三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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第133話『南郷のセンス』

side:三井寿

 

 

 前半も残り7分。点差は6点リードされている。伍代の3Pが効いているな。だが、流れはじわじわとこちらに来ている。その理由が……。

 

「ッシャア!」

 

 桜木が尽くリバウンドを取っているからだ。

 

 あいつがオフェンスとディフェンスの双方でリバウンドを取る。するとオフェンス時にはこちらはアグレッシブに攻められ、ディフェンス時には相手にプレッシャーが掛かる。

 

 それだけじゃない。桜木はディフェンス時には南郷とマッチアップしてるんだが、その南郷は向こうのエース格の選手。その南郷と互角以上に渡り合っているんだ。

 

 オフェンスはまだまだと言ったとこだが、ディフェンスに関しては十分に信頼出来るレベルになってきたな。

 

 さて、そんな桜木の活躍が目立つ中でも向こうの伍代の3Pシュートが光る。あれはセンスで打ってるんじゃねぇな。膨大な練習量の果てに身に付いた自信を持って打ってるんだ。

 

 桜木の攻守に渡る献身と流川の猛アタックで食らいついているが、向こうさんが伍代中心のオフェンスに切り替えたことでその差が中々詰まらない。

 

 宮城も東を使ってはいるんだが、下手に東を中心にして流川のモチベーションが下がるのは避けたいんだろうな。どうしてもオフェンスでの選択肢が流川への比重が多くなっちまってる。

 

 そこら辺はきっちり割り切って勝ちを目指す安田とバランスを考える宮城。どっちがいいかは好みだが、トーナメント制が中心の高校バスケじゃ安田の方が評価が高くなりやすいか……?

 

 

 

 

side:南郷

 

 

「ふんっ!」

「ちっ!」

 

 くそっ、また赤毛野郎にブロックされた!どうして後ろから追いつけるんだよ!?どんな瞬発力してやがる!

 

 それにさっきからうちが全くリバウンドを拾えてねぇ。こりゃちとまずいんじゃねぇか?今はキャプテンが3Pシュートを決めてるからいいが、外れ出したらあっという間に追いつかれるどころか逆転されるぞ。

 

「だりゃ!」

 

 またリバウンドを取られ……あん?

 

「リョーちん!」

 

 こいつ……ボールを持った後、必ずPGにパスしてねぇか?そういや試合開始からずっとそうじゃ……いくらセオリーだからってなぁ……狙ってみるか……。

 

 うちのオフェンス。キャプテンが3Pシュート打ったが外れた。うちのCと赤毛野郎がリバウンドを競る。俺は跳ばずにこいつの死角に隠れる。

 

 リバウンドを取った赤毛がルックアップしてPGを探す……ここだ!

 

「リョーち……あぁっ!?」

 

 パスをインターセプトした俺はそのまま跳んでダンクを叩きこむ。完璧に狙い通りで思わずにやけちまう。

 

「ボール、ごちそうさん」

「ぐぬぬ……!」

 

 確かにこの赤毛……基礎はしっかりしてるし、むかつくが俺よりも動ける。だが、よく見りゃまだまだ付け入る隙があるじゃねぇか。そして、俺ならこいつのその隙を狙える。

 

「さぁ、ディフェンス!一本しっかり!」

 

 キャプテンの檄に応じながら赤毛の目を見る。

 

(好き勝手やれるのもここまでだぜ。バスケはもっと深いってのを教えてやるよ)

 

 その後、しっかりと赤毛を出し抜いて点差を広げて前半を終えた俺達は、いい雰囲気でハーフタイムを過ごしたのだった。




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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