三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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幕間7『藤真の全国大会』

side:藤真健司

 

 

 湘北が負けた。王者山王を後一歩まで追い詰めてのこの敗戦は、全国の多くの高校バスケ関係者に衝撃を与えただろうな。

 

 頭の中でシミュレートする。最後のあの場面、もし木暮が3Pシュートではなくより確実に2点を取りにいった場合だ。

 

 少し考えて首を横に振った。もしそれで同点延長に行ったとしても、湘北には山王と延長を戦えるだけの余裕はなく蹂躙されただけだろう。そうなるとあの木暮の3Pシュートを撃った判断が最善。唯一あの場面で山王相手に勝機を掴み取れただろう選択だ。

 

 結果として湘北は負けてしまったが、あれ以上の選択もなかったというのが俺の考え。なによりあの場面で3Pシュートが確率の高い選択としてあるのは、神奈川以外には無い明らかな強みだ。

 

 ここ数年の神奈川高校バスケは三井の影響で積極的に3Pシュートを狙う高校が増えた。もちろん三井クラスのシューターは他にはいないが、それでも木暮のようにうちや海南でも無視出来ない選手が増えつつある。

 

 対して神奈川以外に目を向けると3Pシュートを武器としているのは大阪の豊玉の南ぐらいなもので、あの王者山王ですら3Pシュートは戦術に落とし込んでいない。時折試合のリズムを変えるために奇襲のような感じで狙う程度だ。

 

 やはりうちを含めた神奈川勢が全国制覇を目指すならキーとなるのが3Pシュートだ。いや、むしろ3Pシュートをキーとするぐらいまで昇華出来て初めて王者山王の牙城を崩す機会が見えてくる。少なくとも俺はそう感じた。

 

 さて、それはそれとして俺達の試合に集中しないとな。幸いにも王者山王とぶつかるのは決勝戦だ。先ずは決勝戦まで勝ち上がらないとな。

 

 3回戦に勝利しその後も危ない場面がありながらも勝ち進み続け、王者山王との決勝戦まで駒を進める事が出来た。

 

 決勝戦まで山王のバスケを見てきたが、正直に言えば厳しい。うちでマッチアップ相手に優位な選手が俺を含めていない。

 

 可能な限り個の勝負は避けて戦術で勝負するしかないだろう。その上で俺がどれだけ3Pシュートを決めることが出来るかだ。

 

 チラリと花形を始めとしたうちのインサイド陣に目を向ける。

 

(リバウンドを頼むぞ)

 

 そうして始まった山王との決勝戦、前半は互角に渡り合う事が出来たが、後半の勝負所で山王が仕掛けてきたフルコートプレスディフェンスにうちはなすすべなく、一気に勝負を決められてしまった。

 

 悔しい。その一言に尽きる結果だった。だがフルコートプレスディフェンスに対処出来れば山王にも勝機を見出だせる……これがわかっただけでも収穫はあった。

 

 もっとも、そのフルコートプレスディフェンスに対処するのが非常に困難なんだけどな。

 

 それでも俺は……俺達は諦めない。全国制覇が手を伸ばせば届くところまで辿り着けたんだ。

 

 次こそは掴んでみせる!




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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