三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

27 / 201
本日投稿2話目です。


第25話『託された想い』

side:三井寿

 

 

夏の大会が終わって迎えた今日は3年生が引退する日だ。

 

高校バスケではウインターカップまで3年生が出場出来る大会があるが、去年まで弱小だった湘北では残る3年生はいない。

 

皆受験勉強をする為に引退するそうだ。

 

「三井、赤木、木暮、倉石、ありがとな。去年まで1回戦、勝てても2回戦が精一杯だったうちが決勝リーグまで勝ち上がれたのはお前達のおかげだ。心残りが無いわけじゃないが、自信を持って受験勉強に励めるぜ。」

 

安西先生だけじゃなく先輩達を全国に連れて行けなかったのが本当に悔やまれる。どうしても入部初日の怪我が無ければって思っちまうぜ。

 

「長瀬、猪狩、毒島、長谷、練習がきつくなってもバスケ部に残ってるって事はバスケに本気になったんだろ?だったら頭を下げてでも三井達と練習をしろよ。お前達もわかっただろ?湘北バスケ部が全国に行くのも夢じゃないってな。」

「キャプテン…」

「元キャプテンだぜ、長瀬キャプテン。」

「小堺と上島は無理するなよ。大学進学は立派なことだ。部に残ってくれてるだけでありがたいんだからな。」

 

石渡さんが新たなキャプテンとして任命したのが2年生の長瀬さんだ。

 

長瀬さんのポジションはPG。160cm台と小柄な身体だが、いいアジリティを持った選手だ。高身長の選手に対抗出来るシュートを身に付ければ化けるだろう。…レイアップが得意みたいだからプロレイアップを教えてみるか。それとドリブルにパスもだな。

 

石渡さんに続いて土橋さんの話も終わると、3年生壮行の紅白戦が行われた。

 

ある種のお祭りみたいな雰囲気だったこともあって、俺は色々とやってみた。

 

プロレイアップに普段はあまりやらないフェイダウェイ。更にダブルクラッチやハーフライン近くからの3Pシュートといった具合にだ。

 

そんな俺に触発されたのか、赤木もベビーフックを覚えてからはあまりやらなくなっていたダンクをやって皆を盛り上げた。

 

木暮はドリブルで相手を抜こうとクロスオーバーをやって失敗したり、倉石がプロレイアップをやって失敗したりして皆の笑いを誘った。

 

そんな楽しい紅白戦も終わりの時間がやって来た。

 

「…お前達!ウインターカップは応援に行くからな!」

「今度こそ全国に行けよ!」

 

こうして石渡さんに土橋さん、そして数人の3年生達が湘北バスケ部を引退していった。俺達に熱い想いを託して…。

 

 

 

 

side:三井寿

 

 

3年生達が引退した翌日、通常の練習が終わると2年生達も居残り練習に参加してきた。

 

新キャプテンの長瀬さん、副キャプテンの猪狩さん、そして毒島さんと長谷さんの4人だ。

 

「はは、結局バスケ部のほとんどが居残り練習か。」

「そりゃそうだろ。全国に行ける可能性があるなら居残り練習ぐらいするさ。まぁ、今更参加するのは現金かもしんねぇけどさ。」

「小堺と上島も来ればよかったのになぁ。」

「あいつらは東京の6大学狙いだからな。流石に勉強時間も確保しないといけないだろ。」

 

長瀬さんと猪狩さんが笑いながらそう話している。

 

「さてと…三井、俺達にも色々と教えてくれ。頼む。」

 

長瀬さんの言葉を合図にしたかの様に2年生全員が俺に頭を下げた。

 

「ちょ、やめてくださいキャプテン。そんなことして貰わなくても、俺に教えられることなら教えますから。」

 

美和に一応メモを頼むと先輩達に教えるべき技術を考える。

 

「そうっすね…キャプテンはプロレイアップシュートを覚えてみましょう。」

「プロレイアップ?」

「昨日の紅白戦で俺がやった高く放るレイアップです。あれで背の高い連中の正面からシュートを決めたら楽しくないですか?」

「…いいなそれ!最高!」

 

「後は空いた時間にドリブルとパスも見ますんで、バテない様にペース配分をお願いします。」

「オーケー、わかった。」

 

次に俺は副キャプテンの猪狩さんに目を向ける。

 

「猪狩さんはCなんで、赤木と同じくベビーフックはどうですか?」

「俺は赤木ほど背が高くないが大丈夫なのか?」

「左手の使い方次第で十分得点を狙えますよ。物に出来たら赤木相手でもローポスト、ハイポスト問わずにゴールを奪えます。そのぐらいフック系はブロックが難しいんです。」

「よし、採用!」

 

「後は赤木とリバウンド争いの練習をお願いします。これは赤木の練習にもなるんで、なるべくみっちりと。」

「あぁ、赤木、手加減しないからな。まぁ、俺が胸を借りることになりそうだが。」

「いえ、そんなことありません。ぜひ、よろしくお願いします。」

 

続けて毒島さんと長谷さんに目を向ける。

 

「毒島さんはGなんで先ずは倉石からディフェンスを教えて貰ってください。キャプテンと同じで、空いた時間にドリブルとかを見ますから。」

「わかった。頼むぜ、倉石。」

「任せてください。」

 

「長谷さんはロングシュートが得意でしたよね?」

「得意といっても三井どころか木暮よりも入らないぞ。」

「それはこれから伸ばしていけばいいんですよ。木暮、お前の練習の仕方を長谷さんに教えてくれ。」

「あぁ、わかった。」

 

一通り先輩達の居残り練習の内容が決まると長瀬さんが手を叩く。

 

「うしっ、始めるか。目指すは全国出場!」

「いえ、キャプテン、全国制覇です。」

 

赤木がそう訂正すると2年生達が笑う。

 

「お前達となら本当に出来そうだと思っちまうんだから不思議だぜ。うしっ、改めて目標は全国制覇だ!」

「長瀬、しまんねぇぞ~。」

「うっせ、茶化すな猪狩!」

 

こうして俺達湘北バスケ部は新たなスタートを切った。

 

去年まで弱小って呼ばれていたとは思えない程にいい雰囲気だ。

 

…俺達の目標は全国制覇。

 

必ず達成してみせるぜ!




◆長瀬:拙作オリジナルキャラ。ポジションはPG。

 160cm台と小柄ながら中々のアジリティがある選手。
 新キャプテンに任命されたことで責任感が芽生えつつある。
 趣味のサーフィンの影響でかなりボディバランスに優れてる。


◆猪狩:拙作オリジナルキャラ。ポジションはC。

 181cmとスラダン世界のCとしては小柄だがポストプレイが上手い。
 三井や安西の指導の元、テクニック型のCとして成長中。
 控えのCとして頼もしい存在となるか?


◆毒島:拙作オリジナルキャラ。ポジションはG。

 現段階では倉石よりもシュートが上手いが総合的には下。
 倉石と切磋琢磨して成長中。


◆長谷:拙作オリジナルキャラ。ポジションはSG。

 現段階では木暮よりも確率は低いが3Pシューターである。
 木暮と切磋琢磨して成長中。


◆小堺:拙作オリジナルキャラ。ポジションはF。

 原作の福田の様なオフェンス特化タイプの選手。ただし弱小時の湘北バスケ部の練習の影響でそれほどオフェンス技術が高いわけではない。
 東京の某大学の医学部進学を目指している。


◆上島:拙作オリジナルキャラ。ポジションはPF。

 技術の拙さを運動量でカバーする花道タイプの選手。
 ただし花道ほどジャンプ力があるわけではなく、平面でのプレーが中心である。
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