side:三井寿
俺達湘北と陵南が全国行きを決めた後の3位決定戦……海南と津久武の試合が始まった。
海南は牧を始めとした3年生抜きの布陣。早くも新しいチーム体制を試すつもりの様だ。対する津久武も同じく3年生抜きの布陣。奇しくも両陣営の思惑が合わさったことで他の神奈川高校バスケチームよりも早く公式戦にて新チームでぶつかり合うこととなった。
注目すべきは3年が抜けたことで海南新チームのエース候補となった清田と、既にチームのエースとして何試合も経験を積んできた南郷のぶつかり合いだろうな。
ジャンプボールは海南が制して海南のボールから。2年の新PGがボールを運ぶと清田にパス。早速両チームのエースのマッチアップだ。
清田がボールをつきながら様子を伺う。対する南郷も自然体で清田の出方を伺う。
南郷が僅かに上体を前に倒した瞬間、清田が仕掛けた。ストレートに抜きに行くが南郷は上体を前に倒した反動でバックステップ。まるで誘われた様に清田は南郷に張り付かれている。いや、まるでじゃなく確実に誘ったんだろうな。
一度抜くのを諦めた清田が外にはけるとゆっくりと中央やや右に戻る。南郷は油断なくついていく。ターンオーバーまで残り10秒。さぁ、どうする?
清田が再び仕掛けた。またストレート。と見せかけてストップ。からのバックステップ3Pシュート。だが南郷は読んでいたのか完璧にシュートブロックを決めた。
「ぬがっ!?」
止められ思わず出たであろう清田の声が観客席まで聞こえてくる。ルーズボールは津久武が拾い攻守交替。今度は津久武のアタックだ。
ボールを持った南郷と清田が攻守を入れ替え対峙する。完璧に止めてみせた南郷は自然体で余裕を感じさせるが、止められた清田はやや気負いが見られるか……?
上体をゆっくりと倒し仕掛けるぞと圧を掛ける南郷。対する清田もしっかりと腰を落とし何が来ても対応してみせる気構えだ。
不意に上体を起こした南郷が力を抜いて息を吐いた。つられる様に清田も息を吐く。
その刹那、南郷はごく自然にフリースローの練習でもしているかの様にゆったりとしたモーションで3Pシュートを打った。
「なっ!?くそっ!」
必死に手を伸ばしつつブロックに跳んだ清田だが届かず、宙で弧を描いた南郷の3Pシュートはスウィッシュで決まった。
「あの野郎……外も出来るようになってやがるのか」
桜木が睨みつける様に見ながら言葉を溢す。俺からも見ても今の3Pシュートはいいもんだった。後はあのゆったりしたモーションだけでなくクイックモーションでも決定力があるかどうかだな。
「津久武は漸く吹っ切れたみたいだな」
「決勝リーグの津久武はどこか固かったものね。まるで2年前のうちみたいに」
そう、津久武は以前の湘北に似ている。南郷がチームの中心になって引っ張っていけば、神奈川のバスケが更に面白いもんになるだろう。
「まぁ、それはそれとして残る陵南戦だな」
「そうね。安西先生はどうするのかしら?」
既に両チーム共に全国出場は決まっている。実戦の場を利用して色々と試すことも出来るし、敢えて全力でぶつかりにいくことだって出来る。安西先生が……そして田岡監督が何を選ぶのか?次の決勝リーグ最終戦が楽しみだぜ。
これで本日の投稿は終わりです。
また来週お会いしましょう。