三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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第95話『2年目の夏合宿開始』

side:赤木美和

 

 

 インターハイ神奈川予選を1位で通過した私達湘北は、全国大会に向けて意気揚々と今年の合同合宿に参加した。

 

「よろしくお願いします!」

「「「よろしくお願いします!」」」

 

 今皆で各校の指導者の先生に挨拶をして回ってるんだけど、今年は5校と参加校が多いのよね。

 

 先ずは去年と同じうちと海南に陵南、そして新しく翔陽と武里が加わったわ。翔陽の参加は予想出来たけど武里の参加は意外だったかもしれない。

 

 その事を正直に安西先生に言ったら……。

 

「現在の神奈川高校バスケはうちと陵南、そして海南と翔陽の四強と呼ばれています。現在の状況も面白いのですが、更に刺激を入れようと四校の指導者の皆さんで話し合いましてね」

 

 基本的に高校スポーツはどの分野でも各都道府県で強豪と呼ばれるところが競合するところはそんなに多くないらしい。言いたくないけど部費だのなんだのでお金が関わるからね。だから学校側も結果を出せる、もしくは出せそうなところにお金を多く割り振るわ。うちも去年は部費が少なかったけど今年は結構割り振ってもらえたし。ある意味で期待されているのかがわかりやすいわよね。

 

 そういうわけで高校スポーツでは同じ分野の同じ都道府県で強豪が何校も競合するのは珍しいんだけど、奇しくも神奈川では強豪と呼べるレベルの高校が四校も現れた。

 

 そこで安西先生達は一計を案じて四校以外の高校も合同合宿に招いて、神奈川の高校バスケ全体のレベルアップをしてしまおうと思ったらしいわ。神奈川の高校が全国制覇をするために。

 

 それで武里が今回参加したらしいんだけど本当は他の高校にも声を掛けていたみたい。けど先約があったりなんだりして、結局四校以外で参加出来たのは武里だけみたいね。

 

 それにしてもこりゃ忙しくなりそうだわ。なんせ各校の女子マネージャーの数を合わせても10人しかいないんだもの。まぁ、夜は恋バナでもして楽しめそうだからいいけどね。ふっふっふっ……たっぷりと惚気話を聞かせてあげるわ。

 

 

 

 

side:三井寿

 

 

「くっそー!仙道!もう1回だ!」

「悪いな桜木、次は三井さんとやりたいんでな」

 

 特別に今回の合同合宿に参加している桜木なんだが、フリー練習の時間に各校のエース格選手に1on1を挑んでは返り討ちに合っている。

 

「牧さん、もう1回!」

「宮城、もう5回目だぞ?他の奴ともやんないと合同合宿の意味がな」

 

 あっちでは宮城が牧に食い付いているな。やる気は十分なんだが、牧とやり合うにはまだまだ色々と足りない。

 

「安田、あの時の駆け引きについてなんだが……」

「あぁ、あれはですね」

 

 向こうでは藤真と安田が駆け引きについて話し合ってるな。安田の強かさを学び取ろうとする藤真のあのストイックさ……どうやらインターハイ予選の最後の試合で一皮剥けたみてぇだ。

 

「おーい、三井」

 

 木暮に呼ばれて足を運べばそこには各校のシューター達が集まっていた。

 

「よし、それじゃ3Pシュート勝負やるか。5本勝負で色々とシチュエーションを変えてやるぞ。フリーだったりキャッチ&シュートだったりハンズアップした壁役ありだったりでな。負けた奴は腕立て10回かダッシュ3本な」

「おい待て三井!そんな面白そうなの俺もやらせろ!」

「おっと、俺も入れてくれよ」

 

 牧と藤真も参戦か。いいぜ、皆で楽しもうか!




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。

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