side:三井寿
俺達湘北の1回戦の相手は愛和学院高校だ。例の雑誌によると諸星大っていうエースがチームを牽引しているらしい。雑誌での評価は湘北よりも上。下克上の狼煙を上げるにはうってつけの相手だな。
「序盤は三井君で行きます」
安西先生のその言葉にピクリと反応してしまう。そして嬉しさと同時に疑問も沸き上がる。
「全国という大舞台……残念ながら皆さんは経験が皆無に等しい。どれほど解そうと思っても序盤は固さが残ってしまうでしょう」
「ですが三井君なら去年の選抜で経験がある。皆さんの固さが解れるまで十分に試合を任せることが出来ます」
赤木も経験はあるっちゃあるが赤木はようやく色々と上向いたばかり、任せるにはちと荷が重いか。
「というわけで三井君、任せましたよ?」
「はい!」
安西先生の信頼に応える。その気持ちだけで俺のモチベーションは最高になったぜ。
とはいってもだ……ちょいとチームに発破を掛けないとな。
「ところで安西先生」
「はい、何でしょう?」
「序盤を任せられました。ですがそのまま試合を決めてしまっても構わないでしょう?」
「……えぇ、もちろんです」
俺の意図が伝わったのか安西先生は微笑む。俺は敢えて立ち上がって注目を集めると口を開く。
「そういうわけで、早くしねぇと皆の出番は無くなるぜ?」
挑発とも取れる俺の発破に反応して長瀬さんが立ち上がる。
「三井にばかり目立たせるわけにいくか!そうだろ皆!?」
「「「おぉ!」」」
おっと、こりゃ俺が序盤で頑張る必要はなくなったか?けど安西先生からのオーダーだからな。完璧にこなしてやるぜ!
◆
side:諸星大
(さて、去年の選抜MVPの実力はどんなもんかな?)
湘北との試合が始まり三井とマッチアップする。先ずは三井の攻めからだ。
(……ストレート!っ!?クロス!?)
アンクルブレイクされて尻もちをついた俺は、悠々とジャンプシュートをミドルレンジから決めた三井の背中を見上げるしかなかった。
(ドリブルは見事なもんだったが……ディフェンスはどうだ!)
ボールを貰い三井とマッチアップ。今度は俺の番。目線でフェイクを掛けてストレートに抜きにいく。
(っ!?読まれた!?)
完璧についてこられた俺は一度下がって仕切り直す。
(次は抜く!あっ!しまっ……!?)
スティールを決められてボールを失ってしまう。三井はそのまま速攻を掛けて冷静にレイアップでゴール。
「……ははっ」
面白い……面白いじゃねぇか三井!
「次は止める。そしてぶち抜く!」
「オーケー、やってみろよ」
集中力がピークに達したのを感じる。今なら最高のパフォーマンスを発揮出来そうだ。
(選手として思っちゃいけねぇのかもしれねぇが、試合の勝敗を抜きにして全力でぶつかりたい。そんな風に思ったのはお前が初めてだぜ……三井!)
この日、俺は幾度も三井とマッチアップしたがその尽くで負けた。チームも負けちまったし散々な日だったぜ。
だが次は俺が、俺達が勝つ!だから湘北……また全国まで勝ち上がって来いよ!
これで本日の投稿は終わりです。
また来週お会いしましょう。