三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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第101話『全国に出陣』

side:三井寿

 

 

 結果から言うと混合チームとの壮行試合は負けた。だが十分な収穫はあった試合だったぜ。

 

 先ずはなんと言っても赤木の成長だな。まだ魚住には届かないがしっかりと駆け引きをするようになった。全国で経験を積めば更に成長するだろう。

 

 他の皆も今回の合宿でそれぞれ手応えを感じているからな。組み合わせ次第だがかなり勝ち進める筈だ。

 

 とは言ったものの狙うのはもちろん全国制覇だ。ここは絶対にぶれちゃいけねぇ。じゃねぇと勝てる試合も勝てなくなっちまうからな。

 

 さて、合同合宿が終わり数日の休養を挟むといよいよ全国大会だ。宿泊する旅館に入り荷物を置くと、とあるバスケ雑誌に載っていた俺達の評価を目にした。

 

『湘北高校 総合評価D』

 

『エースである三井寿選手のワンマンチームである印象が拭えない』

 

『また湘北高校は近年の流行であるインサイド主軸の戦術ではなく、アウトサイドを主軸とした戦術である』

 

『確実性に欠けるこの戦術で一発勝負のトーナメントを勝ち抜くのは非常に厳しいだろう』

 

 ……と、だいたいこんな感じの評価が載っていた。

 

「去年の今頃ならばこの評価は正しかったでしょう」

 

 安西先生がそう話し出すと皆が耳を傾ける。

 

「ですが皆さんは激戦の神奈川決勝リーグを勝ち抜きました。これは誇っていいことです」

 

「君達は強い。この評価が間違いであると証明し、全国の強豪達を驚かせてあげましょう」

 

 自然と長瀬さんを中心に円陣を組んでいた。そして……。

 

「俺達は強い!」

「「「おぉっ!」」」

 

 

 

 

side:河田雅史

 

 

「3回戦か」

 

 トーナメントの組み合わせを見ると3回戦であの三井がいる湘北とぶつかる。まぁ、お互いに勝ち上がればだがな。

 

「河田さん、3回戦がどうかしたんですか?」

 

 沢北が覗き込んできながらそう言うので冊子を渡す。

 

「うん?あぁ、あの愛知の星とかいう人が気になるんですか?」

「そっちじゃねぇ」

「じゃあ大阪の南さんですか」

「違う」

 

 確かに諸星はいい選手だがあいつはまだ楽な相手だ。少なくともうちが負ける心配はせんでいい。

 

 南もいい選手だが俺にとっちゃ三井程じゃねぇ。

 

「えっ?じゃあこっちの湘北ってとこですか?」

「そうだ」

「聞いたことないですね……」

 

 まぁそりゃそうだろうな。去年まで弱小校の一つだったんだ。去年の選抜で三井を見てなきゃ欠片も警戒してなかっただろうよ。

 

「三井っていうヤバイのがいる」

「へぇ……じゃあ俺がその三井って人を抑えますよ」

 

 無理だな。そう思うものの堂本監督は沢北を三井にぶつけるだろうよ。こいつの成長のために。

 

 それはそれとして俺は沢北にヘッドロックを掛ける。

 

「調子に乗ってるな。女子の声援のせいか?うん?」

「あいたたたたっ!?ギブッ!ギブッっす!」

 

 こいつが負けてもチームが勝てばいい。そしてこいつが負けから這い上がってくるかはこいつ次第だ。それが勝負の世界……潰れんじゃねぇぞ。

 

「いたたたたっ!?ギブッ!ギブですってば河田さん!」

 

 今度は仰向けにさせた沢北にアームロックを掛けると、しばらく沢北とじゃれあうのだった。




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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