三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

120 / 201
第112話『個の勝利、チームの勝利』

side:仙道彰

 

 

 さぁて、決勝戦だ。おぉ?立ち見までギュウギュウの満員御礼ってやつか。こりゃ楽しくなりそうだな。

 

 アップをしてる秋田選抜のメンバーに目を向ける。おっ?いたいた北沢……じゃなくて沢北だ。中学の時は一度も勝てなかったが……と。

 

 ……うん、なんとかなりそうだ。あいつには悪いが、正直こんなもんだったか?って印象が強い。

 

 アップも終わって整列。挨拶の時に沢北に目を向けてみるが、あいつはずっと三井さんを見てた。さぁ、挨拶も終わって試合開始だ。

 

 ジャンプボールを魚住さんが制してうちのボールから。さて、牧さんは誰で行く?……って自分かよ。

 

 牧さんはマッチアップ相手の……深津?さんを抜くと、そのまま中に切り込みシュートを決めた。しかもバスケットカウントのオマケ付き。流石は牧さんだな。

 

 けどこの牧さんのワンプレーで秋田選抜のメンバーの雰囲気がガラッと変わった。……いいね。そうこなくちゃ。

 

 そう思ってディフェンスを始めたんだが、マークについた沢北はどうも集中しきれてない様に感じる。

 

「試合が始まってもまだ三井さんが気になるのか?」

「……あの人とやらせろ」

 

 やれやれ、まるで試合じゃなくて1on1をしに来たみたいに言うじゃないか。

 

「いいぜ。ただし、俺に勝てたらな」

 

 そう軽く挑発してみるとその気になったのか沢北はパスを要求した。ターンオーバーまで残り20秒弱。さぁ来いよ。

 

 沢北はフェイク無しにストレートに突っ込んで来た。

 

 速い。トップスピードまでの加速力は牧さんや三井さん並みだ。けど……。

 

「っ!?」

 

 あの2人と比べたら動き出しのタイミングがわかりやすい。これなら十分に反応出来るぜ。

 

 ロールをしてクロスに抜けようとしてくるがそれも止める。中学の時はこうもすんなりとは止められなかったんだがな。こうして改めて成長を実感すると楽しくなってくるぜ。

 

 そう思って笑ったのが癪に触ったのか、沢北はガムシャラに仕掛けてくる。けどシュートにまでは行かせない。

 

 そうこうしている内にターンオーバーになる。すると牧さんが速攻を仕掛けてゴールを決める。三井さんもしっかりフォローに走ってたし、あの2人の切り替えの速さは流石だなぁ。次は俺も直ぐに走らねぇと、田岡監督に叱られちまうぜ。

 

 

 

 

side:魚住純

 

 

 試合開始から10分程で秋田選抜は沢北をベンチに下げた。それはいい。それよりも俺はこいつの相手に集中しなければ。

 

 河田雅史。田岡監督の話ではGからF、そしてCへとコンバートを経験してきた選手だそうだが……中々どうして、Cの動きが板についている。

 

 だがそれとは別にこいつは非常に厄介な相手だ。駆け引きが頗る上手い。赤木とやりあう時よりも集中を求められる相手だ。

 

「ふんっ!」

 

 オフェンスリバウンドは制したがそう簡単には押し込めない。無理をせず1度牧に戻す。

 

「こないんか?」

「俺が勝たずともチームが勝てばいい」

「ははっ、違いない。あの馬鹿もそれをわかりゃいいんだが」

 

 厄介で掴みどころが無い。だが対峙していて勉強になる選手だ。

 

 後1年……この残りのバスケ人生を悔いなく終えるため、チームの勝利に全力を尽くす。俺に出来るのはそれだけだ。




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。