三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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第132話『赤木と木暮の元仲間とナンパ野郎』

side:三井寿

 

 

 春の県大会の準々決勝の日、今日は津久武高校との試合なんだが……。

 

「晴子さん!大丈夫ですか!?」

「うん、大丈夫だよ花道君」

 

 会場について準備をしている時に津久武高校の選手に晴子がナンパをされた。

 

「うちの南郷がすまない」

 

 そう言って件のナンパ男に頭を下げさせているのは津久武の主将の伍代。中学時代の赤木と木暮のチームメイトだった男だ。

 

「あぁ、まぁ気にすんな」

「重ね重ねすまない」

 

 そんな俺達のやり取りの間も桜木は晴子の事を心配しているが、伍代と南郷が離れていくと南郷の背中を睨んだ。

 

「おのれナンパ野郎……」

「桜木、あいつらとは今日の試合であたる。その鬱憤はプレーで晴らせ」

「……おう!」

 

 そんなちょっとしたトラブルがあったが試合は始まった。

 

 試合の序盤、伍代の3Pシュートが冴えわたる。

 

「伍代のやつ……3Pが上手くなったな」

「あぁ、あいつも頑張ってたんだな」

 

 赤木と木暮は元チームメイトだったこともあって伍代の活躍に感慨深いものがあるみたいだな。

 

 さて、今日は後半から俺達の出番の予定なんだが……桜木は因縁の南郷相手にどこまでやれるかな?

 

 

 

 

side:桜木花道

 

 

「だりゃ!」

 

 リバウンドを取りリョーちんにパスを出すとリョーちんは流川にパスを出す。すると流川はそのまま一人でボールを持っていってゴールを決めた。

 

「あの野郎……外でズマっち(※1)がフリーだったのに」

「そういうなよ花道。ゴールを決めている間はいいさ」

 

 息を吐き気持ちを切り替える。

 

(伍代とかいうやつの3Pはメガネ君並みに入る。だからこそ外れた時のリバウンドが大事だ。リバウンドは俺が制す!)

 

 伍代がまた3Pを打った。……っ!これは外れる!

 

 ゴール下でポジションを確保しようとすると晴子さんをナンパしやがったナンパ野郎が身体を寄せてきた。

 

「てめぇにだけはぜってぇ負けねぇ!」

「うるせぇ!どけ!」

 

 スクリーンアウトでポジション争いをする。だが、こいつはゴリやみっちーほど上手くねぇ。これなら…!

 

「リバウンドは俺が取ーる!」

「ちっ!」

 

 しっかりボールを確保して着地したら直ぐに顔を上げて周りを確認する。

 

「花道!」

「リョーちん!」

 

 リョーちんにパスを出すと今度はリョーちんは自分でゴール下に切り込んだ。

 

 リョーちんは牧ほどのパワーはねぇ。けど一歩目の速さならみっちー並みの速さだ。ちょっと反応が遅れたと思ったら抜かれる。1on1で何度もやられているからわかる。

 

 だからリョーちんはもっとドリブルで仕掛けてもいいと思うんだが、リョーちんは『パスでゲームメイクするのがPGの醍醐味さ』って言って、基本はパスを出してチームを動かすプレーをする。流川の野郎はリョーちんの爪の垢を煎じて飲めってんだ。

 

 ゴール下に切り込んだリョーちんが跳んでレイアップに行った。けど相手のCもブロックに跳んでいる。するとリョーちんは外でフリーだったズマっちにパスを出した。

 

「リョータ!ナイスパス!」

 

 そう言ってズマっちが打った3Pシュートは決まった。この流れる様なプレー。起点は俺のリバウンドから。そう思うと震える様な感動が来る。

 

 楽しい。バスケが楽しい。ずっとこのコートに立っていたい。ここまで何かに本気になれたのはバスケが初めてだ。

 

 だからこそ勝ちたい。勝ってもっと試合がしたい。

 

 そのためには走れ。足を動かせ。そう思い試合にのめり込んでいくと、あのナンパ野郎のことは全く気にならなくなっていったのだった。




※1:東の愛称

これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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