三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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第121『2年目ウインターカップ決勝リーグ最終戦 その2』

side:三井寿

 

 

「湘北、タイムアウト!」

 

 前半5分、8ー9で1点リードされた状況で安西先生がタイムアウトを取った。皆で急いでベンチに戻る。

 

「今日の宮益君は予想以上に調子が良いようです」

 

 安西先生の言う通りに今日の宮益は調子が良い。正に絶好調ってやつだな。

 

 8ー9の現状だが、海南の9点は宮益の3本の3Pシュートによるものだ。

 

「宮城君、準備は出来ていますね?安田君と交代です」

「はい!」

 

 宮益のマークについていた安田だが連続でいいようにやられてしまった。けど仕方ねぇだろうな。安田とは相性が悪かった。

 

 宮益はハッキリ言えば海南の選手の中で一番個人能力は低いかもしれない。だが、だからこそ宮益はチームメイトの力を借りることを躊躇しない。

 

 あいつのプレースタイルは木暮によく似ている。チームメイトのサポートをしつつ隙あらば外からシュート。これをとことん突き詰めたものだ。

 

 俺や牧は自分ありき、安田は相手ありきのプレーだが、木暮や宮益はチームメイトありきのプレーをしている。これが安田と相性が悪い。

 

 安田は駆け引きをして自分を有利に、あるいは相手を不利にして戦うんだが、宮益はそういった駆け引きをしない。なんせ宮益が見ているのは目の前の安田ではなく、チームメイト達の動きだからな。

 

 だから有利にも不利にもならず、安田は能力差を埋めることが出来ない。そうすると今の安田じゃ宮益を止めるのは難しい。

 

 宮益の選手個人としての能力が低いと言っても、それでもあいつは海南のユニフォームを勝ち取った男なんだ。まだ1年の安田じゃ荷が重くても仕方ないだろう。

 

 では同じ1年の宮城はどうなんだって話だが、正直に言って宮城は物が違う。湘北の1年の中じゃ東と1、2を争う実力を持っている。だからこの場面で安田に代わって出るんだ。

 

「ヤス、後は任せとけ」

「うん、頼んだよ、リョータ」

 

 ライバルでありながら友人でもある。こういった関係を持てている奴は伸びる。これからの成長が楽しみだが、先ずは目の前の試合に集中しねぇとな。

 

 

 

 

side:高頭力

 

 

 間に合った。それが今感じている思いだ。

 

 3Pシュートを戦術として取り入れた新たな戦術に取り組み四苦八苦する毎日。あるいは元の戦術にと悩んだことも一度や二度じゃない。

 

 だが新しい海南の姿を見た今、新戦術への挑戦は間違いではなかったと確信している。

 

「調子いいじゃねぇか、宮」

「なんか今日は落とす気がしないんだ。だからチャンスがあったらどんどんボールを回してよ」

「おう、期待してるぜ」

 

 選手達の表情も明るい。油断をしていれば喝の一つも入れるが、今それをするのはただ選手のモチベーションに水を差すだけだろう。

 

「その調子だ。手を緩めずガンガン攻めていけ」

「「「はいっ!」」」

 

 海南のバスケは攻めのバスケだ。だからどんどん行け。積極的な失敗なら幾らでもしていい。それは成長に繋がるのだからな。




これで本日の投稿は終わりです。

それと早いですが夏休みに入ります。

投稿再開は9月からです。

また9月にお会いしましょう。
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