三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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本日は3話投稿します。

本日投稿1話目です。


第42話『高頭と堂本の思案』

side:高頭力

 

 

国体の全国決勝戦の相手は秋田選抜となった。

 

これについては予想通りだが準決勝で予期せぬアクシデントがあったため、決勝戦でのプランを練り直さなければいかん。さて……どうするか?

 

神奈川選抜は牧と三井の二人が中心のチームだ。

 

二人は1年生にして既に神奈川ナンバーワン争いをするほどの逸材だが、1年生だからこその弱点がある。

 

それは……まだ身体が出来上がってない故に、高校バスケで戦うにはスタミナ不足なのだ。

 

牧は尻上がりにパフォーマンスを上げる性質の選手だ。そしてそれを利用する形で前半を抑え気味に動くことでペース配分をさせてきた。

 

だが全国レベルのチームが相手では、如何に牧といえどペース配分をする余力はない。

 

そして三井は聞いた話だが、入部初日に怪我をして1ヵ月程練習に参加出来なかったらしい。

 

故に三井のスタミナ不足は牧よりも深刻だ。

 

まぁ二人のスタミナ不足は時間が解決してくれる問題だが、今はその問題が勝利を得る為の重大な課題なのだ。

 

……後半に勝負を掛けるしかないな。

 

前半は三井抜きで戦い後半に勝負。藤真が戦線離脱した以上は牧はフルタイムで出さざるをえん。

 

基本的なプランは固まったが私はため息を吐いた。

 

(状況次第では三井を早期に投入しなければならんだろう。いや、王者山王のメンバーを多く有する秋田選抜が相手では、早期に三井を投入しなければならなくなる可能性が高い。)

 

扇子で蟀谷を掻きながらもう一度ため息を吐く。

 

やはりキーマンになるのは三井。

 

こちらはどこまで三井を温存出来るか、そして向こうはどれだけ早く三井を引きずり出せるかの勝負になる。

 

「1年生にして全国の大舞台の鍵を握るか……。私もこの手で育ててみたかったものだな。正直に言って羨ましいですよ安西先生。いや、牧を育てられている私が言っては贅沢か。」

 

自分の言葉に苦笑いした私は、誤魔化す様に自身を扇子で扇ぐのだった。

 

 

 

 

side:堂本五郎

 

 

(やはり鍵を握るのはこの選手か……。)

 

選手達に休憩を指示した俺は控室でビデオを見ながらそう思案する。

 

(三井寿……大会を通じて3Pシュート成功率が4割を超えている……これ程のシューターは見たことがない。)

 

3Pシュートは非常に成功率が低く、3Pシューターは戦力としては計算し難い存在だった。

 

故にその役割は内のスペースを空ける為の威嚇が主だったのだが、こうも成功率が高いと本気で警戒せざるをえない。

 

(そして更に厄介なのは彼が外だけの選手ではない事だ。)

 

元来3Pシュートは他の選手と比べて能力の低い選手が、生き残りを掛けて身に付けるケースが多かった。

 

故に3Pシューターは外のみを警戒すれば良かったのだが、三井はそのケースに当てはまらない選手だ。

 

(後半の勝負所で彼が万全の状態でいるのは不味い。勝つ為には彼を早期に消耗させる必要がある。その上で牧にも対応しなければならない……課題は山積みだな。)

 

そう思うものの俺は自分が笑っている事に気付く。

 

「相手にとって不足なし。」

 

高揚を自覚した俺は決勝戦でのプランを煮詰めていくのだった。




次の投稿は9:00の予定です。
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