放者の住処なのだが、五条の六眼でその場所でハジメと見知らぬ女の子が
「まずは魔法について教えようか。この世界の魔法は魔力と詠唱の2つを掛け合わせることによって発動する現象のことだ」
実際にこの世界の魔法の詠唱を唱えてみせると、五条の手から獄炎が迷宮の奥へと飛んでいった。
「スッゲェ!!! 俺魔法って始めて見たよ!!!」
「確かに、実際に見ると凄いものね!」
「あれを今から習うのか」
各々が今見た魔法の感想を口にすると、チッチッチ! と指をふって更に上の高等技術をみせようとする。
次に見せるのは詠唱を必要としない無詠唱による魔法だ。
今度の魔法は使用するものこそ同じだが、威力はさっきほどよりも凄まじいものだった。
さっきの獄炎が軍勢が滅ぶ威力とするのならば、今度の獄炎は城塞を吹き飛ばしてブチ壊すレベルのものだった。
「これが詠唱と無詠唱による魔法の違いだよ。今のは分かりやすく威力を使い分けたけど、詠唱によるサポートと無詠唱による自力での発動では魔法の威力や発動までの速度は
声高々にそう叫ぶ五条の姿はある種の説得力があった。
3人はなるほどと納得すると同時に、メグミだけがうん? と疑問が湧いた。
「ちょっと待て! 魔力の直接的な操作は魔物しか出来ない筈じゃなかったか?」
「うん! そうみたいだね。でもそれは間違いだよメグミ。確かに今の人類に魔力を操作してでの無詠唱魔法の行使は不可能とされている。だけどね、されているというだけで完全に不可能というわけではないのは、さっき俺が無詠唱魔法の行使できたのを見て理解できたでしょ♪」
確かに先ほど五条は無詠唱で魔法を使っていた。論より証拠とはこのことだろう。
ならば俺もやってみせようと、出来る証拠を見せられれば自分もと思うのは仕方ないことだろう。
「これからメグミには魔力操作を「はいは~い! 俺も! 俺も魔法使ってみたい!!」元気がいいねユウジ。まあいいよ、弟が頑張ろうとすればお兄ちゃんも頑張れるだろうからね♪」
ニヤニヤとムカつく顔でこっちを見る五条にメグミはイラッ! とくるが、魔法を教わることにワクワクしているユウジのやる気に水を差すのも兄としてどうかと思い開きかけた口を閉ざす。
「……まったく、どっちが大人でどっちがガキだか」
ため息をつきながら五条とメグミを見たノバラがそう口にする。
「それじゃあメグミにユウジ! 2人に魔法の習得のための課題を言い渡す」
「「はい!」」
「うむ! いい返事だ。それじゃあ今から2人には俺が直接魔力を体内に流し込み、自身に流れる魔力の波動ともいえるものを知覚してもらう」
そして2人の心臓の位置に手を当てると、ゆっくりと五条の魔力を流し込んでいく。
「う……おお! これが魔力? ってやつなのか!?」
「なんか変な感じがするな。俺の体の中にこんなものが流れてたのか……!?」
メグミとユウジは自身の体を確認しながら、知覚できた魔力の流れに驚いている。
「よし! どうやら無事に魔力の感知に成功したようだね。次はそれを自由自在に操ってみよう」
「操るったって……」
「感じることは出来たが、どうやって使えばいいんだ?」
どうやら2人共感知することはできても、それを上手く使いこなすことまではまだできないようだ。
「う~ん、こればかりは本人の資質と感覚のみが頼りみたいなものだからね。さっきみたいに直接流し込んでコツを教えもいいけど、それだと今後似たような修行があった際は自分1人だけでやる! っていう気合いが出ないだろうし、……何より、無詠唱は自分でちゃんと動かすのが大事になってくる。他人の感覚を当てにしちゃ強くはなれないぞ!」
確かにその通りではあるが、流石にこれを一から自力でやれってのは無茶が過ぎるんじゃねぇか!?
そう思って横目に五条を見るとサムズアップして親指だけ上げて頑張れ♪ って感じで返してきた。
「クソがぁ! やってやるよ!!」
「??? ……どうしたんだ兄ちゃん?」
「……はぁ、本当に男ってアホね」
どうしようもないクズと、それに対して最初にムキになっても無駄だと言ったはずなのに無駄なことをしている張本人、ついでにそれが分かっていない鈍感なバカを見てため息をつくノバラだった。
最後の『最初にムキになっても無駄だと言ったはずの無駄なことをしている』は最初の方に五条にキレたノバラをなだめる際にメグミが『ムキになって相手するだけ無駄』という台詞に対してのノバラの感想です。
ちょっとした軽い伏線ともいえるか微妙なものですが、理解してくれる人には理解できると信じています。
次のIFで五条が飛び込む世界
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