三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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本日投稿2話目です。


第46話『三井の仕掛けと揺れぬ秋田選抜』

side:三井寿

 

 

タイムアウトが終わって秋田選抜のボールからスタートすると、手堅くゴールを決められて11点差になった。

 

そして牧からボールを受け取ると俺にダブルチームがついた。

 

来るかもしれねぇって予想はしていたが、王者山王を有する秋田選抜が俺にしてくるってのはこう……俺の力が認められた様で感動みたいなものが込み上げてくるな。

 

それはそれとして……さてどうするか?

 

このダブルチーム……通常のそれとは少し違う。一人は俺の3Pシュートを警戒しているのか少し距離を詰め気味だが、もう一人……河田はドリブルを警戒する様に少し距離を開けているんだ。

 

といっても両者の絶妙な間隔がしっかりとダブルチームを機能させている。

 

まぁとりあえず……試してみるか!

 

少し距離を詰め気味な男をクロスオーバーで抜き去る。

 

(よし、このまま……っ!?)

 

中を通りつつ展開しようとした次の瞬間、河田がファールをしてきて試合が止まった。

 

「なるほど、そういうことか。」

 

こいつらは徹底して俺に仕事をさせない気だ。それこそファールで止めてでも。

 

それ程に脅威だと思われるのは光栄だが、勝つためにはこの状況をなんとかしなくちゃならねぇ。

 

(これが前半ならわざとファールをさせ続けて、ファールトラブルを誘うのもありなんだがな……。)

 

だが今は後半……どうする?

 

(……とりあえずやってみるか。)

 

試合が再開されると俺は牧にボールを要求する。

 

秋田選抜の思惑に気付いたのか牧は僅かに逡巡したが、不敵に笑うと俺にパスを出してくる。

 

「さて、うちの司令塔の期待に応えねぇとな。」

 

ボールを持つと河田ともう一人が先程と立ち位置を入れ替えてマークについてきた。

 

俺はフェイクを一つ入れてもう一度クロスオーバーで抜く。ただし今度は中に向かわず3Pラインをなぞる様にして横にだ。

 

河田は3Pシュートを警戒していたのか完全に置き去りにしたが、もう一人が一歩遅れる形で俺に追随してくるのを横目で確認した。

 

そこで俺はシュートフェイクを一つ入れてから3Pシュートを撃つ。

 

するとバスケットカウントを貰って4点プレイを成立させた。

 

(これで少しは縮こまってくれたら楽なんだが……そう上手くはいかねぇよな。)

 

河田ともう一人が冷静に言葉を交わしているのが目に映る。

 

「けどこれで8点差だ。射程圏に捉えたぜ秋田選抜。」

 

 

 

 

side:河田雅史

 

 

「やられたな。」

「すんません。」

「いや、誘われたのは俺だからな。お前の責任じゃないさ。」

 

井橋さんに頭を下げると気にするなと肩に手を置かれる。

 

「どうします?」

「監督が動かないってことは俺達のやることは変わらんさ。けど、次からはバスケットカウントに気をつけて止めないとな。」

 

井橋さんに連れて俺も三井に目を向ける。

 

俺達の狙いに直ぐ気付くだけじゃなく、直ぐにそれを利用してくる。世の中にはとんでもねぇセンスを持った選手もいるもんだな。

 

試合が再開するとボールを運びながら深津が指を一本立てた。

 

「一つ一つ確実に。先ずはこの一本、しっかりと取るべし。」

 

あぁ、その通りだ。一つ一つ確実に。それが俺達のバスケだ。

 

チラリと三井に目を向ける。

 

「個人じゃ『今は』勝てそうにねぇけど、試合まで負けるつもりはねぇぞ。」

 

後半も残すところ半分ちょっとだ。

 

さぁ、終わったらぶっ倒れる気で走るとするかね。




次の投稿は11:00の予定です。
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