三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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第116話『後無き者の気迫と新戦術』

side:三井寿

 

 

 ウインターカップの県予選の内3ブロックが決した。湘北、陵南、翔陽の3チームだ。

 

 そして今、最後のブロック予選の決勝戦の海南対武里の試合を見ているんだが……想像以上に武里が奮戦していた。

 

「須賀君は全国を経験して完全に一皮剥けましたね」

 

 そう、安西先生の言う通りに須賀さんの動きが秀逸だ。海南を食いかねない勢いを持っている。

 

 それに気付いた高頭監督は須賀さんのマッチアップを牧に代えたが、武里の勢いは止まらない。

 

 腹を括ったのかタイムアウトを取った海南は点の取り合いを挑んだ。

 

 須賀さんが決めれば牧が決め返し、牧が決めれば須賀さんが決め返す。

 

 須賀さんの奮闘に武里のメンバーが応え、牧の奮闘に海南のメンバーが応える。その様相は県予選とは思えない程に白熱し、レベルが高いものだ。

 

 チラリと安西先生に目を向けるとニコニコと微笑んでいた。おそらくこの状況は願っていたものだからだろう。

 

 湘北の勝利を目指しつつも楽はさせない。厳しくも俺達の成長を願う愛ある指導者の姿ってところか……流石は安西先生だぜ。

 

 前半を武里が4点リードで終えると会場はざわめきで包まれている。これがプレッシャーとなりコートにどんな影響を与えるのか……後半もまだまだ目を離せないな。

 

 

 

 

side:牧紳一

 

 

「神、アップは終わっているな?」

「はい、待ちくたびれましたよ、監督」

「決勝リーグまで温存するつもりだったが、どうやら武里はそこまで甘くない相手のようだ。後半は出し惜しみなしでいくぞ」

 

 神は元々CだったがSGにコンバートし、毎日500本のシューティング練習を欠かさずにやってきた。その努力のお披露目が早まったが、武里の圧力を考えると仕方ないだろうな。

 

 後半が始まった。後半は宮と神の2枚シューターを主体に組み立てる。

 

 前半は宮1人に集中出来ただろうが後半は2枚だ。どうする?

 

 宮と神は両サイドに広がり、その2人に武里がマークを割いたことで中にポッカリとスペースが出来た。これなら色々とやれそうだ。

 

 先ずは仕掛けてカットイン。須賀さんのチェックは完全に外せなかったが問題ない。さっきまで俺がいた場所にノールックでパスを出す。

 

 すると綺麗な放物線を描いてボールが宙を飛ぶ。神の3Pシュートだ。

 

 ボールはリングに触れることなく通過し3Pシュートが決まる。神は公式戦ではデビュー戦だが固さはないみたいだな。

 

 須賀さんに決め返されて3点差を追う展開。武里は宮と神へのチェックを強めたが……いいのか?

 

「俺も打てるんだぜ?」

 

 不意をつけたのか須賀さんは反応出来ずフリーで打てたが……こりゃ外れるな。まだまだ精進が必要だぜ。

 

 けど問題ない。うちのゴール下には高砂がいる。

 

 高砂は魚住や赤木と比べりゃ1枚落ちる選手だが、それでも1年の時から海南のユニフォームを着てきた男だ。そう簡単にゴール下は譲らない。

 

 リバウンドを制した高砂がそのまま決めて1点差に詰め寄る。

 

 外には宮と神、中には高砂と武藤、そして中をメインに外もいける俺……これが新しい海南の戦術だ。

 

 須賀さん、引退の掛かっているあんたの勝利への執念は大したもんだ。けど、勝つのは俺達だ。

 

 その後、新たな戦術が機能した海南は逆転し、更に徐々に点差を広げて勝利した。

 

 さぁ、次は決勝リーグだ。

 

 たった1つの全国への枠……掴み取るのは俺達海南だぜ!




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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