三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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本日は3話投稿します。

本日投稿1話目です。


第34話『海南vs山王決着』

side:牧紳一

 

 

後半開始と同時に山王はフルコートプレスディフェンスを仕掛けてきた。ハーフタイムで聞いた高頭監督の予想通りにな。

 

俺の役割は前半温存した分動いてこの山王の仕掛けを突破すること。

 

難しいがやれないわけじゃない。

 

俺がボールを持つと河田と鮎川さんがマークにくる。

 

…ならピッタリと張り付かれる前に仕掛ける!

 

クロスと見せ掛けてストレートに。ちょうど河田と鮎川さんの間を突っ切る形で2人を抜き去る。すると前はがら空きだった。

 

そのまま速攻を掛けるが全力ではいかない。わざとスピードを緩めて追い付かせる。

 

目論見通り鮎川さんが俺に追い付きレイアップにいった俺にファールをしたが、俺はしっかりとレイアップを決めて3点プレイを成立させた。

 

会場はざわめいていたが、やがてそのざわめきは歓声へと変わっていく。

 

攻守交代で山王の攻撃。河田がミドルレンジでのジャンプシュートを外すと兼田さんがリバウンドを制した。

 

兼田さんから俺にパスが来ると直ぐに河田と鮎川さんが俺のマークに。

 

今度はまた2人の間を突っ切ると見せ掛けて、ロールターンで河田側の外に抜ける。

 

一歩前に抜け出た俺は腕で河田の動きを制して中に切り込む。そしてレイアップを決める。

 

点差は6点。十分に追い付ける差だ。

 

俺は前半の鬱憤を晴らす様にコートを駆け巡った。

 

だが流石は王者山王。そう簡単には追い付けない。

 

後半10分が過ぎたところで山王がタイムアウトを取った。

 

俺は息を整えながらベンチに戻る。

 

「牧、まだいけるな?」

「はい、いけます。」

 

高頭監督に返事をした俺は水分補給をする。

 

「おそらく山王はフルコートプレスディフェンスを止めるだろう。ここからはがっぷり四つだ。」

 

つまり力勝負…望むところだ。

 

タイムアウトが終わってコートに戻ると、山王メンバーの戦意に溢れた視線が俺達に突き刺さる。

 

「ふっ、上等だ。」

 

試合は残り約10分、全力でぶつからせてもらうぜ!

 

 

 

 

side:河田雅史

 

 

監督の指示で後半開始と同時に俺達はフルコートプレスディフェンスを仕掛けた。

 

俺と鮎川さんで牧を潰しにいくが、牧は張り付かれる前に仕掛けてくる。

 

クロス…っ!?

 

牧の癖を読んでクロス側…牧から見て左側にいた俺は外に一歩動いたんだがそれはフェイクで、牧は僅かに空いた俺と鮎川さんの間を強引に突破していきそのままレイアップを決めた。

 

「…ぶはは。」

 

試合中なのに思わず笑っちまった。

 

ビデオで確認した時からやる奴だって思ってたが、こいつにはまだ上があったんだからな。

 

それから試合は5分、10分って過ぎていったが、海南との点差は広がるどころが縮められちまった。

 

少なくとも俺が山王に入ってからはこんな事は始めてだ。

 

まぁ代わりといっちゃなんだが、牧のスタミナは大分削れたからよしとしとくべ。

 

そっからはシーソーゲームが続いてたが、試合時間残り5分ってところで牧の動きがまた速くなった。

 

よくもまぁそんな動けるもんだ。

 

点差はジワジワと縮められていってラスト20秒…ついに2点差まで詰め寄られた。

 

鮎川さんがボールを持って時間を消費していくが、残り7秒のところで牧にスティールを決められた。

 

それを目にした瞬間に俺は自陣に走る。すると3Pラインの辺りで速攻を掛けていた牧に追い付けた。

 

牧がレイアップに行くのに合わせて俺も跳ぶ。

 

(しかし幾ら牧が疲れているとはいえ、随分とあっさり追い付け…っ!?)

 

ファールをしてでも止めようと手を伸ばそうとしたその刹那、俺は全身で牧を避ける様に伸ばしていた手を引っ込めた。

 

着地をするとレイアップを決めた牧と目が合う。

 

(…やっぱり狙ってやがったな。バスケットカウントを。)

 

危うく負けるところだった。冷や汗を流したが、延長に入ればこっちのもんだ。牧にはもうスタミナが残ってねぇだろうからな。

 

その後、延長戦前半の途中で牧がベンチに下がると、あっという間に点差が広がりうちが優勢になる。

 

あぁ~…しんどかった。俺も完全にバテたぜ。後は皆に任せるしかねぇわ。

 

山王のチームとしての勢いは延長戦後半に入っても衰えず、逆に牧がベンチに下がって明らかに海南の勢いが落ちると、俺達山王がインターハイ全国大会を制したのだった。




次の投稿は9:00の予定です。
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