三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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第99話『壮行試合 その2』

side:三井寿

 

 

 混合チーム対翔陽の試合は2ゴール差で翔陽が勝った。この結果はチームとしての練度の差でもあるが、逆に言えば混合チームのメンバーの底力を見せ付けたとも言える。

 

 特に混合チームで目立った活躍したのは桜木だ。桜木は後半半ばで5ファウルで退場するまではオフェンスとディフェンスの両方でリバウンドを取りまくっていた。

 

 もし最後の局面でまだ桜木がコートにいたら2ゴール差はひっくり返っていたかもしれない。そう思わせるぐらいにはこの試合で桜木は存在感を示していた。

 

 とはいうものの、混合チームが牧や魚住に仙道といったエース級を温存して翔陽を相手に2ゴール差まで迫ることが出来たのは田岡監督の采配が大きいだろう。

 

 効果的にタイムアウトや選手交代を使って翔陽に終始主導権を渡さなかったのは見事としか言い様がない。

 

 まぁ、それはそれとして……。

 

「桜木、うちに来ないか?」

「田岡先輩、抜け駆けはいけませんなぁ」

 

 桜木の才能が認められた結果、桜木の勧誘合戦が始まっちまったんだよな。

 

「いや~、この天才桜木の価値に気付いたかね諸君。だがしかーし!この男桜木!湘北以外は眼中にねぇ!」

 

 そう宣言した桜木に各校の監督は苦笑いをする。何故なら……。

 

「よかったぁ!桜木君、一緒に湘北に行こうね!」

「晴子さん……!も、もちろんです!この天才桜木!晴子さんと一緒に湘北に行き!晴子さんと湘北を全国に連れていってみせましょう!」

「うん!約束だよ♪」

 

 桜木の様子から十中八九は晴子が目当てだと見えちまってるだろうからな。けど桜木はああ見えてかなり義理堅い奴だ。晴子の事が無くても湘北に来ただろう。ちゃんと受験に受かればだけどな……。

 

 さてそれはともかく、今度はうちと混合チームの試合だ。うちのスタメンはCに赤木、PGに長瀬さん、SGに木暮、Gに倉石、SFに俺だ。

 

 対する混合チームはCに魚住、PGに牧、SGに宮益、PFに福田、Fに仙道、そしてチームを率いる監督は高頭監督だ。

 

 高頭監督らしくかなり攻撃的なメンバーの選出だな。それはともかく、ここでどこまで赤木が成長出来るか……それが全国でどこまでいけるかの鍵になるだろうな。

 

 さぁ、試合開始だ。ジャンプボールは魚住が制して混合チームの攻めから。おっ?牧は直ぐに仙道にボールを回して、その仙道が俺とマッチアップに。

 

「行きますよ、三井さん」

 

 仙道の仕掛けを先読みして止める。ボールは奪えなかったが時間は掛けさせることが出来た。ターンオーバーまで残り12秒。

 

 ここで宮益がヘルプに来た。敵ながら悪くないタイミングだ。一瞬気を取られた隙に仙道が仕掛けてくる。半歩抜け出されて仙道に主導権を取られた。だがここで仙道は俺を抜き去る選択をせずにパスを選択。牧にボールが渡る。

 

 更に牧から魚住にボールが渡る。この時点でターンオーバーまで残り4秒となっていたが、ここで魚住はベビーフックをフェイクに福田にパス。そして福田が残り2秒でしっかりと決めた。……いきなり魅せてくれるじゃねぇか。

 

 まるでセットされていたかと思える今の流れる様なオフェンスは、見学に回っている奴等から歓声を引き出す程に見事なものだった。

 

 どうやら混合チームでも連携に問題はねぇみたいだな。いや、さっきの翔陽との試合に負けたことで意識が高まったってとこか。いいな。壮行試合に相応しい相手になったぜ。

 

 長瀬さんからボールが回ってくると牧がマッチアップしてくる。

 

「さぁ1本、しっかり」

 

 そう声を掛けると皆から「応!」と声が上がる。

 

 さて、どう仕掛けるか?




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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