本日投稿1話目です。
side:赤木美和
居残り練習のメンバーも増えて部の雰囲気が良くなった今日この頃。私こと赤木美和は危機感を感じております。
何故か?それは…三井君との仲が一向に進展しないからよ!
三井君は弱小だった湘北バスケ部をインターハイ予選の決勝リーグまで導いた上に、全国出場まで後一歩まで迫った超有能な男子なの。
オマケに顔も頭も良しとなればそりゃモテる。うん、凄いモテるわ。なんせ親衛隊が出来そうな勢いだもん。
これはマネージャーをしてるからってウカウカしてられないわ!
というわけで赤木家で作戦会議をしている最中なんだけど…。
「ちょっと剛憲、もっと真剣に考えてよ。」
「何事かと思えばそんなことか。自分で何とかしろ。」
居残り練習で私と三井君が書いたノートを見ながら、剛憲は至極面倒そうに言葉を返してくる。
「晴子ちゃん、剛憲がひどいよ~。」
「あはは…まだ夏の大会が終わったばかりだから。」
そうなのよねぇ。まだ全国出場を逃したばかりで悔しさ一杯の状態なのよねぇ。
でも…。
「だからこそここでしっかりとフォロー出来れば、三井君に対して点数が稼げると思わない?」
「バカタレが。」
ノートから顔を上げた剛憲は頭を抱えながらため息を吐く。
失礼しちゃうわ。
◆
side:赤木美和
夏休みに入って直ぐのこと、私達1年生の湘北バスケ部メンバーは、夏休みの間バスケの練習に集中するために、皆で赤木家に集まって夏休み中の課題に取り組んでいた。
とはいっても皆勉強が出来るメンバーだから大して苦労は無いかな。
だから適当に喋りながら課題を進めていく。
「そうだ三井、お前は大学に進学するのか?」
「あぁ、アメリカの大学に進学する。」
「アメリカの?」
「NBAのドラフトを狙うんだよ。」
その言葉に私も含めた皆が驚く。
「そ、そうか、確かに三井なら…。」
「NBAはそんな甘くねぇよ。今のままじゃドラフトに掠りもしねぇさ。だからもっと練習をしねぇとな。」
そっか…三井君はプロバスケットボーラーになるのを、夢じゃなくて目標として考えているんだ。
あれ?もしかして…。
「ねぇ三井君、インサイドよりもミドルやロングシュートが多いのは、NBAを意識してるの?」
「あぁ、そうだな。」
NBAは剛憲でも小さい扱いをされるフィジカルモンスターの巣窟。180cmぐらいの三井君だと、インサイドの勝負は厳しいものがあるもんね。…そういえば三井君、少し背が伸びた?
それはともかく、今から後々の為にプレイスタイルを考えているのは流石だわ。
三井君達がバスケの話で盛り上がっている横で私は考える。
三井君はアメリカの大学に行く。そしてNBAのドラフトを目指す。大学に合格してドラフトに掛かったら?もちろんNBA選手になる。そして私はNBAが大好き。
…うん、もう考える余地が無いぐらい三井君は私の理想の男性そのものだわ。
そう思ったら同じ部屋で課題をやってるだけなのに顔が熱くなってきたんだけど。
「ん?どうした美和?暑いのか?」
「うぇっ!?」
ギャー!変な声出たー!
「だ、大丈夫!大丈夫だよ三井君!でもちょっと冷たい飲み物貰ってくるね!」
「おう、無理すんなよ。」
私が立ち上がると三井君以外、つまり剛憲に木暮君と倉石君が生暖かい目で見てくる。
もうっ!わかってるんなら援護してよ!
勝手知った台所に緊急避難した私は、冷蔵庫の中でキンキンに冷えた麦茶を取り出してコップに注ぐ。
「何かの本で惚れた方の負けって見たけど、本当にその通りね。」
そう言葉を溢すとグイッと麦茶を飲み干す。
「よしっ!負けたまんまじゃ終われない!この気持ちを成就させる!三井君の彼女になってみせる!」
「うん、頑張ってね、美和お従姉ちゃん。」
晴子ちゃんがいることに気付かず気勢を上げた私だけど、晴子ちゃんの応援に応えてサムズアップをした。
よしっ!三井君の彼女になって、三井君と同じアメリカの大学に行くぞー!
次の投稿は9:00の予定です。