三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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本日投稿1話目です。

本日は3話投稿します。


第13話『新たな仲間』

side:三井寿

 

 

「みっちゃん、陵南との練習試合どうだった?」

 

陵南との練習試合に勝った翌日の月曜、湘北で同じクラスになった中学時代のチームメイトの倉石が話し掛けてくる。

 

「あぁ、勝ったぜ。」

「流石はみっちゃん。はぁ…話を聞くとやっぱりバスケをやりたくなってくるなぁ。」

 

倉石は親父さんの家業を継ぐために修行をしてるらしいんだが、その修行が忙しくて部活をやってる暇がないそうだ。

 

「…うん、決めた。もう一度みっちゃんとバスケやりたいから、親父を説得してみるよ。」

「大丈夫なのか?」

「和菓子職人の修行は一生物だから、今から根を詰めすぎてもしょうがないってね。それに未練があったら修行に集中出来ないって言えば、親父も理解してくれると思う。…理解してくれるよな?」

 

どうやら全国制覇を目指す仲間が1人増えそうだな。

 

後で赤木達に紹介するか。

 

それから翌週、親父さんの説得に成功した倉石がバスケ部に入部したんだが、去年の県大会決勝以来まともに運動してなかった倉石は、ランメニューを終えると思いっきりヘバってしまったのだった。

 

 

 

 

side:木暮公延

 

 

インターハイの県予選まで残り2週間といったところで、俺達に新たな仲間が増えた。

 

三井の中学時代のチームメイトの倉石博也(くらいし ひろや)だ。

 

「あ~きっつ~…ブランクを舐めてた。」

「去年の県大会決勝から動いてなかったんだろ?なら当然だな。」

「…ウインターカップまでには絶対体力を戻す。」

 

倉石が入部する前に少し話を聞いたんだけど、倉石は中学の時は主にG(ガード)をやってたらしい。

 

主にというのは三井がどこでもポジションを出来るから、去年の武石中のメンバーは三井のポジションに合わせてある程度ポジションを変動していたみたいなんだ。

 

「ところでみっちゃん、居残り練習は何をやってるの?」

「基本的にはそれぞれ課題を見付けて、それに合わせて練習だな。」

「そうなると俺はペイントエリア周辺でジャンプシュートの練習かな?だいぶというか、めちゃくちゃシュートが下手になってるし。まぁ、もともと大して上手くなかったけどさ。」

 

倉石は親父さんの後を継ぐ為に和菓子職人の修行をしてるらしいんだけど、その親父さんを説得して居残り練習にまで参加している。

 

そのおかげで居残り練習で出来る練習の種類が少しだけど増えたのはありがたい。

 

「木暮、3Pシュート上手いじゃん。」

「いや、まだまだだよ。」

 

休憩がてら俺の3Pシュートの練習で手を上げて壁役をしてくれている倉石に誉められたけど、俺は本心でまだまだだと思ってる。

 

「俺には赤木みたいに恵まれた体格は無いし、三井みたいに才能があるわけじゃない。そんな俺が全国で戦おうと思ったら、もっともっと練習をしないとな。」

「全国か…うん、そうだよな。俺も、もっともっと練習しないと。じゃないと親父に頭を下げた意味がなくなっちまう。」

 

なんとなくだけど倉石とは上手くやっていける気がする。

 

俺と倉石には、三井と赤木といった才能がある男達に食らいついていこうと必死という共通点があるから。

 

勝手に仲間意識を抱いて悪い気もするけど…これからよろしくな、倉石。

 

 

 

 

side:倉石博也

 

 

「あ~…本当にブランクを舐めてた…。こんなに動けなくなってるなんてなぁ…。」

 

居残り練習も終わって家に帰った俺は、シャワーを浴びてから足をマッサージしている。

 

「こりゃ明日、絶対に筋肉痛だなぁ…。」

 

そう愚痴を溢すものの、久し振りに感じる肉体的な疲労は結構心地良い。

 

「汗を流し終わったか?」

「うん、終わったよ。」

「よし、じゃあ修行を始めるぞ。」

 

うへぇ…がっつり疲れてるのに修行とか…勘弁して欲しいよ。

 

でも、これは自分で選んだことだ。

 

パンッと顔を張って気合いを入れると立ち上がる。

 

「あっ、やべっ、腿と脹脛がつりそう。」

「そうか、それは朗報だな。余計な力みが抜けていい修行が出来そうだ。」

 

「親父…湿布とかは…。」

「ダメに決まってるだろう。せめて修行が終わって寝る前に貼れ。」

「だよね~…。」

「職人もスポーツも一緒だ。1日の怠けが衰えに繋がる。文句があるなら過去の自分に言うんだな。」

 

その後、親父の言う通りに過去の自分にブチブチと文句を言いながら修行をこなした俺は、布団に倒れ込むと湿布を貼るのを忘れてそのまま寝てしまった。

 

そして翌朝になって目を覚ますと、両足が思いっきり筋肉痛になっていて中々起き上がれなかったのだった。




◆倉石博也(くらいし ひろや):拙作オリジナルキャラ。ポジションはG(ガード)

 三井の中学時代のチームメイト。昨年の県大会優勝時の他メンバーが中堅校や強豪校に進学する中で、家業を継ぐために通いやすい湘北に進学した男。

 その結果として三井と同じ高校に進学出来たと知った時は喜び、作中に描写は無いが三井が膝を怪我した時は本気で心配して見舞いにも行っている。

 家業を継ぐための修行があるのでかなり悩んだが、もう一度三井とバスケがしたいという思いに突き動かされて湘北バスケ部に入部。

 現在はブランクによる体力の衰えや感覚の欠如に驚きながらも練習を楽しんでいる。

 選手としての特徴はディフェンスとカバーリングは上手いが、ミドルシュートやロングシュートは下手である。
 外見イメージはバガボンドの本位田又八を坊主頭にした感じ。


次の投稿は9:00の予定です。
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