三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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第140話『3年目の春の県大会決勝』

side:三井寿

 

 

 春の県大会の決勝戦は俺達湘北と陵南の試合だ。この試合、俺はスタメンじゃない。準決勝の時同様に流川に経験を積ませる為に仙道とぶつけるというのが安西先生の考えだ。

 

 スタメンは赤木、安田、木暮、桜木、流川の5人。桜木をスタメンにしたのは……まぁ、今の魚住を赤木1人で相手するのは難しいからだろうな。

 

「スタメンはこのメンバーです。流川君、準決勝の時と同様に序盤は君に仙道君とマッチアップしてもらいます」

「はい」

 

 流川が燃えている感じだな。その様子にニコリと微笑んだ安西先生は次に赤木に目を向ける。

 

「赤木君」

「はい」

「桜木君と協力してゴール下で戦ってください」

「……はい」

 

 元々赤木と魚住の力関係は赤木の方が上だった。だが今では魚住の方がはっきりと上と言える程に差がついた。赤木も素直には頷けないだろう。

 

 だがそこで不満を飲み込むなり折り合いをつけるなり出来なけりゃ……赤木、この先きつくなるぜ?

 

 試合が始まった。ジャンプボールは魚住が制して陵南ボールから。陵南PGの植草から仙道にボールが渡ると、早速流川とのマッチアップが始まる。

 

 スッと目線でフェイクを掛けた仙道が仕掛ける。僅かに遅れたがそれでも流川は食らいつく。そんな流川を気にしないかのように仙道はボールをリングの方に放る。すると……。

 

 ガツンッと勢いよくリングが音を立てて福田のアリウープダンクが決まった。

 

 パスを出した仙道を睨みつける様に見る流川だが今のは仙道が正しい。試合開始直後だ。どんな強豪チームでも緊張やらなんやらでパフォーマンスを発揮しきるのは難しい。だからパスでチームを動かした仙道の選択はチームの勝利を目指す上では正しいんだ。

 

 まぁ流川は自分の経験を積む機会が減ったと感じて睨んだんだろうな。だがそれも経験なんだぜ?抜いた止めただけが勝負じゃないんだ。早くそれに気付いてほしいもんだが……。

 

 

 

 

side:桜木花道

 

 

(ぐぬぅ、アリウープを決められた……)

 

 福ちゃんの背中に目を向けると振り返った福ちゃんと目が合う。すると福ちゃんに『どうだ』と言わんばかりに指差された。

 

(やっぱオフェンスはうめぇ……というか得点力がすげぇな)

 

 福ちゃんのオフェンスは上手いというのとはちょっと違う。みっちーや仙道のオフェンスとは違ってとにかくガムシャラにゴールを狙ってくるんだ。それが上手いやつのそれとリズムが違って戸惑うことがある。みっちーが言うには慣れれば止められるって話だが……。

 

(それよりも流川とゴリだな)

 

 流川に仙道は止められねぇ。それはわかってる。けどゴリまでなんか怪しい雰囲気をしてやがる。今の福ちゃんのアリウープの前にチラッとゴール下の状況が目に入ったが、完全にボス猿にポジションを取られてた。

 

(安西の親父はゴリと協力しろって言ったが……)

 

 どうにもゴリの目には俺どころかボス猿以外の奴が映ってねぇように感じる。

 

(ぬぬ……どうすんだよ安西の親父?)

 

 まだ試合は始まったばかりってのはわかってる。けどよ、このまま行くのはやばいんじゃねぇか?

 

「桜木!今のは仕方ねぇ!それよりもリバウンドを頼むぞ!」

「おう!わかってるぜみっちー!」

 

 そうだな。あれこれ考えるよりも今は俺に出来ることをやらねぇとな。ボス猿、インサイドの攻防はともかくリバウンドならおめぇに負けねぇぞ。




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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