呪術師という職業で世界最強!   作:リーグロード

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五条の実力

 あれから、戦争に反対の愛子先生が戦争に参加する者と参加しない者のグループに分けた。

 本当ならば全ての生徒を戦争なんかに参加させたくないのだろうが、天之河が言ったことにも事実である。

 こんな見ず知らずの何もわからない異世界に大事な生徒を何の保護も無く放り出せるわけもなく、自分の心と現実に折り合いをつけて今の現状に落ち着いた。

 

 それでも、いきなり何の戦闘技術も持たない学生が魔物や魔人と戦うなど不可能だと主張し、せめて死なないぐらい強くなってからでないと戦争への参加は認められないと公言する。

 

 しかし、その辺の事情は当然予想していたらしく、イシュタル曰く、この聖教教会本山がある神山の麓のハイリヒ王国にて受け入れ態勢が整っているらしい。

 

 その後ゲームの中盤か終盤辺りに出てきそうな凱旋門もかくやという荘厳な門を潜るとそこには雲海が広がっていた。

 その光景を見てわずかに残っていたテレビのドッキリという可能性が完全に消え去った。

 

 そんな景色に目を奪われているクラスメイトたちを見てイシュタルはどこか自慢気な顔をして先へ進むと、柵に囲まれた円形の大きな白い台座が見えてきた。大聖堂で見たのと同じ素材で出来た美しい回廊を進みながら促されるままその台座に乗る。

 

 そこからイシュタルが何かを唱えると、台座が動き出してロープウェイのように地上へ向けて斜めに下っていく。

 

 そして雲海を抜けると国が見えてきた。更には山肌からせり出すように建築された巨大な城と放射状に広がる城下町。ハイリヒ王国の王都なのだろう。

 見た感じレンガ造りの建築物が多く、時代的には中世ヨーロッパ辺りの文化レベルなのだろう。

 

 そして、地上に降り立つと王城へと連れられ玉座の間に案内された。そこは教会に負けないくらい煌びやかな内装で、道中、騎士っぽい装備を身につけた者や文官らしき者、メイド等の使用人とすれ違うのだが、皆一様に期待に満ちた、あるいは畏敬の念に満ちた眼差しを向けて来る。

 

 そんな視線に萎縮してハジメは最後尾をコソコソと付いていく反面に、五条は視線を向けてくる者に対して手を振って答えている。

 そんな五条に対して皆は戦争に参加しないのになんて厚顔な奴だとひそひそと話す声が聞こえてくる。

 

 そうしてたどり着いたのは美しい意匠の凝らされた巨大な両開きの扉の前で、その両隣には直立不動の姿勢をとっていた兵士二人が立っており、イシュタルたちの来訪を大声で告げ、中からの返事も待たずに扉を開放する。

 

 イシュタルと光輝と五条は悠々と扉を通る。それ以外の生徒達は恐る恐るといった感じで扉を潜った。

 

 扉の先には如何にもな玉座に座った初老の男と王妃と思われる女性に、年の頃は10代といった金髪碧眼の美少年と美少女が控えていた。

 

 イシュタルを目にすると初老の王と王妃が立ち上がる。そこでイシュタルが全員をその場に止め置き、自分は王の隣に並び立つと、おもむろに王に対して手を差し出す。

 その手を恭しく手に取り、軽く触れない程度のキスをした。

 

 これで国王よりも教皇の方が権威は高いということが分かった。

 つまり、この国を動かしているのは王ではなく神だということだ。

 

 そこから自己紹介が入り、その後に人類の勝利が約束されたといって晩餐会の用意がされた。

 そこに並ぶ異世界料理に目を奪われつつ、各々は満足するまで食事を楽しんだ。

 

 晩餐会が終わると各自に用意された寝室へと案内され、異世界に転移した最初の一日は終わりを告げた。

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 翌日、昨日の晩餐会の途中で紹介された現役の騎士団や宮廷魔法師が教官として僕たちの前に立っている。

 

 まず、集まった生徒達に十二センチ×七センチ位の銀色のプレートが配られた。不思議そうに配られたプレートを見る生徒達に、騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明を始めた。

 

「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」

 

 まさに異世界転移ものの必需品といったところか。使い方は結構簡単でプレートに血を一滴垂らせばそれだけで所有者登録が済み、ステータスオープンで現在の自分の強さが表示される。

 まんまゲームのようで、これを作ったのは実は過去に転生した日本人ではないかと疑ってしまうのはハジメのオタク知識のせいなのだろうか? 

