side:三人称
後半が始まると同時に流川が動いた。宮城からボールを貰うと対峙していた南に仕掛ける。ドライブで行くと見せかけビハインドストップ。更にステップバックからの3Pシュートを決めてみせた。その一連のプレーのキレに南は驚く。
(コイツ……前半はわざと動かんかったんかい)
返す豊玉のオフェンス時の流川のディフェンスも前半とは打って変わって非常にアグレッシブなものになっていた。
(ちゃんとついてこられるやんけ。せやったら何で?……スタミナか?)
流川の変貌の理由にあたりをつけた南。足を動かしスペースをつくっていく。空いたスペースに岸本が入るとパスを送るが桜木がきっちりとマークについていた。
岸本は無理にシュートをうたず次の機会を待つ。桜木の裏に南が走り込むとパスを出しこれが通る。南はそのまま中に切り込みレイアップにいったが……。
「っ!?」
これを流川にブロックされた。
(思ったより動けるやんか!)
床を転がるボールに一早く辿り着いたのは東。カウンターで速攻かと思われたが豊玉はオフェンスだけでなくディフェンスへの戻りも速い。
一度組み立て直すべく東はPGである宮城へとパスを出す。すると宮城はそのまま流れるように流川へとボールを回した。そして……。
(スリー!?うたせるかい!)
キャッチ&シュートの態勢になった流川に素早く反応した南。だがそれを見越したかのように流川はドライブで南を抜き去った。
「後13点」
ミドルシュートを決めた流川が自陣へと戻りながらそう呟く。その呟きを耳にした南の心に火が灯る。
「そう簡単にやらせるかい」
だが流川が止まらない。前半温存しており全開で動ける流川と前半から動き続けている南。本当に僅かだがプレーのクォリティーに差が出ていた。
「後11点」
止まらない。
「後9点」
流川が止まらない。
「後7点」
「なめんなや!」
流れを切ろうとタイムアウトを取ろうとした北野が立ち上がったと同時に南が吠える。正面から流川を抜き去ると桜木と角田のダブルブロックをダブルクラッチで避けて得点を決めた。
「これで9点差や」
ピッと流川を指差しながら自陣に駆ける南。その背を目に流川は燃え上がる。
目は口程に物を言う。それを体現するかの如き流川を見た宮城は即座にパスを出した。
この後半開始から続く流川と南の対決。それを観てきたからこそ会場は静かになる。
キュッ、キュッと二人のバッシュが床と擦れる音のみが響く。
残り15秒。ふと流川が力を抜き上体を起こすとゆっくりとボールを突きながら後ろに下がった。それを目にした誰もが仕切り直しだと思ったその時……。
「っ!?くそったれ!」
不意に流川は3Pシュートをうった。
「後6点」
「……上等や。とことんやったろうやないかい」
ボールの行方も見ずに進む二人の会話が終わると同時にボールがリングを通過した。
すると豊玉がプレーを再開する前に北野がタイムアウトを取ったのだった。
これで本日の投稿は終わりです。
また来週お会いしましょう。