side:三井寿
アメリカに渡って翌日、アメリカ代表の高校生達と顔を合わせたわけなんだが……。
(うぉぉ……!ジャマールにグラントにアーロン、名シューターのフィンリーもいる!それに……なんといってもシャックがいるじゃねぇか!震えるほどに燃えてきたぜ!)
未来のNBAスター達の若き日の姿に内心でめちゃくちゃ興奮してたぜ。しかし……。
(今日の親善試合はかなり厳しそうだな)
流石というべきか今回のアメリカ代表メンバーは俺が知る未来のNBAでオールスターに選出される様なメンバーばかりだ。特にCは歴代最強Cと謳われるあのシャックがいる。魚住や河田でもゴール下でどこまでやれるかわからねぇな。
「今回の親善試合はクウォーター制で行われる。前後半制と違い、試合時間の40分を10分毎に区切った形で行われる試合だな。これはNBAでの導入が検討されていて、そう遠くない内に日本のバスケ界もこのクウォーター制に変更されるだろう」
そうか、そんなルール変更もあったな。すっかり頭から抜けてたぜ。
そうなるとハンドチェックの禁止も近いか?いや、あれはもう少し後だったか?……まぁ、いいか。その時が来たら対応出来る様に基礎をしっかりと鍛えておかねぇとな。
「今日の親善試合は各クウォーター毎に選手を代えていく形にする。あくまで親善試合だからな。選手全員に出場機会を均等に与えていくぞ」
そう言うと二階堂監督は各クウォーターのメンバーを発表した。第1、第3クウォーターはCに河田、PGに深津、SGに諸星、PFに野辺、Fに沢北。
そして第2、第4クウォーターはCに魚住、PGに牧、SGに俺、SFに南、Fに仙道だ。
どうやら二階堂監督は主に山王メンバーと神奈川メンバーを固めることでチームの連携を少しでも高めることを考えたみたいだな。親善試合とはいえ勝利を狙うなら悪くない選択だ。
「そんじゃ神奈川の皆、よろしく頼むで」
「おう、よろしくな」
南と挨拶をしてある程度のプレーにおける意思疎通をしておく。後は試合をしながら擦り合わせって感じだな。
さぁ親善試合が始まったぜ。俺が注目したアメリカのメンバーは第1クウォーターには出ていない。だが流石はアメリカ代表と言うべきか、全員レベルが高いぜ。山王メンバー相手にあっさりと試合を優位に進めている。
「おっ?」
「仕掛けたな」
仙道と牧が注目の声を上げる。沢北が真っ向勝負で仕掛けたんだ。目線でのフェイクに引っ掛かったのか相手を抜いた沢北が中央に切れ込むとスクープショット(※1)を放ちゴールを決める。うん、上手いな。しっかりと他のメンバーの意識も出来ていた。前に見た時と比べて確実に成長してやがるぜ。
今のワンゴールで目が覚めたのかアメリカチームの雰囲気が変わった。……楽しそうだな。羨ましいぜ。早く出番が来ねぇかなぁ。
◆
side:沢北栄治
「ふぅ……先ずは一発かませたな」
アメリカ代表の全員が俺より背が高い。これはアメリカを意識し始めた頃から想定していたから問題ないが、各選手のレベルは俺の想定以上だな。
「けど、三井さんほどの怖さは無い」
そう、三井さんほどの怖さは無いんだ。身体能力とか身長とかそういったフィジカル面なら三井さん以上のやつらもいるだろう。けど、バスケセンスは三井さんの方が上だと感じる。まぁ、同じ日本人として三井さんを贔屓してるのかもしれないが、それはそれとしてもそう感じるだけ三井さんのレベルが高い証拠でもある。
だから戦える。臆せずに。楽しんで。
「おっ?」
アメリカ代表チームの空気が変わった。
「手を抜いてた……ってわけじゃなさそうだが……?」
どこか集中しきれていない。そんな雰囲気を感じてたんだけど……あぁ、そうか。スカウトの人達を意識してたのか。
そんな状態のあいつらに圧されてたんだからな。文句も言えないか。
「けど、うちの固さも取れたから五分ってとこだろ」
時差ボケってわけじゃないけど、こっちも浮ついてた部分があったからな。こっからはガチンコだ。
「行くぜ、アメリカ代表」
※1:プロレイアップともいう。原作で沢北が桜木相手にひょいっと放り上げていたあのレイアップです。
これで本日の投稿は終わりです。
また来週お会いしましょう。