side:三人称
「「ジャンケンポン!」」
合同合宿中のとある日の午後、いい大人である田岡と高頭が全力でジャンケンをしていた。
「よぉーしっ!」
「くっ……!」
ジャンケンの結果は田岡が勝利したようだ。ところで何故2人が全力でジャンケンをしていたのか?それはこれから行う試合形式の練習をドラフト風に選手を選んで行うからだ。
「では……三井!」
「はいっ!」
ジャンケンに勝った田岡が先ず選んだのは三井だった。この選択には各校の選手達だけでなく監督達も納得したように頷く。
それはそうだろう。なんせ三井は日本一の高校バスケプレイヤーだとここにいる者達が漏れなく認めている男なのだから。
「牧」
「はい」
対する高頭が選んだのは牧。高頭は教え子だからという贔屓目抜きで牧こそが唯一三井と渡り合える選手だと思っているが故の選択。
田岡と高頭の両チーム共に先ずはエースを選択。さて、両名の次なる選択は?
「魚住」
「はい」
田岡が選んだのはゴール下の要であるC。そのCで日本一の高校バスケプレイヤーであると自慢の教え子の魚住だ。
順当なチーム作り。となると高頭が次に選ぶのは赤木か?多くの者がそう考えた。しかし……。
「藤真」
「っ!?は、はいっ!」
驚くことに高頭が選んだのは藤真。牧と同じPGの選手だった。この高頭の選択に多くの選手がざわつき、各校の監督達が思惑を読み解こうと思考を巡らせる。
「仙道」
「はい」
高頭の奇襲に動じることなく田岡は次の選手として仙道を選んだ。
エースが三井ならば仙道はスコアラーとして期待しての選択だろう。
「桜木」
「おう!わかってんじゃねぇか高頭のおっさん!」
続いて高頭が選んだのはまだ1年ながら先のインターハイ予選にて存在感を示した桜木。神奈川にてゴール下で魚住と勝負の形を作ることが出来る天性のリバウンダーである。
両チームで初めて1年から選ばれたこともありざわつきが広がる。彼と同じ1年の中には悔しそうに拳を握る者もいた。
「……南郷」
「はいっ!」
少し悩み4人目として田岡が選んだのは南郷だった。津久武の次期エース。そして先のインターハイ予選にてトリックスターの二つ名を冠した選手である。攻守における緩急と桜木との相性を考慮した選択……と各校の監督は認識した。
「福田」
「はいっ!」
続いて高頭が4人目に選んだのは福田。陵南が誇る点取り屋である。PG2人にインサイドのスペシャリストが2人。ここに来て各校の監督達は高頭の思惑に確信を抱き始めた。
「……宮城」
「っ!?はいっ!」
田岡が最後の5人目として選んだのは宮城だった。
別の世界線では湘北の切り込み隊長として堂々のスタメン選手だったが、この世界線での彼はくせ者安田との緩急で投入されるスーパーサブである。
そんな彼をコート上の指揮者として選んだ田岡の思惑とは……?
「清田」
「オスッ!」
そして高頭が最後に選んだのは清田。なんと桜木に続いて2人目の1年。更にチームにCをメインポジションとした選手無しという異様な布陣。この高頭の奇策に各校の監督達は面白そうに微笑んだ。
「ミーティング時間は5分です!」
選ばれなかった選手達が審判や時計係等に割り振られると、合同合宿選抜練習試合は開始前から熱気に包まれるのだった。
これで本日の投稿は終わりです。
また来週お会いしましょう。