三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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本日投稿2話目です。


第11話『三井復帰』

side:三井寿

 

 

「三井君、もう大丈夫ですよ。部活動を再開して結構です。」

 

春の県大会から数日後、放課後に病院に行き担当医の先生の言葉を聞いた俺は、勢い良く立ち上がって頭を下げる。

 

「小林先生、ありがとうございました!」

「いえいえ、それにしても良く我慢しましたね。君ぐらいの年の子は怪我を軽視したり、焦って怪我が治りきる前に練習した結果また怪我を繰り返しがちなんですが。」

 

担当医の先生の言葉を聞いた俺は思わず苦笑いをしちまう。

 

前世の記憶を思い出してなかったら、間違いなく焦って怪我が治りきる前に練習に参加してただろうからな。

 

「本当にありがとうございました!失礼します!」

 

診察室から出た俺は一緒に来ていた母さんに振り向く。

 

「母さん、悪いけど先に行くぜ。」

「はいはい、あっ、寿これ。」

 

そう言いながら母さんは何かが入った袋を渡してくる。

 

「何だこれ?」

「膝のサポーターよ。お父さんからのプレゼントね。怪我をする前に予防しておきなさいって。帰ったらちゃんとお礼を言うのよ。」

「あぁ、わかったよ。母さんもありがとな。」

 

包みを開けた俺はズボンの裾を捲り上げてサポーターをつける。

 

「それじゃ、ちょっと一走りして部活に行ってくるぜ。」

「気をつけて行ってくるのよ~。」

 

病院の外に出た俺はしっかりと準備運動をすると、サポーターを付けた左膝の状態を確かめる様にしてゆっくりと走り出すのだった。

 

 

 

 

side:三井寿

 

 

「安西先生、担当医の先生から許可が出ました!今日から練習に参加します!」

「はい、わかりました。それでは三井君、準備運動をして身体を温めたら皆と合流してください。」

「安西先生、病院から走ってきたので身体は温まってます!なので直ぐに合流出来ます!」

「ほっほっほっ、それは結構。」

 

皆の所に合流すると俺は頭を下げる。

 

「遅くなりました!三井寿!今日から練習に参加します!」

「おう、お帰り三井。」

 

キャプテンの石渡さんを筆頭に皆が声を掛けてくれると、俺も一緒に皆と練習をしていく。

 

1ヵ月振りに出来る本格的なバスケに思わず感動する。

 

あぁ…やっぱりバスケは楽しいぜ。

 

「よし、それじゃ紅白戦行くぞ!」

 

紅白戦?基本的に紅白戦は週末とかの練習時間を多く取れる日にしかやらなかったんだけどな。

 

そう疑問に思っていると石渡さんが俺の肩に手を置いて話し掛けてくる。

 

「三井、入部初日のやり直しってわけじゃないが、あのままじゃイメージが悪いだろ?だから思いっきり暴れて悪いイメージを吹っ飛ばせ。」

 

…もしかして今日の紅白戦は俺の為に?

 

そう考えていると誰かの話し声が聞こえてくる。

 

「頼んだぜ、赤木。復帰してきたばかりの三井に負けるなよ。」

「はい!」

 

土橋さんと赤木の声がした方に目を向けると赤木と目が合った。

 

「…手加減はしないってか?上等だぜ。ありがとうございます、石渡さん。必ず悪いイメージを吹っ飛ばしてみせますよ。」

 

 

 

 

side:赤木美和

 

 

紅白戦が始まると三井君は1ヵ月のブランクを感じさせない動きで、Bチームを翻弄していった。

 

いや~凄いわね。なにあのクロスオーバー。ストレートに抜きに行くかどうか全く区別がつかないんだけど。

 

剛憲の話だと三井君はユーロステップも使ってたみたいだけど…どうも使わないみたい。

 

それもそっか。あれで三井君は怪我をしたんだもんね。

 

私でもしばらく封印するわ。

 

あっ、またクロスオーバーで抜いた。

 

おぉ!流石は三井君!周りが見えてるぅ!外でフリーになった木暮君にナイスパス!

 

あぁ~、外しちゃった。まぁ仕方ないよね…っと思ったら三井君ナイスリバウンド!

 

剛憲とのリバウンド争いを制するとかナイス過ぎるよ!

 

まぁそれはそれとして…剛憲の課題が見えてきたかな。

 

パワー系の相手なら剛憲は互角以上に戦えるけど、テクニック系の相手だと振り回されちゃうみたいね。

 

現に三井君がゴール下に入ったらすっごい苦戦してるもん。

 

まぁ三井君が上手いってのもあるんだけどね。

 

それと木暮君は…もっとスクリーンを仕掛けたりして、味方をカバーする動きが欲しいかな。

 

これは意識するだけでもかなり違うから、木暮君は一気に成長しそうだね。

 

三井君は技術面での課題はなさそうかな。というより三井君の課題は怪我に強い身体作りだよね。

 

後はそれに付随する形で身体能力全般の強化かな。

 

これは一朝一夕で出来るものじゃないし、時間を掛けてゆっくりとやっていくしかないか。

 

さて、三井君達の課題はオーケーとしても、チーム全体の問題が残っちゃってるのよねぇ…。三井君達3人しか本気で全国制覇を狙ってないって大問題が。

 

まぁ、しょうがないのかな。湘北はバスケ弱小校だし。

 

神奈川の高校で本気でバスケをやろうとするなら、強豪の海南とか翔陽とかに行くもんね。

 

安西先生はバスケ界では有名みたいだけど、それでも本気でバスケをやろうと思って湘北に来るのはかなり博打になっちゃうわ。

 

その博打をしに来たのが剛憲と木暮君なんだけど。

 

そういえば三井君はなんで湘北に来たんだろ?去年の安西先生にボールを拾ってもらった時に何かあったのかな?…今度聞いてみようっと。

 

それから時間が過ぎていくと、紅白戦は三井君が大活躍してAチームが勝ったわ。

 

終始楽しそうにプレイする三井君は最高にカッコ良かった!

 

そして負けたBチームは罰ゲームのダッシュ10本をこなしていったんだけど、ダッシュを嫌々やっている人がほとんどだわ。

 

こうして改めて見ると三井君達3人以外じゃ、しっかりと練習に打ち込んでるのは石渡さんと土橋さんぐらいなのよねぇ。

 

2人共3年生だし受験勉強があるから夏が終わったら引退かな?出来ればウインターカップまで残ってほしいんだけど…。

 

はぁ…これは夏以降苦労しそうだなぁ。




◆安西光義(あんざい みつよし):湘北の監督。某ケ〇タッキーの人とよく間違われる。

 原作では桜木や流川といった才能溢れる一年生が入部してくるまでモチベーションを失っていたが、拙作では本気で全国を目指そうとする三井や赤木の姿に感化され徐々に情熱を取り戻していっている。
 名将復活なるか?

◆田岡茂一(たおか もいち):陵南の監督。原作では桜木に刺激的絶命拳を受けている。

 原作では三井、宮城、流川のスカウトに失敗しているが、拙作においても既に三井のスカウトに失敗している。
 また原作では桜木や木暮を侮ったりと迂闊なところがあるが、拙作においては三井の影響で成長した木暮にちゃんと注目している。
 高校時代の後輩である高頭の鼻を明かす日がくるか?

◆高頭力(たかとう りき):海南の監督。いつも扇子を持ち歩いているイメージ。

 強豪海南を作り上げた男。智将の異名を持つ。
 原作においては試合開始10分で桜木の本質を見抜いたりと中々の慧眼を持つ。


次の投稿は11:00の予定です。
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