三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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第137話『ルーキー達への試練』

side:三井寿

 

 

 春の県大会の準決勝第1試合は陵南が勝った。最たる理由は魚住の活躍だな。

 

 さて次は俺達湘北と海南の試合だが、安西先生はこの試合でちょっとした試しをするつもりのようだ。

 

「試合の序盤、牧君とのマッチアップは流川君にお願いします」

「っ!?」

 

 この言葉には流川だけでなく桜木も驚いている。他は……驚いてるのは1年だけか。2年や3年達はこういった安西先生の奇襲というかいたずらじみた作戦に慣れたってことか。

 

「おそらく海南も試合の序盤は同じことをしてきます」

「流川同様に1年を俺にぶつけてくると?」

「えぇ、陵南を除いた神奈川四強は現在の3年生の存在が非常に重い。故に来る新チームを見据えて世代交代の準備をしなければなりません。インターハイ予選で試すには非常にリスキーなので、ほぼ間違いなくここで試してくるでしょう」

 

 俺達選手は今を考えりゃいいが、安西先生のように指導者は明日も考えなけりゃいけねぇ。その思考の難しさ……世の指導者達を尊敬するぜ。

 

「流川君、君はペース配分の技術を身に付けました。今度は逆の技術を身に付けましょう」

「逆……ですか?」

「えぇ、瞬間的に力を爆発させる。限られた時間内にスタミナを使いきる。そういった類いの技術です。」

 

 安西先生の言葉を受けて流川は思考に入る。

 

「バスケに限らず一流のアスリートならば誰もが持っている技術です。競技によってはその技術が邪魔になることもありますが、使い分けることが出来れば今後の君にとって大きな武器になるでしょう」

「……よろしくお願いします」

 

 そう言って素直に頭を下げた流川の姿に桜木が驚く。まぁ、マイペースを地で行く奴だからな。桜木が驚くのも納得だ。

 

 だが流川はバスケで成長するためなら真摯になれる奴でもある。そこを理解すれば、桜木も少しは流川に歩み寄れるとは思うんだが……。いや、桜木と流川は今の競い合う形の方がいいかもな。

 

 

 

 

side:清田信長

 

 

「今日の試合序盤、三井のマッチアップは清田、お前だ」

「お、俺っすか!?」

 

 試合前のミーティングで高頭監督にそう言われた俺は驚く。三井さんには牧さんが対処すると思ってたからだ。

 

「清田、三井とのマッチアップがお前にとって荷が重いのは皆がわかっている」

「いや、まぁそうなんすけど、ハッキリと言われるとへこみますよ」

 

 理解して納得していることでも改めて言葉にされるとへこむこともある。そうわかった。……これからは俺も言うのは気をつけよう。

 

「先ずは5分だ。死ぬ気で食らいつけ。何度挑んでダメでも構わん。積極的に挑んだ結果なら許す」

 

 俺が三井さんにボロボロに負けることが前提ってのはわかってる。わかっちゃいるが……。

 

「勝ってもいいんすよね?」

「ふっ、その前向きなところがお前の長所だ」

 

 そう言った牧さんが俺の髪をワシワシと掻き回す。

 

「骨は拾ってやる」

「くっそぉ!意地でも一泡吹かせてやる!」

 

 決めた!この試合、意地でも皆に一泡吹かせてやる!絶対に吹かせてやる!

 

 両手で頬を張って気合いを入れた俺は、メラメラと闘志を燃やすのだった。




これで本日の投稿は終わりです。

先週は不意に投稿せずにすみませんでした。

また来週お会いしましょう。
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