三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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第150話『最高にして最大のライバル』

side:三井寿

 

 

 陵南と海南の試合は陵南が勝利した。池上が宮益か神の3Pシュートの調子のいい方を抑える。そしてゴール下を魚住が支配する。これで海南のオフェンスパターンの多くが機能しなくなった。それでも試合終了まで海南が陵南に喰いついていたのは牧の奮闘があったからだ。

 

 仙道とマッチアップした牧は終始仙道を振り回してみせた。仙道も悪くない動きだったが3年の牧と2年の仙道では今回のインターハイに掛ける気持ちにはどうしたって違いが出る。2人のパフォーマンスの差はそこが大きく出たというのが俺が見学した上で感じた印象だ。

 

 これで陵南と俺達湘北が1勝、海南と津久武が1敗という状況だ。そして次の俺達の試合相手は海南……1敗して後が無いあいつらが相手だ。

 

「スタメンはCに赤木君、PGに安田君、SGに木暮君、PFに桜木君、SFに三井君でいきます」

 

 俺と木暮のシューター2人でいくこの構成は俺達湘北にとってはロングシュート主体の戦術でいくものだ。

 

 木暮と倉石を交代することで赤木と桜木を中心としたインサイド主体の試合展開をしていく形もある。他にも内外のバランス重視したものや、安田と宮城を交代することでラン&ガンといった幾つもの戦術がある。

 

 その中で安西先生が選んだのが俺と木暮主体でオフェンスを組み立てる戦術だ。赤木と桜木の2人でインサイドを支配出来る……。いや、海南相手のインサイド争いを経験させることで陵南戦に繋げる意図があるか?

 

 海南のインサイドは高砂と武藤のコンビ。この2人に競り勝てなきゃ到底魚住との勝負は出来ねぇ。次の陵南戦に向けた試金石でもあるわけか。

 

 とはいうものの後が無い海南が相手だ。ある程度赤木と桜木の動きを確かめたら勝つための采配に切り替えるだろうな。

 

 さぁ、試合開始だ。赤木がジャンプボールを制して俺達のオフェンスから。マッチアップする牧から大きな圧力を感じる。……なんだ?

 

 安田からボールを貰うと途端に牧がいつもより距離を詰めてくる。ドリブルへの警戒は薄めか?

 

 ハンドフェイクを入れてストレートに。牧は完全についてきた。偶然?……じゃねぇな。

 

 仕切り直し。もう一度ドリブルで仕掛ける。今度はクロスオーバーで。

 

「っ!?」

 

 驚いて目を見開いた。僅かに遅れはしたがそれでも牧はついてくる。牧を抜くことを諦めボールを木暮に。直ぐに安田がスクリーンを掛けに行った。

 

 安田のフォローを受けた木暮がフリーで3Pシュートを打つとスウィッシュで決まる。幸先良く先制出来たが、俺は牧に目を向ける。

 

 目が合った。これは……完全に入ってるな。

 

 牧は基本的にスロースターターだ。試合が進んで行く中でコンディションとモチベーションを高めていき、後半に入る頃にはトップギアの状態に持っていく。

 

 だが今の牧は既にトップギアに入ってる。

 

「持つのか?」

「そのために走り続けてきた。お前に勝つために」

 

 俺に勝つため……か。

 

 自然と口角が上がる。

 

「そうか。でも俺が勝つぜ。もちろんチームもな」

「ふっ、ぬかせ」

 

 目線がぶつかり合う。モチベーションが昂っていく。身体が熱を帯びていく。

 

「それじゃ、勝負といこうか」

「おうっ!」




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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