 

 プレートを渡された生徒たちは、自分で傷をつけるという行為に慣れていないため、顔をしかめながら指先に針を刺して血を一滴プレートに擦りつけた。すると、魔法陣が一瞬淡く輝いた。

 

 それに倣ってハジメも同じように血を擦りつけ表を見る。

 

 ===============================

 

 南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1

 

 天職:錬成師

 

 筋力:10

 

 体力:10

 

 耐性:10

 

 敏捷:10

 

 魔力:10

 

 魔耐:10

 

 技能:錬成・言語理解

 

 ===============================

 

 この数値が大きいのかそうでないのかは分からないが、ゲームのキャラになったようで、年甲斐御なくワクワクしてしまう自分がいる。

 他の皆はどうなのだろうか? 特に天之河や五条であればきっととんでもない事が書かれているのだろう。

 

 この場にいるであろう2人を探してキョロキョロと目線を彷徨わせる。すると、お目当ての人物の内の1人である五条の姿が目に入った。

 

 

 

 

 う~ん、まさに異世界転移には付き物のステータスを見れるアーティファクトか……。面白いものだけど、それの使用には血が必要になるってのはどうにもな。

 最強の五条さんの最強たる由縁はアクセラレータみたく、決して傷つけられないということにある。

 

 そんな俺がたかが針で傷を作るのはな~。別に痛いのが怖いというわけではないけど、何か伝承があるわけでも概念が付与されているでもないありふれた針なんかで傷を作るのが嫌なんだよな。

 それに、傷をつけるということは術式を解くということになる。こんな安全が確約されたわけでもない場所で、しかも戦争反対の切っ掛けを作った自分が一瞬とはいえ無防備になるのは論外だ。

 

 けどま、仕方ないか。俺も自分の強さというものが気になるし、痛いけど我慢するしかないね。

 

 

 

 

 未だにプレートを持ったまま動こうとしない五条にどうしたのだろうか? と思い見続ける。まさか、あの五条が傷をつけるのが怖いなんてないだろうし……。いやでも、いつも健康診断の日は学校を休んでいたし、案外注射が苦手なキャラなんだろうか。

 

 そうハジメが考えていると、五条はもごもごと口を動かして、あろうことか指を口の中に突っ込んだ。何をしているんだと思ったが、口の中から出てきた指先には血がベットリとついていた。

 どうやら五条は口の中を嚙み切って血を出したようだ。

 

 何故そんな方法を取ったのかは分からないが、血を擦り付けられステータスが表示されたプレートを見た五条は普段は外さないサングラスを少しズラしてプレートを凝視する。

 

 ハジメはサングラス越しではない五条の瞳を見て息を呑み込む。

 五条の瞳は特殊で、白髪と合わさって神秘的ですらある。

 それに、流石は天之河と並ぶ2大男神と呼ばれるだけあって、モデル顔負けのビジュアルだ。

 今の五条を女子が見れば顔を赤らめて見惚れる者が続出するだろう。

 

 それにしても、五条のステータスプレートには何が書かれてたのだろうか? あの鉄仮面とすら言われた五条のサングラスがほんの少しとはいえズレたのだ。きっととんでもないことが表示されたんだろう。

 

 

 

 いや~、まいったね。思いのほか口の中を深く切ってしまった。

 はっきり言ってものすごく痛い。しかも、ハジメにも今の奇行を見られただろうが問題はない。

 とりあえず、これでステータスが見れるようになったけど、まさかステータスだけじゃなく天職なんてものも表示されるだなんて。

 

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 五条悟 17歳 男 レベル:99

 

 天職:呪術師

 

 筋力:8000

 

 体力:5000

 

 耐性:9999999

 

 敏捷:6666

 

 魔力:50000

 

