本日投稿1話目です。
side:赤木美和
「前半は2年生を中心に行きます。ですが1年生もいつでも行ける様に準備をしておいてください。」
ウインターカップまで残り1ヵ月といった頃、陵南との練習試合が組まれたわ。
この試合のうちの目的は新チームがどこまで機能するかの確認ね。
うちのスターティングメンバーはPGに長瀬さん、Cに猪狩さん、Gに毒島さん、SGに長谷さん、Fに小堺さんといった布陣ね。
さぁ練習試合が始まったわ。先ずはジャンプボール……魚住君に取られて陵南ボールからね。
陵南の2年生PGの萩原さんがボールを運ぶ。同じPGの長瀬さんとマッチアップ。
萩原さんが仕掛けた!けど長瀬さんはしっかりと反応してる。
苦しい状況の萩原さんを池上君がフォローに。池上君のスクリーンで動けなくなった長瀬さんを萩原さんが抜くと魚住君にパス。
魚住君と猪狩さんのマッチアップ……魚住君がベビーフックを決めて先制点は陵南。これで0―2。
う〜ん……やっぱり魚住君の身長でベビーフックは脅威ね。というか神奈川では剛憲に兼田さん、そして魚住君って感じにポジションがCの選手の間でベビーフックが流行ってきてるみたいなのよね。
まぁそれだけゴール下で有用な技なんでしょうね。
でも普段から剛憲と練習している成果なのか、猪狩さんは魚住君にやられっぱなしじゃないわ。比率でいうなら4:6ってところかしら。
けど試合は陵南のペースで進んでいる。これは長谷さんが池上君に完全に抑え込まれてしまっているからね。
前半はこのまま陵南のペースで進みそうだわ。
それはそれとして他所の高校に行った友達に聞いたんだけど、どうも他の高校のバスケ部ではロングシュートの練習量が増えているみたいなのよね。
これは確実に寿君の影響ね。
まぁ、全国であれだけ活躍したらそうなっても不思議じゃないわ。
さて、思った通りに前半は陵南のペースで進んだわ。
けど点差は10点とあまり広がってない。これは陵南にエースと呼べるスコアラーがいないのが原因でしょうね。
それと途中から出た木暮君と倉石君の活躍も影響してるかな。
さて、後半になったらいよいよ寿君と剛憲が登場よ。つまりここからが両チーム共に本番ってことね。
さぁ、ウインターカップへに向けて弾みをつけるためにも、ここはキッチリと勝たないと。
みんな、頑張れ!
◆
side:安西光義
前半の出来に点数をつけるとしたら80点と言ったところですか。
特に長瀬君の突破力に猪狩君の奮闘は素晴らしい出来でした。
その他の子達も十分に及第点の動きです。
ですが長谷君が池上君のディフェンスにムキになって外にこだわり過ぎたのはいただけません。
年下の選手に抑え込まれたというのもあるかもしれませんが、もう少し対応に柔軟性が欲しいところですね。
試合が終わった後に少し話をしましょう。
それはそれとして陵南もだいぶチームとしての形が出来上がってきていますね。しかも3年生が抜けた後の事も考慮して準備が出来ているようです。
ですが田岡監督……うちも負けていませんよ?
三井君と赤木君が全国の舞台で得た経験を皆にフィードバックしてくれている今の湘北には、昨年まで弱小と呼ばれていた頃の面影などもはやありませんからね。
ニコリと微笑んだ私は去年と比べると明らかに小さくなった自身の腹に手を当てる。
かなりダイエットが進んだこの身体はとても軽く、その身体に影響されるかの様に心も弾んでしまいます。
そして練習試合とはいえ真剣な両チームの雰囲気が、大学で指導していた頃の勝負師としての血を沸き立たせてくれますね。
「ほっほっほ、楽しくなってきました。」
やはりスポーツは素晴らしい。
その事を改めて感じた私は教え子達に指示を伝えつつ、内心で感謝の念を彼等に捧げるのだった。
次の投稿は9:00の予定です。