side:三井寿
残り3分で4点差……これが届きそうで届かない厄介な点差だった。
先ず山王に堅実に2点取られ6点差にされると、山王は徹底して俺と木暮に代わって出場してる長谷さんの3Pを警戒してきた。しかもご丁寧に俺にはダブルチームをつけてな。
そのせいで2点はなんとか取れても差が縮まらない。時間は刻一刻と過ぎていき残り2分20秒となった。
ここで俺はもう一度仕掛けた。ドリブルで行くと見せ掛けて下がってディープスリー。最大限3Pシュートを警戒されていたからかしっかりとブロックに跳ばれていたのでシュートセレクションとしては良くなかったが、それでもシュートは決まって3点差となった。
これでまた動揺してくれたらよかったんだがそこは山王。この土壇場で揺らがない辺りは流石だった。
きっちり2点を返されて5点差。しかもターンオーバーまで目一杯時間を使われて残り時間は1分30秒。いよいよ後が無くなってきたぜ。
それでも俺達は諦めない。直ぐに安田からボールを貰った俺は今度はドリブルで仕掛ける。
ダブルチームを抜き去るとバスケットカウントを貰うためにわざと河田の正面からレイアップに行ったが、驚くことに河田は手を上げただけでブロックに跳びすらしなかった。
そして冷静に時間を使われて2点を取られまた5点差。残り50秒。まだだ……まだ試合は終わっちゃいねぇ!
また直ぐにボールを貰った俺は今度もドリブルで仕掛ける。だが今度は抜いた後に中を通って逆サイドに抜ける。
そして逆サイドに抜けたら3Pシュートを撃つ。……よしっ!これで2点差だ!
「この1本、絶対に止めるぞ!」
「「「おぉ!」」」
赤木に代わって出ている猪狩さんの檄に俺達は応え声を上げる。だが山王はそれでも冷静だった。
深津がじっくりと時間を使い始める。残り35秒。ここで安田が動いた。スティールを仕掛けた安田だが、ボールは奪えずファールになる。だがおかげで時計は止まった。
「すみません、とれませんでした」
「いや、ナイスだ」
その証拠とでも言うべきか安西先生が動いた。赤木、木暮、長瀬さんを投入してきたんだ。
赤木を投入したのはリバウンドを取るため、木暮は逆転の3Pシュートの機会を増やすため、そして長瀬さんは深津からボールを奪う可能性を高めるためだ。
試合が再開されると長瀬さんが死に物狂いで深津からボールを奪いにいくが、深津は冷静に下がってボールを回す。
木暮、倉石と対峙した相手がボールを持つと積極的にスティールを仕掛けようとするが、山王は玉離れが早く中々奪えない。くそっ、こういうところもよく鍛えられてやがる。
だがこちらが仕掛けていくプレッシャーが効いたのか山王はミドルレンジからのジャンプシュートを外した。リングに弾かれたボールが宙を舞う。
「赤木!」
「おうっ!」
ここ一番で赤木はリバウンドを取ってみせた。残り5秒。行ける!
そう思ったが山王の反応も流石で即座に俺にダブルチームをつけてパスコースを潰してきた。けど……代わりに木暮のパスコースが空いてるぜ!
「撃て、木暮!」
懸命に走ってパスをもらった木暮が3Pシュートを放つ。ボールが宙を進む間にブザーが鳴る。そして……。
「……ごめん、皆」
無情にもボールがリングに弾かれると、木暮は涙を流しながらそう言葉を溢したのだった。
これで本日の投稿は終わりです。
また来週お会いしましょう。