三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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第144話『挫折』

side:三井寿

 

 

 春の県大会は湘北が準優勝、陵南が優勝という結果で終わった。MVPは魚住。あのゴール下では誰も寄せ付けない圧巻のパフォーマンスを見せられたら納得だな。

 

 ベスト5はPGに藤真、Fに仙道、PFに桜木、SGに俺、Cに魚住が選出された。

 

 PGに藤真が選出されたのは牧との出場試合数の差だろうな。牧はアメリカ行きもあって夏のインターハイで終わりだ。だから高頭監督は格下との試合で新しいチームの形を何度も試していた。

 

 まぁ……牧程のPGはそうそういねぇから苦労してるみたいだが……。

 

 それとPFで桜木が選出されたのはリバウンド数が大きな理由だろう。決勝では魚住の方がリバウンドを取っていたが、大会通じての総数では桜木の方が上だからな。あれだけ跳べる選手はそうはいない。先が楽しみな奴だぜ。

 

 さて、春の県大会が終わりインターハイに向け……といきたいとこなんだが、今の湘北は1つ問題を抱えている。それは……赤木の不調だ。

 

「フンガッ!」

「くっ!」

 

 春の県大会以降、居残り練習でよく見る光景だ。桜木とのリバウンド勝負でいいところがほとんど見れなくなっている。今のリバウンドも赤木が取れてもおかしくない状況だったが……。

 

(……完全に自信を喪失しちまってるな)

 

 自信がないせいでアクションがワンテンポ遅れる。そのせいでプレー全般のパフォーマンスが落ちている。そしてネガティブな思考に陥る。完全に悪循環だ。

 

「赤木にとっては人生で初めての挫折なんだろうな」

 

 そう言った木暮が中学時代の赤木を語る。

 

 相手チームはでかい赤木を抑えるのにダブルチームをよくしてくる。そしてチームが負ける。中学時代の赤木と木暮はずっとそんな展開の試合を繰り返していたそうだ。

 

「湘北に入っても、県内だと赤木よりも大きな選手は魚住ぐらいだった。その魚住にも赤木は勝ってた。兼田さんには負けたけど兼田さんは3年生だったしプレイスタイルも違ったから、赤木にとっては負けたショックよりも先に素直に尊敬出来たんだろうな」

「河田はどうなんだ?」

「河田がいる山王は全国王者だろ?だから負けてもどこかで納得しちゃってたんじゃないかな」

「……なるほどな」

 

 今の赤木に下手に口出しをすれば逆効果の可能性もある。どうしたもんか……。

 

「キャプテン、いいっすか?」

「お?いいぜ。お~い、3on3やるやついるかぁ?」

 

 流川の誘いに乗り適当にメンバーを集める。

 

「そんじゃ最初のセットはドリブル禁止だ」

 

 赤木が不調という状況だがその代わりというべきか流川が成長をしている。仙道に軽くあしらわれたのがよほど堪えたのか、春の県大会の後に俺にアドバイスを求めてきた。だが、俺はアドバイスをしていない。代わりに縛りを設けた3on3を流川にやらせる様にしている。

 

 縛りは主にドリブル禁止、ドリブル後のシュート禁止の二つ。この縛りのどちらかを導入して3on3をする。もちろん縛り無しの3on3もやる。

 

 これは流川が自分でパスという選択肢が増えることの意味に気付けばいいと思いやらせている。誰かに言われるよりも自分で気付く方がより成長に繋がるからな。

 

 チラリと赤木に目を向けるとそのでかい図体が小さく見える。

 

(……赤木にばかり気を向けているわけにもいかねぇか)

 

 さて、とりあえず赤木の事は置いておいてこっちに集中するか。




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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