side:三井寿
夏合宿は午前中の日が昇って暑くなる前にガッツリと基礎練習を行い、昼の暑い時間はフリーとなり、日が沈んで涼しくなる夕方にゲーム形式で練習を行う。
このスケジュールの中のフリーの時間だがなにもバスケばかりしているわけじゃない。3年生は希望進路によっては勉強している人達もいるし、期末テストでやばかった連中はバスケをそこそこに強制的に勉強をさせている。
さて、この強制的に勉強をさせている奴なんだがうちには残念ながら2人もいる。宮城と桜木だ。
「俺、彩ちゃんが先生だったら満点取れるかも」
「馬鹿なこと言ってないで集中しなさい」
「す、すみません晴子さん、ここなんですが……」
「うん?あっ、そこはね桜木君」
宮城には中原が、そして桜木には晴子が教師役についている。特に晴子はわざわざ家からここまで通って桜木に教えているからな。自分も桜木と同様に受験生の立場なのにご苦労な事だぜ。
「まったく……」
「いやぁ、すみません魚住さん。けど赤点とんなかったんだからいいじゃないですか」
「お前は卒業したらアメリカに行くんだろう?だったらせめて英語ぐらいはしっかりと勉強をしておけ」
陵南の中からは仙道が強制勉強組になる。ただ仙道は赤点にならないラインを見極めてギリギリまで手を抜いたのがばれた結果、こうして強制的に勉強をさせられる事になった。
それにしても仙道もアメリカに行くつもりなのか。意外……ってわけでもないな。あいつが普通に就職して働く姿が想像出来ないからな。
「宮、すまん」
「まさか俺が牧の勉強を見ることになるなんてなぁ」
そして海南からは驚くことに牧が強制勉強組だ。とはいっても牧は勉強出来ないわけじゃない。話を聞くとケアレスミス……期末テストで解答欄を間違えて記入してしまい赤点ギリギリになったんだとか。
それで高頭監督に『たるんでるな、牧』と言われて、今回の合宿で勉強する事になったんだとさ。
「『本当の問題児がいるのはうちぐらいか』」
「『まぁ、2人とも練習のし過ぎ感はあったし、息抜きにはちょうどいいんじゃない?』」
「『英語で話ですか?いいですね。俺もまぜてくださいよ』」
そんなふうに美和と英語で話していると小休止に入った仙道が話に加わってくる。
「『仙道、英語出来たんだな』」
「『出来ないと言った覚えはありませんけど』」
確かにそうだな。それに天才肌のこいつだ。興味を持ったから出来る様になったんだろう。
「『三井、お前はどこの大学に行くつもりだ?』」
牧も小休止に入ったのかそう英語で話し掛けてきた。
「『ノースカロライナかカリフォルニアの中堅辺りの大学が候補だな』」
「『中堅の大学の理由は?』」
「『強豪の大学でもやれる自信はあるが、1年目からいきなりスタメンは流石に厳しいだろう。だから中堅辺りの大学でスタメンになってアメリカのバスケの経験を積みながら、NBAにアピールしていこうって思ってな』」
そう話すと納得がいったのか牧は頷く。
「『じゃあ俺もフロリダの中堅どころの大学を狙うか』」
「『……フロリダって事は時間が出来たらマイアミのビーチにでも行くつもりか?』」
「『あぁ、あそこで波に乗るのは面白そうだからな』」
なんというか、サーフィンが趣味の牧らしい選択だな。
その後は強制勉強組と勉強組の教師役を交えてそれぞれの将来について話していく。一番驚いたのは魚住が高校を卒業したら板前になると言った事だな。
あいつなら将来的には大学や社会人バスケの全日本メンバーになっても不思議じゃねぇんだが、板前になるのが魚住の夢なら仕方がない。
けど……やっぱり惜しいと思っちまうのは、それだけ魚住がいいバスケ選手だって事なんだよな。
これで本日の投稿は終わりです。
それと早いですが今年の投稿を終わりにいたします。
また来年にお会いしましょう。