side:藤真健司
前半は点差的には五分で終わったが、状況的にはあまり良くないと言える。
まさか三井があそこまでゴール下でのプレーが出来るとは……。
こちらの思惑は赤木を崩すことで三井以外のメンバーの動きも崩すことだった。だがその思惑も三井のプレーで赤木が立ち直る……いや、あれは立ち直るどころか一皮剥けてしまったな。
この状況から勝ちに結びつけるには俺が出る方がいいが……どうする?
「藤真。」
阿久井さんの声に顔を上げる。
「前に言った筈だ。俺達3年のことは気にするなと。翔陽の明日に繋がる采配をしろ。」
阿久井さんの言葉がありがたい。
俺もいい加減に腹を括らないとな。
「わかりました。作戦に変更は無し。後半もこのまま行きます。」
「そうだ。それでいい。」
「ですが、足が止まってきたら容赦なく交代しますからね。」
「ハハハ、了解だ。お前ら、死ぬ気で足を動かせよ!」
「「「おぉっ!」」
正直に言えば選手としてコートに立つ方がずっと楽だと感じる。
けどチームを動かすことの楽しさも少し感じ始めてきた。これは三井や牧も知らない楽しさだろう。
俺は自分が出たい欲求を抑えてベンチに座るのだった。
◆
side:三井寿
後半が始まった。翔陽の動きは前半とそう変わらない。なんでだ?
それに藤真も出てこない。あいつが出れば翔陽の動きにリズムが出るだけじゃなく外からも……もしかしてそれか?
翔陽はなんらかの理由があって外を見せたくない。おそらくは次の海南を意識してるんだろうが……。
俺はチラリと翔陽ベンチにいる藤真に目を向ける。
すると藤真は拳を握り締めて何かを堪えていた。
……急に監督不在になった以上、いつも通りとはいかないか。
翔陽の置かれた状況に同情はするが手は抜かない。むしろ手を抜くのは翔陽に対する侮辱だ。だから全力を尽くす。
後半の時間が過ぎていくに連れて湘北と翔陽の点差が徐々に広がっていく。
これは前半の内に赤木のプレーが安定してくれたのが大きいな。
藤真という優秀なPGがいない分をカバーしようと翔陽の選手達は足を動かすが、俺達湘北が優勢のままだ。
翔陽ベンチが動いてフレッシュな選手を投入するが、試合の流れは変わらないまま試合が終了。俺達湘北が白星を上げたのだった。
◆
side:藤真健司
悔しい。もしかしたら選手としてプレーをしてコートの上で負けを実感する以上に悔しいかもしれない。
けどこれを糧にして成長をしなければ、俺に託してくれた監督や先輩達に顔向けが出来ない。
顔を上げろ、前を向け、藤真健司。
さぁ、帰ってビデオを見返して反省だ。
そして一歩でも、半歩でも前に進め。成長しろ。
それが翔陽の明日に繋がるんだから……。
俺は流れる涙を腕で乱暴に拭うとゆっくりと歩き始めたのだった。
これで本日の投稿は終わりです。
それとしばらく投稿をお休みさせていただきます。
ガチでスランプで話が中々書けない状態に陥っています。
それに伴いメンタルもやられ気味です。
なのでちょっとお休みして気分をリフレッシュさせてください。
執筆再開は活動報告にて報告させていただきます。