 魔耐:9999999

 

 技能:無下限呪術[+術式順転「蒼」][+術式反転「赫」][+虚式「茈」]・六眼・体術・全属性適性・全属性耐性・物理耐性・魔法耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言霊・言語理解

 

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 とりあえず言えることは『ぶっ飛んでるな~』の一言だな。まずゲーム序盤のステータスじゃないね。どっちかっていうとゲームクリア後の廃人のステータスだよ。

 まあ、最強を名乗るのに相応しいと言えばそうなんだけど、最初から敵なしっていうのもつまんないんだよね~。

 ふっ、これがハリネズミのジレンマってやつか……。

 

 とりあえずカッコいい感じに言ってみたが、別にそこまで不満がある訳ではない。これがゲームや漫画等であればチート乙! と言って投げ捨てただろうが、現実だというならば話は別になる。

 とあるゼロから始まる異世界の獣人が言っていた。『痛え思いも辛え思いも知らねえ奴』と……。実際には主人公は痛みも辛さ(地獄)も知っていたが……。

 俺はそんな人間になりたい。痛みも辛さも知らず、ハッピーエンドで終わらせる主人公になりたいと。

 途轍もなく甘い考えだ。戦争もなく犯罪なんかも少ない法治国家である日本に住む人間でも大なり小なり痛みも辛さも知っている。

 俺だって前世では死ぬ前に不幸にも現実の理不尽()さと死による痛みを知っている。

 

 だからこそ、今世ではそのどちらも再び味わずにすむ為に最強に転生したのだ。

 とはいえ、これを見せるのは不味いな。見せればほぼ確実に戦争への参加を言い渡される。

 

 別に俺は戦争が怖い訳ではない。散々戦争への参加を拒否していたのはただ単純に面倒だからだ。

 俺が戦争に参加するということは、例えるなら幼稚園の子供が散らかしたレゴを片付ける程に容易に終わる。

 だが、容易に終わるとはいえ、そんな大量のレゴ(敵兵)を片付けるのが楽かと問われると当然NOだ。

 

 だから俺は参加しない。例えそのせいでこの世界の人間が何千何万亡くなろうと、顔見知りのクラスメイトが何人死のうとも、俺の日常に波紋は起こらない。

 すなわち、ノープロブレムということだ。

 俺の意思はこの世の何事にも優先される。だが、面倒事を回避するために面倒事に飛び込むのでは本末転倒である。

 

 さてどうしたものか? と悩んでいるとメルド団長が大声で光輝を褒めていた。

 

「ほお~、流石勇者様だな。レベル1で既に3桁か……技能も普通は二つ三つなんだがな……規格外な奴め! 頼もしい限りだ!」

 

「いや~、あはは……」

 

 う~わ~、マジかよ。勇者でもたった3桁程度のステータスか……。レベル99とはいえ、最高7桁台の俺のステータスと比べればプロボクサーと赤子だな。

 

 他のクラスメイトが流石だと褒めちぎりながら、次々と自分のステータスプレートをメルドに報告しに行っている。

 中には凡人と変わらない者もいたようで、慰められたり馬鹿にされている。

 

 五条を除く全員が報告し終わると、メルドがこっちに近寄ってきた。

 

「さて、後はお前だけだな。一応戦争には参加しないと事前に聞かされてはいるが、この先何が起こるかは分からない。必要最低限の訓練はせねばなるまい。そのためにはお前の事が知りたいんだ」

 

「う~ん、マジ正論で草生えるwwwでも教えないよ♪」

 

「「「っっっ!?」」」

 

 五条の答えには思わず絶句するメルド団長に他の騎士やクラスメイトたち。

 あまりにもワガママが過ぎる。いくら無理矢理一方的に召喚()ばれたとはいえ、ここまで自分勝手過ぎるのは流石に不味いだろう。

 未だ召喚されて2日しか経っていないとはいえ、既に教皇に対して異教への勧誘に加え、戦争への参加を私情で蹴り、団長の好意を鼻で笑って拒否する。

 

 もう何度目か分からない程の不敬に対して、クラスメイトの何人かは胃痛で腹を押さえている。既に愛子先生は頭を抱えて何も見ていませんっと主張するように膝を抱えて座り込む。

