side:牧紳一
決勝リーグ最終戦、湘北との試合だ。勝った方が全国にとわかりやすくていい。
「お前達、時間だ」
アップを終え控え室で待機していた俺達を高頭監督が呼ぶ。
「行くぞ!」
「「「おぉっ!」」」
夏のインターハイが終わってからのチームのキャプテンは俺だ。キャプテンとしてちゃんとやれているかはわからねぇが、勝利への意思だけは誰よりも示してきたつもりだ。
試合前の整列が終わりジャンプボール。赤木に取られ湘北の攻めからだ。
湘北のPGである安田の相手は武藤に任せ俺は三井のマークにつく。
湘北に勝つには大まかに分けて2パターン。三井を抑えるか三井以外のところで勝負を掛けるかだ。
だが、ここ最近は後者も厳しくなってきている。だから前者をやりつつ後者もやらにゃならん。そして海南で三井と渡り合えるのは俺だけだ。
三井がボールを貰いこの試合初めてのマッチアップが始まる。
高頭監督曰く、三井の本質はシューター。故に3Pシュートを撃たせれば撃たせる程に調子を上げていくタイプらしい。それには俺も同感だ。
だからこそ三井にどれだけロングで撃たせないか。これが重要になる。だからといって内を疎かにすればドリブルで食い破られる。今日本で一番抑えるのが難しい男だろう。
だから面白い。もし来年に将来海南のエースとなり得るやつが来ても、三井との勝負は譲れない。譲りたくない。
その為にはここで結果を出さにゃならん。三井を抑えた。三井と渡り合えたという結果をだ。
スッとハンドフェイクを掛けてくる。この動きがそのままドリブルの予備動作になっているんだが、ここからストレートに抜きにくるか、クロスに来るのかがわからねぇ。
右足を引いた!?3Pか!
そう思い一歩踏み込むと、三井は右足をついた反動で一気に前進。ストレートに抜かれ尻餅をつく。
ストレートに俺を抜いた三井は右サイドに行きフリーで悠々と3Pシュートを撃つ。スウィッシュで決められ湘北に3点が入った。
これだ。これが三井の厄介なところだ。
全国でもナンバーワンの3Pシュート精度を持ちながら、全国でも三本の指に入るドリブル突破力を持つ。
更にディフェンス力も全国トップレベルでどのポジションも出来る超ユーティリティプレイヤー……間違いなく日本のバスケの歴史に名を刻む男だ。
立ち上がった俺は高砂にボールを要求。ボールを貰うとゆっくりと運び三井の前へ。
「借りは直ぐに返す」
「おう、やってみろ」
ふっ、熱くなってきた。まだ試合は始まったばかりだというのに、既に終盤かと思う程にだ。
俺はさっきの借りを返すために一層集中を高めるのだった。
これで本日の投稿は終わりです。
また来週お会いしましょう。