三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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第117話『2年目ウインターカップ決勝リーグ』

side:三井寿

 

 

 決勝リーグの第1戦目は翔陽との試合だ。スタメンはCに赤木、PGに安田、SGに木暮、Gに倉石、Fに俺だ。

 

 花形とのジャンプボールに赤木が勝ちうちの攻めから。この試合は特にマッチアップ相手の指定はない。だから試合の組み立てを安田に任せて自由に動かせてもらうか。

 

 中、外と適度に相手を揺さぶりながら安田と藤真の勝負を観察する。

 

 安田と藤真は似たタイプの選手だ。牧や仙道の様な個性を押し付けるパワープレイタイプの選手ではなく、フェイク等の駆け引きを好むテクニカルタイプと言うべきだな。

 

 もちろんパワープレイタイプでもフェイク等の駆け引きは行うし、テクニカルタイプも強引なプレーをすることがある。要するにどちらに軸を置いているかという話だ。

 

 早速安田が目線でフェイクを掛けたりして藤真の反応をみている。あれでその日の相手の調子を計ったりその後の駆け引きに利用したりするんだが、そこら辺が牧や仙道と違うところだな。

 

 牧や仙道は先ず自分ありき。自身の調子によってプレーの質が変化する。対して安田や藤真は相手ありき。相手に合わせて対応を変えていく。俺はどちらかというと牧や仙道よりのタイプだな。

 

 一概にどちらがいいとは言えない。いや、この場合は正解が無いと言うべきだな。

 

 例えばNBAにはスカイフックの使い手の様な個性の極みと言える選手もいれば、そうでなくとも第一線で活躍を続ける選手もいる。要はチームのニーズに合う何かを持っているかどうかだ。

 

 そして安田は湘北というチームのニーズに合うものを持っている選手。だからこそ選手個人としての能力では宮城に劣っていてもスタメンの座を勝ち取っているんだ。

 

 さぁ安田。お前の持っているものを存分に見せ付けてやれ。

 

 ふと不意に安田が力を抜いて棒立ちになり息を吐く。それに合わせる様に藤真が息を抜いた次の瞬間、安田がパスを出した。安田が息を吐いた瞬間に合わせて動き出した俺に。

 

 パスを受けた俺はそのまま流すようにしてリングの上に優しくボールを放る。それを赤木がアリウープでダンクを決めて先制点。ド派手なプレーに会場が沸き上がる。これだけ盛り上がるならセットプレーとして練習した甲斐があったってもんだ。

 

「「「ゴリラダーンク!」」」

 

 おぉ、ベンチの1年達が煽ってやがる。後で赤木に怒られてもしらねぇぞ。

 

「ゴリィ!派手に決めたからって調子に乗んなよぉ!」

「やかましいわぁ!」

 

 桜木の煽りに赤木が反応すると会場から笑い声が上がる。決勝リーグ独特のプレッシャーに影響されない……いいチームになったぜ。

 

「さぁここからだ。1本、止めるぞ!」

「「「おぉっ!」」」

 

 俺の檄に皆が応えディフェンスに戻る。

 

 試合はまだ始まったばかりだ。集中していくぞ!




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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