 

「それに、俺って君らに何か教わるほど弱くないし……」

 

「ほう……、おいお前! 少しこいつと手合わせしてもらえ」

 

「はっ!」

 

 流石に挑発が過ぎたのか、メルド団長は手の空いている騎士を1人呼び出して五条にあてがう。

 

「ええ~いいのかな? トラウマになっても俺知らないよ」

 

「ふっ、言ってくれる。これでも私は騎士の端くれ。あまり舐めてくれるなよ」

 

 その騎士からは確かな自信と少しの苛立ちがうかがえた。腰に携えた剣を抜き放ち構える。

 ただし、訓練用である為、真剣ではなく、刃が潰れた訓練用の物ではあるが、材質は鉄である。

 斬られるのはもちろんのこと、横なぎにぶつけられるだけで怪我をする一品だ。

 

 当然、愛子先生は騎士が剣を抜き放ったのを見た瞬間、メルド団長の腰に飛びついて抗議の声を上げる。

 まさか、真剣ではなく訓練用の剣を抜いただけでこの反応をされるとは思ってもおらず、メルド団長も困惑している。

 

 これが争いのない日本人と絶賛戦争中の異世界人との認識の違いといえよう。

 ただでさえ子供に見える愛子先生が、体を鍛えて普通の人よりもがっしりとした体格のメルド団長に泣きながら纏わりついているものだから、目の前の騎士も抜いた剣を一振りもせず鞘に収めようとしたが、そこでストップをかけたのが五条だった。

 

「ちょっとちょっと、な~に泣いてんの愛子先生? まさか俺がこの騎士君に怪我させられると思ってるわけ? それはちょっと心外なんだけども」

 

「なに!?」

 

「ふぇ! で、でもですよ。相手は剣を持ってますし。五条ちゃんは剣道を習っていたなんて聞いてませんし、あんなので斬られ「はい、ストップ」むぎゅう!」

 

 いつの間に移動したのか、愛子先生の前に立った五条は、人差し指で泣きわめきながら喋る愛子先生の口をふさぐ。

 

「まあ、そんな心配しないでよ。別に今から殺し合いをしようって訳じゃないんだから、それに断言するよ。彼じゃ俺に傷一つ付けることは敵わないって」

 

「ふふふ、言ってくれる。この身を国のために捧げ、人類を守る剣として騎士なった我が剣が触れることすらないというのか」

 

「うん。だからそう言ってんじゃん。とっとと理解しろよ」

 

 先程愛子先生の泣いて止める姿を見て、剣を鞘に収めようとした手は怒りに震え、訓練程度にとはいえ少しキツイお灸をすえてやろうと内心決意した。

 

 だが、現実は非常に無慈悲であった。

 

「くっ、このっ、当たれぇ!!!」

 

「あっはっは、そんなノロっちい動きじゃ傷をつけるどころか掠りもしないよ」(ヾノ・∀・`)ムリムリ

 

 騎士の華麗な剣さばきを縦横無尽に避け続ける五条の動きはまさに達人のそれである。

 それは、ただ単純に高いステータスにモノ言わせた戦い方ではなく、人として積み上げた技術による動きであった。

 それ故に、純粋に認めるしかない。五条は確実に騎士よりも強いのだということを。

 

「あ、ありえん。この私の剣が……。このふざけた男に掠りもしないのか……」

 

「だから最初から言ってるでしょ。君程度がいくら頑張って剣を振り回そうが俺には一生当たらないって」

 

 訓練が開始して僅か3分程度しか経っていないが、もう既に騎士の心は折れかけている。

 ただ避けられているのであれば屈辱ではあるが、今日まで鍛え続けた鋼と称される精神は折れはしないだろう。

 だが、そんな騎士の心を折るのもまた今日まで積み重ね続けたものだった。

 

 五条の動きが達人だと評したが、それは剣技でも同じだった。

 否、それを剣技と呼ぶにはいささか無理がるだろう。

 

