side:三井寿
結果から言うと混合チームとの壮行試合は負けた。だが十分な収穫はあった試合だったぜ。
先ずはなんと言っても赤木の成長だな。まだ魚住には届かないがしっかりと駆け引きをするようになった。全国で経験を積めば更に成長するだろう。
他の皆も今回の合宿でそれぞれ手応えを感じているからな。組み合わせ次第だがかなり勝ち進める筈だ。
とは言ったものの狙うのはもちろん全国制覇だ。ここは絶対にぶれちゃいけねぇ。じゃねぇと勝てる試合も勝てなくなっちまうからな。
さて、合同合宿が終わり数日の休養を挟むといよいよ全国大会だ。宿泊する旅館に入り荷物を置くと、とあるバスケ雑誌に載っていた俺達の評価を目にした。
『湘北高校 総合評価D』
『エースである三井寿選手のワンマンチームである印象が拭えない』
『また湘北高校は近年の流行であるインサイド主軸の戦術ではなく、アウトサイドを主軸とした戦術である』
『確実性に欠けるこの戦術で一発勝負のトーナメントを勝ち抜くのは非常に厳しいだろう』
……と、だいたいこんな感じの評価が載っていた。
「去年の今頃ならばこの評価は正しかったでしょう」
安西先生がそう話し出すと皆が耳を傾ける。
「ですが皆さんは激戦の神奈川決勝リーグを勝ち抜きました。これは誇っていいことです」
「君達は強い。この評価が間違いであると証明し、全国の強豪達を驚かせてあげましょう」
自然と長瀬さんを中心に円陣を組んでいた。そして……。
「俺達は強い!」
「「「おぉっ!」」」
◆
side:河田雅史
「3回戦か」
トーナメントの組み合わせを見ると3回戦であの三井がいる湘北とぶつかる。まぁ、お互いに勝ち上がればだがな。
「河田さん、3回戦がどうかしたんですか?」
沢北が覗き込んできながらそう言うので冊子を渡す。
「うん?あぁ、あの愛知の星とかいう人が気になるんですか?」
「そっちじゃねぇ」
「じゃあ大阪の南さんですか」
「違う」
確かに諸星はいい選手だがあいつはまだ楽な相手だ。少なくともうちが負ける心配はせんでいい。
南もいい選手だが俺にとっちゃ三井程じゃねぇ。
「えっ?じゃあこっちの湘北ってとこですか?」
「そうだ」
「聞いたことないですね……」
まぁそりゃそうだろうな。去年まで弱小校の一つだったんだ。去年の選抜で三井を見てなきゃ欠片も警戒してなかっただろうよ。
「三井っていうヤバイのがいる」
「へぇ……じゃあ俺がその三井って人を抑えますよ」
無理だな。そう思うものの堂本監督は沢北を三井にぶつけるだろうよ。こいつの成長のために。
それはそれとして俺は沢北にヘッドロックを掛ける。
「調子に乗ってるな。女子の声援のせいか?うん?」
「あいたたたたっ!?ギブッ!ギブッっす!」
こいつが負けてもチームが勝てばいい。そしてこいつが負けから這い上がってくるかはこいつ次第だ。それが勝負の世界……潰れんじゃねぇぞ。
「いたたたたっ!?ギブッ!ギブですってば河田さん!」
今度は仰向けにさせた沢北にアームロックを掛けると、しばらく沢北とじゃれあうのだった。
これで本日の投稿は終わりです。
また来週お会いしましょう。