三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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本日投稿3話目です。


第33話『海南vs山王』

side:三井寿

 

 

美和と夏祭りを楽しんだ日からしばらく経つと、インターハイ全国大会決勝戦の日がやって来た。

 

今年のインターハイ全国大会の決勝戦に進んだのは海南と高校バスケの王者である山王。

 

これは是が非でも見たいとあって、高校バスケの決勝戦が放送される衛星放送を見れる美和の家に、俺達湘北バスケ部1年は集まった。

 

「美和、後で山王の試合を俺にもダビングしてくれ。」

「りょうか~い。」

 

美和は放送された山王と海南の試合は全て録画しているらしく赤木がダビングを頼んでいたんだが、俺も便乗してダビングを頼むことにした。…後でビデオテープ代を渡さねぇとな。

 

テレビに目を向けるとそこには山王がアップしている映像が流れている。

 

テロップ付きで山王のメンバーが紹介されていくが、王者山王で1年にしてユニフォームを着ている奴等がいて俺達は驚いた。

 

「深津と河田か…。」

「ポジションはPGとGだな。」

 

アップの様子を見ていると深津は牧や藤真とも違うタイプのPGの様に見える。おそらくは土橋さんみたいな基本に忠実でオーソドックスなタイプだが…それだけで1年で山王のユニフォームは着れないだろう。

 

深津は要注目だが、俺は深津以上に河田が気になるな…。

 

 

 

 

side:木暮公延

 

 

インターハイ全国大会の決勝戦が始まった。

 

ジャンプボールを制したのは山王キャプテンの小野さんだ。オフェンスは山王から。ボールが俺達と同じ1年の深津に渡る。深津と牧のマッチアップ。

 

っ!?牧がいきなりスティールを決めた。牧が速攻を掛けて海南が先制。海南に流れが行くか?

 

ボールを貰った深津がゆっくりとボールを運んでいく。

 

…凄いな。全国大会の決勝戦という大舞台で、しかもいきなりスティールを決められたのに慌てている様には見えない。

 

流石は高校バスケの王者山王で、1年にしてユニフォームを着るだけはあるってことか。

 

2回目の深津と牧のマッチアップ。牧が仕掛ける前に山王のGの鮎川さんがフォローに行った。

 

スクリーンを掛けられて動けない牧を深津が悠々と抜き去る。

 

だけど流石は海南。鮎川さんとマッチアップしていたGの下村さんが直ぐに深津にチェックを掛けた。

 

深津がパスを出す。山王キャプテンでCの小野さんはゴール下でボールを受け取ると勝負を掛ける。けど兼田さんがブロック。

 

転がったボールは海南のFの三島さんが拾って牧にパス。牧が速攻を掛けて得点。4ー0で海南がリード。

 

もしかしたらと期待が膨らむ。

 

その後、牧と深津のマッチアップは牧に軍配が上がり続け、前半5分が過ぎたところで山王ベンチが動いた。

 

深津と河田が交代。たしか河田も俺達と同じ1年だよな?

 

海南ボールで試合が再開するが…河田が牧のマークに!?

 

牧が仕掛けて抜き去…れない!?でも半歩前に出ていた牧から兼田さんにパスが通る。兼田さんは合同合宿で身に付けたベビーフックで得点。これで海南と山王の点差は12点に広がった。

 

「どうも河田は牧のドリブルの癖がわかってるみてぇだな。」

 

不意に三井の声が耳に届くと美和さんが話しかける。

 

「たしかストレートとクロスでちょっと違うんだっけ?」

「あぁ、わかる奴が見ればわかる。つまり河田はそのわかる奴だってことだ。」

 

…凄いな。深津の時も思ったけど、河田も1年で山王のユニフォームを着るだけの何かを持った男なんだ。

 

「さっきは牧のスピードに面食らったみてぇだが、もう何回かやって河田が牧のスピードに慣れたら止めるかもしれねぇな。けど牧も自分の癖を見抜かれたことがわかったみてぇだ。…こいつは面白くなりそうだぜ。」

 

試合が進んで前半10分が過ぎた頃、三井の言葉通りに河田が牧を止めると山王の巻き返しが始まった。

 

そして前半が終了すると海南のリードから山王のリードに状況が変わっていた。

 

しかも勢いは断然山王にある…。

 

「このまま山王で決まりか?」

「そいつはどうだろうな?」

 

倉石の言葉に三井が反応すると皆の視線が三井に集まる。

 

「牧のやつ、わざと河田に止められてた。」

「わざと?」

「あぁ、合宿で散々やりあったからな。牧の実力はあんなもんじゃねぇよ。なんか作戦があって前半は抑えてたんだろうな。」

 

テレビに目を向けるとちょうど牧がアップで映されていたが、その顔に何度も止められた苛立ちなどは見られない。

 

「合同合宿で成長したのは俺達だけじゃない。海南もだ。まぁ、見てろよ。少なくとも、王者山王に一泡吹かせてくれるだろうぜ。」




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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