side:三井寿
木暮を中心にしたアウトレンジ攻勢でリードして終えた前半。このままと言いたいところだがそうはいかないだろう。
「後半、陵南は木暮君と安田君のマークを入れ替えてくるでしょう」
「越野を木暮に、福田を安田にってことですよね?」
「えぇ、その通りです」
頷いた安西先生が自身の読みを話していく。
「前半の間、あれだけ木暮君に3Pシュートを決められながら福田君を木暮君のマークにつけ続けた主な要因は、彼のオフェンス力を考慮してでしょう」
その言葉に桜木を始めとした数人が首を傾げる。
「もし安田君のマークにつけて駆け引きで振り回され心が乱された結果、福田君のオフェンスが不調に陥るかもしれない。田岡監督はそう危惧してマークの入れ替えをしなかったのでしょう」
「ですが今は追い詰められてそうも言ってられなくなった……ってとこですか?」
「えぇ、木暮君の活躍のおかげですね」
称賛された木暮が照れ臭そうに頭をかく。
「前半一杯を使って陵南はこちらの戦術にも慣れてきた頃合いです。油断は禁物ですよ?」
「「「はい!」」」
後半開始まで後少しというところで俺達は円陣を組む。
「俺達は強い!」
「「「応ッ!」」」
そして始まった後半戦。陵南のオフェンスから。ボールを持った仙道と対峙する。
(追い詰められて更に集中が増したか……っ!?)
ドライブで仕掛けられ完全に並ばれた。2人並んでそのまま中に。前半のあの時と近いシチュエーション。仙道と共に跳び上がる。
(ダンク?いや、ダブルクラッチ……まさか!?)
一度ダンクに行った手を戻した仙道を見た俺はダブルクラッチに備えた。だが仙道は俺の想像を超え一度戻した手を二度伸ばしボールをリングに叩きつけた。
(ダブルクラッチでのダンクかよ……まさか高校生が、それも試合でやってみせるとはな)
前半でこっちがつけたリード。それを追い上げるという気迫を見せ付けるスーパープレイ。陵南にとって完璧な後半の立ち上がりだ。
(これはまずい……)
◆
side:仙道彰
「ふぅ、上手くいった」
敢えて前半のあの時と同じ状況に持ち込んでの一発。我ながら完璧に決まった。正直、ホッとしたぜ。
「安田!」
三井さんの声が上がる。よし、ファールしてでもここを抑えりゃ流れはウチに……ってマジかよ!?
まだハーフラインすら越えてない位置。そこでボールを貰った三井さんはそのまま超ロングシュートを放った。
「……これで決めるからナンバーワンなんだろうな」
三井さんの超ロングシュートがスウィッシュで決まりウチの追い上げムードに水を差される。……まずいな。
「さて、どうしたもんか……うん?」
ふと目が合った魚住さんが珍しくパスを要求してきた。
「オーケー、頼らせてもらいますよ」
ドリブルで仕掛けコースを作りパスを出す。さっきのダンクを警戒してたのか、驚くほどキレイにパスが通った。
パスを受け取った魚住さんはやや強引に振り向く。すると……。
「フンッ!」
気合い一閃。ブロックに跳んだ赤木さんを弾き飛ばしてダンクを決めた。しかもバスケットカウントのおまけ付きだ。
「はは、すっげ」
この試合で引退とか嘘でしょと言いたくなる。そんな魚住さんのド派手なダンクがウチの追い上げムードに再び火をつけてくれた。
「俺達は強い、か……けど、俺達も強いぜ」
確信と共にそう呟くと、それを証明するように追い上げていくのだった。
これで本日の投稿は終わりです。
また来週お会いしましょう。