三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

23 / 201
本日は3話投稿します。

本日投稿1話目です。


第21話『布石と強豪の自負』

side:倉石博也

 

 

翔陽との試合前の整列で、俺はマッチアップ相手の藤真に目を向けながらミーティングの内容を思い出す。

 

今日の試合の前半は俺が藤真のマークにつくようにと安西先生から指示された。

 

これはみっちゃんのスタミナを温存して、後半に勝負を掛ける布石の一手だ。

 

この作戦は俺が前半でどれだけ藤真を抑えられるかに掛かってる。

 

だから前半が終わったらぶっ倒れる覚悟で走らないといけない。

 

整列からの礼が終わるとポジションにつく。

 

ジャンプボール…赤木が制した!

 

石渡さんが拾って土橋さんへパス。

 

藤真が土橋さんのマークにつくけど、土橋さんは無理をせずに近くに来たみっちゃんにパス。

 

みっちゃんがボールを持つと翔陽のGである坂井さんがマークにつく。

 

俺がフォローに行ってみっちゃんからパスを貰うと赤木にパス。

 

そして赤木が押し込んで先制ゴール。

 

幸先良し。けど気を抜かずに直ぐに藤真のマークにつく。

 

藤真が仕掛けてくる。反応出来た。抜かせない。

 

藤真が止まった。ジャンプシュート!?止められる!

 

そう思って跳んだがボールは既に放たれていた。

 

藤真のミドルシュートが決まって同点。振り出しに戻る。

 

…藤真は左利きであることに加えて、シュートのタイミングが独特だ。正直に言ってやりにくい。

 

でも牧やみっちゃんと比べればまだなんとかなる相手だ。

 

次は絶対に止める!

 

 

side:藤真健司

 

 

オフェンスになると湘北の倉石が俺に張りついてくる。

 

三淵監督の読み通りのマッチアップだが、倉石のディフェンスの上手さは予想以上だ。

 

少なくとも俺のドリブル技術じゃ完全に抜き去ることは難しい。

 

けどパスは問題なく出せる。シュートは…ちょっと厳しいな。

 

1回見せただけで2回目にはかなりタイミングをアジャストしてきた。

 

…これはボール運びとパスに徹した方が良さそうだな。

 

先日の陵南戦で牧や三井には及ばないと認めると、俺の中で何かの枷の様な物が外れて視野が広まった感覚があった。

 

それ以来、皆の動きがよく見える。

 

倉石にドリブルで仕掛ける。抜けない。けどパスコースが開いた。

 

パスが通る。Cの阿久井さんと赤木の勝負…ダメか。

 

まだ1年なのに阿久井さんと渡り合えるとは…どうやら赤木はこの決勝リーグで一皮剥けたらしい。

 

となると…河本さんと平泉さんをメインにするか。

 

ディフェンスに戻りながらそう試合の組み立てを考えていく。

 

土橋さんから三井にパスがいく。

 

むっ…やはり三井の足がある内は完全にパスコースを塞ぐのは難しいか。

 

チラリと三井に目を向けながらそう考えると違和感を感じる。

 

…ん?三井の動きがどこかおかしい。

 

調子が悪いのか?坂井さんが3Pシュートを警戒して距離を詰め気味なのに抜きにいかない。

 

倉石がフォローに行くと三井はパスを出す。そして倉石から赤木へ渡ると赤木が勝負に。そしてゴールが決まると三淵監督がタイムアウトを取った。

 

まだ前半始まって5分も経ってないのにタイムアウトを取るのか?いったい何が?

 

皆が集合すると三淵監督が口を開く。

 

「どうやら湘北は前半、三井を温存するつもりのようだ。」

 

その言葉を聞いた全員が湘北ベンチに目を向ける。

 

「監督、オフェンスでは三井のところから仕掛けますか?」

 

キャプテンの阿久井さんの言葉に三淵監督は首を横に振る。

 

「奇をてらわずに基本に忠実…それが翔陽のバスケじゃ。より得点の確率の高いところで勝負。三井が大人しくしてくれている内に着実に得点を重ねていけばよし。」

 

たしかに三井のところから勝負をすると得点の確率は低くなるだろう。

 

けど三井のスタミナを温存させて大丈夫なのか?

 

「湘北の強みが三井ならば、うちはチームそのものが強みよ。地力の差を活かしプレーの1つ1つを丁寧に。それだけで十分に優位に立てる。」

 

三淵監督がニヤリと笑う。

 

「湘北が全国に行くのはまだ早い。翔陽が強豪と呼ばれる所以…それを教えてあげなさい。」

「「「はい!」」」

 

タイムアウトが終わってコートに戻ると、俺達は湘北の選手達を見据える。

 

俺達は翔陽だ。バスケで県内有数の強豪校に数えられる翔陽だ。

 

その事をお前達に教えてやるぜ。




◆阿久井(あくい):拙作オリジナルキャラ。翔陽の3年生でポジションはC

 海南の兼田に比べれば実力は1枚落ちるが全国経験がある実力者。
 兼田と阿久井は関係は原作で例えると赤木と魚住みたいな感じである。


◆坂井(さかい):拙作オリジナルキャラ。翔陽の3年生でポジションはG。

 翔陽のGで所謂ディフェンスキャラだが、強豪らしく全体的にまとまった技術を持つ。


◆河本(かわもと):拙作オリジナルキャラ。翔陽の3年生でポジションはPF。

 身長は高いが線が細くあまりリバウンド争いは得意ではない。しかし強豪の翔陽でスタメンを勝ち取るぐらいには高い技術を持っている。
 

◆平泉(ひらいずみ):拙作オリジナルキャラ。翔陽の2年生でポジションはF。

 坊主頭でスポーツメガネを掛けた選手。フックシュートが得意。


次の投稿は9:00の予定です。
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