side:三井寿
「いよいよ明日だな」
「あぁ、俺達の最後の大会が始まる」
合同合宿も終わりいよいよ明日に迫るインターハイ全国大会の会場近くの旅館……その外で発した赤木の言葉に木暮が相槌を打つ。
俺達3年はこのインターハイが終わったら高校バスケを引退する。俺と美和はアメリカの大学、赤木と木暮は日本の大学の受験勉強のために引退し、倉石は実家の和菓子屋を継ぐための修行に入る。
「しかし……すごいところに入ったもんだな」
倉石が片手に持つパンフレットに記された全国大会のトーナメント表にある湘北の文字……勝ち上がっていけば2回戦で愛和学院、準々決勝で豊玉、準決勝で山王、そして決勝で陵南とぶつかる組み合わせとなっていた。
「2位通過の洗礼ってところかな?でもちょうどいいじゃない」
「あぁ、美和の言う通りだな。全部倒して誰にも文句を言わせない形で全国制覇するぞ」
そう、全国制覇だ。あの日立てた目標。誓いと言い換えてもいい。この最後の大会で必ず達成してみせる。
「さて、俺達は先に戻るよ」
「みっちゃん達はゆっくりしていきな」
「あまり遠くに行って迷うなよ」
そう言った三人は旅館に戻っていく。残るは俺と美和の二人だ。
「気を使わせちゃったかな?」
「まぁたまにはいいんじゃないか」
「うん、そうだね。それじゃまったりとデートを楽しみますかぁ」
美和と並んで歩きだす。特に何かをするでもなく、ただ並んでゆっくりと歩いていく。
「全国制覇かぁ……2年前は夢物語だったけど今は手が届きそうな目標って感じで、なんか不思議ね」
「俺は2年前からしっかり目標としてイメージ出来てたけどな」
「えぇ~本当?」
「本当さ、嘘は言ってない」
そう、ここに来るのはイメージ通りだ。ただここに来るまでの過程は俺の想像を超える出来事が多かった。
安田や桜木を始めとした多くの奴等の成長……他校の奴等も含めれば本当に驚くことが多かった。
特に驚いたのは魚住の覚醒とも言える成長だな。あいつは本当に強くなった。山王よりもあいつのいる陵南の方が怖いと感じるほどに。
「寿君、また背伸びた?」
「193cmってとこだな」
「おぉ~、向こうでも引けを取らないぐらいにはなったかな?」
「どうだろうな?なんせあっちはフィジカルモンスターの巣窟だからなぁ」
アメリカは広い。そして本場のアメリカでのバスケ人気は日本と比べたら雲泥の差がある。だから才能のある奴等が掃いて捨てるほどに集まる。
そんなアメリカでバスケをする。そう想像するだけでゾクゾクする。
「さて、そろそろ戻るか」
「そだね。戻ろ戻ろ」
アメリカは心の底から楽しみだが今は忘れる。インターハイに集中だ。
「ふふ、期待してるよ、キャプテン」
「おう」
これで本日の投稿は終わりです。
また来週お会いしましょう。