side:三井寿
国体の全国大会が始まった。1回戦の相手は九州代表の1校の福岡選抜チームだ。
試合は俺達神奈川選抜チームが終始優勢に進めたが、選抜チームとあって福岡選抜チームの勝負所での安定感は流石だと感心したぜ。
あの安定感は今の湘北には無い。
是非ともあの安定感を赤木にも身に付けて貰いたいもんだ。
ゴール下の赤木の安定感が増せば、それだけ湘北の地力がアップするからな。
まぁそう心配しなくても、赤木ならそう遠くない内に身に付けるか。
全国大会の1回戦に無事勝利した俺達はその後2回戦、3回戦と順調に勝ち進んでついに準決勝まで駒を進めた。
そして準決勝の日がやって来て会場入りすると大阪選抜チームに目を向ける。
今日は大会のスケジュールの関係から午前に準決勝、午後に決勝と2試合ある。だから本来のスターティングメンバーじゃなく、この試合は控えのメンバーをスターティングメンバーとして使うそうだ。
メンバーが充実している選抜チームだからこそ出来る采配だな。
赤木……このチャンスをしっかりと糧にしろよ。お前なら出来るって信じてるぜ。
◆
side:藤真健司
大阪選抜チームとの準決勝、この試合は本来は控えである俺や赤木達がスターティングメンバーになった。
これは決勝戦で当たるであろう秋田選抜チームとの試合で、本来のスターティングメンバーを出来る限り万全の状態で使う為だ。
この準決勝での起用に文句を言う控えメンバーは1人もいない。むしろ試合に出れるとあって俺達控えメンバーは熱くなった。
全国の強豪と戦えるこのチャンス……必ずものにしてみせる。
それぐらい出来なければ牧や三井と同じステージに立てない。胸を張ってあいつらのライバルだと言える様になるためにも、今日の経験を糧に成長しなくちゃな。
大阪選抜チームとの試合が始まった。ジャンプボールを赤木が制して俺にボールが回ってくる。
対峙するのは同じ1年生の南って男だ。
事前の情報ではSFでスコアラーだって話だったが、たぶん同じ1年ってことで俺とマッチアップさせてきたんだろう。
「10秒!」
ベンチからの声掛けで30秒ルールまで残り20秒だとわかった。そろそろ仕掛けてみるか。
ストレートに行くとフェイントを掛けてクロスオーバーを。抜けた。大会前のチーム練習で三井から教わったクロスオーバー……まだまだ未完成だけどそれでも使い様はあるな。
南を抜いた俺は中に切り込んで大阪選抜チームのCを釣り出す。そして中で待っている赤木にパスを出すと、赤木は豪快にダンクを決めた。
この豪快さは兼田さんや阿久井さんにはないものだ。だからなのか赤木がダンクを決めるとチームの雰囲気が盛り上がる。
攻守が入れ替わって大阪選抜チームの攻撃。事前に大阪選抜チームはラン&ガンを好むって聞いたけど果たして……。
大阪選抜チームはチーム全体で動いて早いパスを回し、フリーの選手を作ろうとしてくる。やはりラン&ガンを使ってきたか。
試合前のミーティングで高頭監督が大阪選抜チームの北野監督はラン&ガンを好むって俺達に伝えてきた。
だから気持ちの上では十分に準備が出来ていた筈なんだが、大阪選抜チームの速い展開のオフェンスに対応出来ず同点にされてしまった。
赤木のダンクで盛り上がった雰囲気を消されてしまったな……どうする?
俺には牧の様なスピードは無いし、三井の様なシュート能力も無い。けどパスなら二人に負けない自信がある。
ボールを貰うまでの数秒の間に考えた俺は、大阪選抜チームのバスケに付き合わずにじっくりと攻める事を決めた。
それからは一進一退の展開が続いた。
早いバスケで波に乗りたい大阪選抜チーム。だが俺達はそれに付き合わずじっくりと攻めて確実に点を重ねていく。
前半10分が過ぎた頃、超攻撃的なバスケのせいか大阪選抜チームにミスが重なり徐々に点差が広がってきた。
……ここだ!
俺はボールを持った南に張り付く様にしてディフェンスをする。
ここで大阪選抜チームのスコアラーである南からボールを奪えれば、大阪選抜チームのリズムを更に崩せる。
そう思いディフェンスをしていたその時……突如左目付近に衝撃が走り、俺はコートに倒れてしまうのだった。
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