三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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本日投稿3話目です。


第36話『ライバルの成長は望むところ』

side:三井寿

 

 

国体前の最後の週末、神奈川選抜メンバーはもう一度海南に集まって練習をやっているが、やはり選抜メンバーだけあって皆の動きのレベルは高い。

 

連携の最終確認の意味もある紅白戦で、俺と牧のコンビは他の選抜メンバーを圧倒していく…いや、圧倒は言い過ぎか。

 

崩せてはいるんだが大崩れはしてねぇからな。

 

カットインした牧から外にいる俺にパスがくる。

 

「三井だ!2点はいい!3Pをケア!」

 

白チームの兼田さんからチームメイトに指示が飛ぶ。

 

俺のマークについた翔陽のGの坂井さんが距離を詰めてきたのでドリブルで抜く。

 

そのまま中を通って逆サイドに抜ける動きをすると中が空いたので、赤木にパスを出す。

 

赤木と兼田さんの勝負。赤木がきっちりとボールを押し込んだ。

 

紅白戦をやっていて思うのは、やっぱりいいPGがいると楽だということだ。

 

牧は俺がマークを外したのとほぼ同時にパスを出してくるから、動くのは最小限でいいからな。

 

今の長瀬さんにここまで要求するのは酷だが…ウインターカップや来年のインターハイでは面白くなるだろうな。

 

 

 

 

side:三井寿

 

 

紅白戦が終わって帰りまでの時間が余ると牧と兼田さん、そして赤木以外の選抜されたメンバー達から声を掛けられる。

 

「なぁ三井、あのクロスオーバーなんだが…なんかコツでもあるのか?」

 

坂井さんの問い掛けに俺は実演を交えて説明していく。

 

坂井さんと同じく翔陽から選ばれた藤真が一番食いついて見てくるな。

 

「こんな感じですね。大事なのは出来る限りストレートとクロスでフォームを変えないことです。」

「そう言われても、変えてるつもりはないんだがなぁ。」

 

目線や重心の些細な違いも重要な情報になる。いわゆる選手の癖を読むってやつだな。

 

牧の様に自分の癖を理解して利用出来ればまた違うんだが、自分で自分の癖に気付くのは難しいからな。

 

それこそ牧も俺と高頭監督が指摘したから自分の癖を自覚出来たんだ。

 

俺みたいに明確な理想像があってそれをイメージして練習、もしくは日頃からビデオチェック出来る環境でもなきゃ、自分で自分の癖に気付くのはまず無理だ。

 

だからこそ誰かと一緒にしっかりとしたテーマを持って練習するのが重要になる。

 

俺達湘北バスケ部の皆がやってる居残り練習がまさにそれだ。

 

帰りの時間が来ると先週と同じく高頭監督の車に乗せてもらう。

 

「三井、SGはどうだ?」

 

高頭監督の問い掛けに俺は答えていく。

 

「いいPGがいると楽ですね。」

「ハハハ!そうかそうか!」

「それとリングが良く見える気がします。あの状態ならそうそう外しませんね。」

 

その後、牧と兼田さんも話に加わり談笑を続けていく。

 

そして話が終わると昨日と同じく、俺は赤木と一緒に色々と思考しながら家に帰っていくのだった。

 

 

 

 

side:高頭力

 

 

「リングが良く見えるか…。こいつは少し塩を送り過ぎたか?」

「監督、三井のことですか?」

「あぁ、そうだ。」

 

三井を見送ると思わず呟いてしまったが、その呟きに牧が反応してきた。

 

「三井は類い希なセンスで中学時代からエースとしてチームを引っ張ってきた。それは湘北でも変わらん。だがあいつの本質はシューターなんだ。」

 

俺は片手で顎を擦りながら話を続ける。

 

「今回の国体メンバーに三井を選抜しSGを任せた。それで三井はこれまでと違う視点を持つ事が出来たんだ。国体中に三井は伸びるぞ。だから塩を送り過ぎたと言ったんだ。」

「望むところですよ。」

 

ふと目を向けるとそこには戦意を滾らせる牧の姿があった。頼もしい限りだ。

 

「そうか、だが先ずは山王メンバーを有する秋田選抜にリベンジだな。」

「はい、そして優勝です。」

 

兼田が牧の言葉に頷いたのに満足すると、俺は気分良く扇子を広げたのだった。




これで本日の投稿は終わりです。

それと8月の投稿をお休みさせていただきます。

暑いのは苦手なんや…。

9月にまたお会いしましょう。
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