side:三井寿
ゴール交換とコートの清掃が終わり第2Qが再開された。牧はミドルからロングで攻める組み立てをしていく。まぁアメリカ代表のゴール下にはシャックがいるからな。勝ちを狙うならこれが正解だろう。
といっても凄い奴を見ると勝負をしたくなるものでな。仙道、南は牧からパスを貰うとドライブで中に切り込みシャックと勝負に行く。そしてブロックされちまうんだが……まぁ、なんとも楽しそうに笑ってやがるぜ。
俺はロングシュートで攻める。俺まで中に行くとバランスが悪いからな。正直に言うとシャックと勝負出来ているあいつらが羨ましいけどよ。……やっぱチャンスがあったら俺も中で勝負に行くかな。
動いて牧からボールを貰うとステップバックからディープスリーを打つ。スウィッシュで決まると俺とマッチアップしているフィンリーが驚いた表情をした。
(あぁ、そう言えばまだこの時代はディープスリーは珍しいんだったか。というか彼がNBAに現れる前だしそりゃそうか)
その後もジャブステップでフェイクを掛けてからステップバックディープスリーを決めていくと第2Qだけで5本の3Pシュートを決めた。成功率も5の5でパーフェクト。調子が良すぎるぐらいだ。
点数も追いつき第2Qも残り少ないとあって俺は仕掛ける事にした。ボールを貰うとフィンリーがロングシュートを警戒してチェックしてきたのでジャブステップ(※1)からクロスオーバーで抜く。そしてゴール下まで行くとユーロステップで揺さぶりシャックを抜きレイアップ。だがシャックのブロックの手が伸びてきた。
(でかすぎだろ!?)
身長もウイングスパンも身体能力も規格外。そんなシャックとの勝負は楽しい。俺はリップスルー(※2)気味にシャックの伸びてきた腕に引っ掛ける様にしてダブルクラッチをすることでバスケットカウントを貰いながらゴールを決めた。
(バスケットカウントで思い出したが……そういやシャックはフリースローが苦手だったな)
フリースローを沈めると自陣に戻りながら魚住に近付く。
「魚住、相手のCのオニールだが、ローポスト以外からジャンプシュートはしたか?」
「うん?……いや、してないな」
「そっか、じゃあゴール下以外は苦手かもしれねぇぞ。一回わざとフリースローさせてみてもいいかもな」
出会ったばかりの頃の魚住相手なら絶対にしなかった提案だが、今の魚住はファールが重なってもプレーの質に影響しない男だ。だから問題無い。
次のアメリカ代表の攻めでシャックにボールが回るとシャックのダンクを魚住はファールで止めた。
(いや、やってみろとは言ったが……シャックのダンクを止められるのかよ……)
なんか魚住の動きのキレが増している気がする。もしかしてまた一皮剥けたのか?こりゃ来年のインターハイも厳しい戦いになりそうだぜ。
その後、シャックがフリースローを2本とも外して第2Qが終わった。スコアは追いついており第3Qはフラットな状態で始まる。
「さて、第3Qは頼むぜ」
「えぇ、任せてくださいよ。三井さん」
ポンッと軽く胸を叩くと沢北は楽しそうにコートに入っていくのだった。
※1:軸足になる足を動かさずに反対の足でステップを刻み相手を揺さぶる技術。
※2:ボールを保持している時に振り回すようにして身体の反対側に移動させる技術。このリップスルー時に相手の腕に引っ掛けるようにして強引にシュートに行けばシュートファールとなることも。
これで本日の投稿は終わりです。
また来週お会いしましょう。