side:三井寿
今日は合宿最終日とあって練習は壮行試合がメインとなった。組み合わせは陵南と海南と武里に加えて桜木の混合チーム対翔陽、混合チーム対湘北、そして翔陽対湘北だ。
混合チームとの試合は午前中に行われる。混合チームのメンバーは午前中に2試合と厳しいスケジュールだが、むしろあいつらは2試合とも勝つつもりらしく気炎を上げている。ふっ、望むところだ。
午前の第1試合の混合チームのスタメンはPGに陵南の植草、Cに海南の高砂、Gに武里の3年でキャプテンの須賀さん、Fに海南の武藤、そしてPFには桜木だ。
「しっかり走れ!少しでも足が止まったと思ったら直ぐに交代するからな!」
混合チームの第1試合で監督をする田岡監督がそう発破を掛けると、桜木がそれに反応した。
「ハッハッハッ!この天才桜木に任せておけ!」
「お前が1番心配なんだ!」
「なにおう!?」
そんな桜木と田岡監督の掛け合いに混合チームのメンバーが囃し立てる。
「桜木、5ファウルを期待してるぞ!」
「お前が退場したら俺達の出番が増えるからな!」
「ふざけんなお前ら!仲間じゃねぇのか!」
桜木にはいわゆる体育会系の上下関係の礼儀みたいなものはない。だが慣れると下手な友人以上に付き合いやすい愛嬌の様なものがある。そのせいなのかこの合宿で1番可愛がられたのは間違いなく桜木だろう。
「桜木君、頑張って!」
「任せてください晴子さん!」
あいつ男相手には礼儀はないが女にはあるんだよな。しかも周りからみたら好意があからさまだからか、桜木の恋愛模様は皆が生暖かく見守っている。
さてそれはともかく午前の第1試合が始まった。ジャンプボールは翔陽の花形が制して翔陽の攻めからだ。
藤真がボールを回しじっくりと時間をかけて組み立てる。
「桜木!チェックしっかり!」
「おう!」
須賀さんからの指示に従って桜木がディフェンスの基本通りに相手をチェックをする。うん、まだ甘いところはあるが形は出来てきたな。
「スリー!」
植草の声が上がると同時に藤真が3Pシュートを撃った。
「リバウンドは俺が制す!」
いい嗅覚をしてるぜ。桜木が高砂や花形よりも先にボールの落下点に入った。あれじゃ赤木や魚住でも厳しいかもな。
「どりゃ!」
桜木がリバウンドを取りボールを確保。混合チームの攻めが始まる。
「ほっほっほっ、桜木君はリバウンダーとして目覚めつつありますね。来年が楽しみです」
安西先生の言葉通りに来年が楽しみだ。まぁその前に……あいつが無事に受験に合格しなきゃいけないんだがな。
「赤木、負けてらんねぇぞ」
「あぁ、わかっている。あいつだけじゃなく魚住にもな」
チラリと混合チームのベンチに目を向けると、そこには今の桜木のプレーを冷静に見ていた魚住の姿があった。
(貫禄が出てきてるな。それでいて傲っている様子もない。いい選手に成長したもんだぜ本当に)
追う立場から追われる立場となった魚住だがあいつは揺れないだろうな。ふっ、これからの神奈川ナンバーワンC争いは見物だぜ。
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