三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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連載する事にしました。

本日は3話投稿します。


第2話『上達の一歩目は模倣から始まる』

中学でのバスケも終わって引退したが、俺は受験勉強をしつつも部に顔を出して練習を続けていた。

 

「三井先輩、ジャンプシュートを見てもらっていいですか?」

「おう。」

 

後輩の邪魔をしない様に練習に参加させてもらっているが、こうしてなにかと頼まれる事も多い。

 

「三井、ちょっといいか?」

「はい!」

 

部の監督に呼ばれたので駆け足で近くに行く。

 

「三井、練習に参加し続けてるが、受験勉強の方は大丈夫か?」

「はい、問題ありません。」

「そうか、お前がそう言うならいい。だが、受験に失敗した時に泣きを見るのはお前自身だ。受験を甘く見て失敗しない様に気をつけろよ。」

 

監督の指導に礼を言って離れる。

 

後輩達から離れた俺は、空いているスペースでボールを手に個人練習を始める。

 

前世の俺はいわゆるバスケマニアだったらしく、色々なNBA選手の事を知っていた。

 

そんな前世の俺の記憶から参考にしている選手はジ○ビリ、ア○バーソン、カ○ーの三人だ。

 

参考にしている選手の一人のジ○ビリは、ユーロステップという技術を駆使する名選手だ。

 

バスケはボールを持った状態で三歩歩くとトラベリングという反則になるんだが、ユーロステップはボールを持った状態の二歩のステップで相手を抜き去る技術だ。

 

ドリブルからユーロステップに移行し、イメージした相手を抜き去るが…。

 

(ダメだ、遅すぎる。)

 

前世の記憶にあるジ○ビリのユーロステップのキレとは雲泥の差だ。

 

(まぁ、そう簡単に出来るわけもねぇか。なんせNBAでも超一流の選手の技術だからな。)

 

ある程度のところで切り上げた俺は、次にクロスオーバーの練習を始める。

 

このクロスオーバーはドリブルの基礎技術の一つなんだが、この基礎を極めて並みいるNBA選手をドリブルで抜き去ったのがア○バーソンだ。

 

ア○バーソンのクロスオーバーの凄さはそのキレもそうだが、何よりもクロスオーバーを始める前の動きにあると俺は思う。

 

フォームからストレートに抜きに行くかクロスオーバーをするか全くわからないんだ。

 

更にそこに絶妙なフェイクが加わるから誰もア○バーソンのクロスオーバーを止められない。それこそバスケの神様って言われるあの人ですらだ。

 

前世の記憶を元にクロスオーバーのイメージを固めていく。

 

(…こうか!?)

 

キュッとシューズと床の摩擦音が耳に残るが、俺が繰り出したクロスオーバーはイメージとは程遠いものだった。

 

「…くっそ。」

 

クロスオーバーはドリブルの基礎技術の一つだが、だからこそ難しい。

 

イメージを固めてはクロスオーバーをやってみる。何度も何度も繰り返す。

 

「すみません三井先輩。もう時間ですよ。」

 

後輩に声を掛けられて漸く練習の終わり時間が来ていた事に気付いた。

 

「悪い、直ぐにモップ掛けを手伝うぜ。」

「了解です。じゃあボールはこっちで。」

 

後輩にボールをパスすると、俺は用具室まで駆けてモップを手にしたのだった。

 

 

 

 

練習を終えて家に帰った俺はシャワーを浴びて飯も食い終わると、自室で受験勉強を始める。

 

一時間程受験勉強をした俺は、背伸びをしてからベッドに身体を投げる。

 

(受験勉強は問題ねぇ。これに関しては本当に前世の俺に感謝だぜ。よくちゃんと勉強しててくれたな。)

 

ベッドの脇に置いてあるバスケットボールを手に取ると、簡単なボール遊びをしながら今日の練習を振り返る。

 

(ユーロステップもクロスオーバーもまだまだだな…。流石はNBAでも超一流の選手の技術ってところか。)

 

まだ手応えらしいものすら掴めてねぇが、完成形のイメージがあるのはでけぇ。

 

後はそれを俺に落とし込むだけだ。

 

(まぁ、それが難しいんだけどな。)

 

手の中で玩んでいたバスケットボールを定位置に置くと、ベッドに寝転んで前世の記憶を掘り返す。

 

掘り返すのはカ○ーのプレーの記憶だ。

 

(本当にすげぇな。俺が思い描いていた理想のプレイスタイル…その完成形を見せられている気分だぜ。)

 

俺はバスケに関しては特にジャンプシュートに自信があるが、カ○ーのジャンプシュートはハッキリ言って次元が違う。

 

調子が良い時はカ○ーと同等のシュート成功率を出せる自信はあるが、シーズン通してあのハイアベレージを保てるのはバケモノだ。

 

「おもしれぇ…!」

 

まだまだ先がある。上手くなれるという思いが俺に興奮をもたらす。

 

けど、そろそろ寝ねぇとな。

 

身体をしっかり休めるのも練習の内だ。

 

「おっと、寝る前にストレッチをしねぇとな。」

 

記憶を取り戻して以来、俺は怪我の予防を意識して入念にストレッチをする様になった。

 

これで怪我を完全に防げるわけじゃねぇだろうが、やらねぇで怪我をして後悔したくねぇからな。

 

「うしっ終わり!さて、寝るとするか。」

 

こうして俺は受験勉強をこなしながら、トレーニングで技を磨く日々を過ごしていく。

 

そして数ヵ月後、受験に無事合格した俺は待ち望んでいた湘北高校の門をくぐったのだった。




ピックアップしたNBA選手は作者の独断と偏見によるものです。

次の投稿は9:00の予定です。
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