 何故なら、五条が握る獲物が騎士の持つような剣でも、切れ味の鋭いナイフでもなかったからだ。

 それは何処にでもあるごくありふれた物で、ほとんどの人はこれを武器にする筈のないものであった。

 

「君と戦うのに剣を使うのはハンデがあり過ぎるな。だから俺はこれを使わせてもらうよ」

 

 そう言って五条が手にしたのは足元に生えていた芝生の草の1本だった。

 

(俺にとって例え草木1本とっても呪力を流せば武器になる。まさに、騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)といったところかな)

 

「おい! ふざけているのか? そんなもので訓練が出来ると思っているのか?」

 

「全然楽勝で出来るよ♪ っていうか知ってる? 草って結構切れ味鋭いんだよ。だからみんな草刈りするときは軍手はめて行うんだ」

 

 やれやれと五条は首を振って呆れる。

 

「それにさ、獅子が兎を狩るのに全力を出すことはあっても、料理人がまな板の野菜相手に殺意を持って挑むと思うかい?」

 

「っっ!!!」

 

 あまりにも傲岸不遜な台詞にますますその根性を叩き直してやろうと決意して剣を振るったのだが、結果は既に語った通り……

 

 騎士の振るう剣は五条の目鼻の数センチ先を通り過ぎるだけで、五条には一切当たらず、逆に五条は躱した直後の隙を突き、騎士の目の前にまで潜り込み、その顔に手に持った草で傷をつけていく。

 

「はい。これでおひげが6本生えました~♪」

 

 鼻歌で絵描き歌を歌うように軽やかに騎士の剣を避けてその顔に猫の髭そっくりの傷をつけている。

 

 相手取るのは異世界から召喚されたとはいえ、自分の子供ほどの年齢の者からこうまで赤子扱いされ、剣技モドキで顔に屈辱の傷をつけられる。

 今まで積み重ねたものが一瞬で斬り崩されてゆく。もはや、こうまでされて涙を流さない彼に敬意を示してもよいのではなかろうか。

 

 膝をついて倒れ込む騎士に、メルド団長は優しく肩に触れ後ろに下がらせた。

 

「もういい、よくやった」

 

「はい……」

 

 とぼとぼと肩を落としながら中庭から消えていった。もうあの騎士は今日は訓練に参加しないだろう。

 いや、下手をすれば金輪際姿を見せない可能性すらある。そう思わせるほどの哀愁があの去っていく騎士の背中から感じられる。

 

「いやはや、素晴らしい。というよりも、一方的過ぎる戦いだったな。正直君の力ならもっと他にやり様があったのではないか?」

 

「ああん? それはあれかい? 俺ならさっきの奴程度なら小指の爪で倒せる筈だったとでも言いたいと……」

 

「ふぅ~、遠回しに言って悪かった。なら率直に言おう。手加減……というよりも、彼の心を傷つけずに済む方法があったと思うと言っている」

 

「あ~、はいはい。そのことね、だから始める前に言ったじゃん。トラウマになっても知んないよって。覚えてない」

 

「いや、そうだったな。確かに忠告は聞いていた。その上で勝負をしたのはこっちだ。先程の発言は忘れてくれ」

 

「ああOKOK! 別にそんな気にしてないからいいってことよ」

 

 ひらひらと手を振って適当に対処する五条。それに対してメルド団長は苛立つことなく冷静に話し合いを続ける。

 

「そうか、なら良かった。なら次の話にいこう。お前のステータスプレートを見せてもらおうか」

 

「ええ~、またそれ。さっきも言ったけど、俺って強いし、訓練の必要性なんてないって、さっきのでもう分かっただろ」

 

「確かに、お前は強い。俺ですらあんな戦い方はできん。だからこそ、お前の強さを知りたい。それ程の強さならば戦争でそう簡単に死ぬこともあるまい。いや、あるいはエヒト様が勇者様と共に魔人族と戦う為にお前をこの世界に()んだのかもしれない」

 

「やめてくれよ。俺はこの世界を救うつもりは毛頭ない。適当に観光して飽きたら何かしら手段を講じて帰るだけだ」

 

「それはつまり、お前には元の世界に帰る手段があると?」

 

「今のところはない。けど、駄神のエヒトにでも出来るのなら俺に出来ない道理はないだろ」

 

「……そうか。ならば尚更の事無視は出来ん。俺の予想ではお前のステータスは勇者の軽く5倍はあるとみた。そんな奴の力を把握せず放置するのは危険と判断する」

 

 確かに、当たり前のことだ。敵ではないだろうが、味方でもない者がすぐそばにいる。

 そんな得体の知れない者を放置できないというのは、騎士団長としては当然のことだ。

 

 だが、戦争なんて面倒事はまっぴらごめんの五条は一つの賭けを提案した。

 

「ンもう、しつこいな。ならクイズをしよう」

 

「クイズ?」

 

「そう五条ク~イズ♪ 正解すれば俺のステータスを見せてあげる。ただし失敗すればもうこの話しは無しとする。これが俺の最低限の譲歩だ。さあ、どうする?」

 

「……分かった。そのクイズとやら受けよう」

 

「グッド! それでは始めようか。この俺、五条の5択クイズを。ただし、出題者は俺だけど、回答者はコイツで決める」

 

 五条がそう言ってポケットから取り出したのはただの1枚の紙だった。これでどう決めるのかと思ったら、五条は唐突に取り出した紙を折り始めた。

 そして出来上がったのは、何の変哲もない紙飛行機だった。

 それを適当に空へ飛ばすと、紙飛行機はしばらく空中を漂いながら、フラフラと高度を堕としてゆき、やがて勢いを完全に失くし地面に墜落する。

 その落ちた紙飛行機の先端に立っていたのは……

 

「おめでとうハジメ! 君が俺のクイズの回答者だ!」

 

「ぼっ、ボク!?」

 

 いきなりの急展開で指名されたハジメは自分で指差して驚きをあらわにする。

 

「そうそう! 別にそう固くなんなって、景品がビックリ豪華って訳じゃないし、気軽に答えりゃいいだけなんだし」

 

 気軽にとは言ったものの、メルド団長から絶対に正解しろという見えない意思が背中にビシビシ突き刺さってくる。

 他のみんなからも期待という名のプレッシャーがガンガン降り注いでくる。

 

 せめて、せめて自分が知っていて答えられるもの。サブカルチャー系の問題にしてください。

 ハジメは信じてもいないこの世界の神であるエヒトに心の中で祈りを捧げる。

 

「そんじゃ、クイズ開始といこうか。な~に、問題は極めて簡単なものさ。ズバリ! 俺の天職はなんでしょう? 1殺人鬼2AV〇優3詐欺師4神殺し5革命家のどれでしょうか?」

 

 なんだそれは!? どれもまともな職業ではないし、2なんか問題外だろう。いや、五条は顔がいいしワンチャンあるかも。

 

「え、え~と、3の詐欺師……かな……?」

 

「へぇー、無難なモノを選んだね。それじゃ、正解は~ジャラジャラジャラジャラ……ドン!!! 不正解!!!」

 

 まあ、そうだろうな。自分でも正解だとは思ってもいなかったが、1は正解していたら今後が怖いし、4はエヒト神を崇める信教国家にとって敵以外の何物でもないし、5はもはや排除対象にしかなりえないだろう。

 

「というわけで、不正解したので俺のステータス開示は無しになりました」

 

「あ~っと、すみませんメルド団長」

 

「いや、気にするな。坊主が悪いわけじゃない」

 

 ポン! と肩を叩いて慰めてくれるメルド団長に大人としての貫禄を見せつけられた。

 

「そんじゃ、俺は適当にぶらついとくから、お前らも訓練頑張れよ~♪」

 

 そう言い残して五条は城の中に消えていった。

 

 それから残った面々は、メルド団長を中心に訓練の内容を言い渡された。

 皆後ろ髪を引かれる思いであったが、今後五条に関わるのはよそうという結論に達した。

 

次のIFで五条が飛び込む世界

  • ゼロの使い魔
  • 七つの大罪
  • スレイヤーズ
  • オーバーロード
  • HUNTER×HUNTER
  • 蜘蛛ですが、なにか?
  • この素晴
  • ダンまち
  • 転スラ
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