本日の投稿は1話のみです。
side:三井寿
翔陽に勝利して迎えた2戦目の陵南戦は、終始俺達が優勢のまま勝利した。
陵南も不動のCである魚住を中心に奮闘したが、今の俺達と戦うにはハッキリ言ってオフェンスが物足りない。
だが陵南というチームの土台はしっかりしてきているので、田岡監督は来年の新戦力に期待ってところだろうな。
さて、俺達の試合の後に海南と翔陽の試合が始まったんだが、驚くことに試合が進むに連れて翔陽が優勢になっていっている。
その原因は翔陽の戦術にあった。
翔陽はオフェンス時には外を藤真一人に任せ、残り四人で徹底して中を固めた。
俺達との試合でやった戦術に藤真の3Pシュートという飛び道具を加えたこの戦術は、外がほとんどない海南との試合で大きな効果を発揮している。
翔陽は牧をなかなか止められないが2点なら良しと割り切り、バスケットカウントを取られない様に丁寧にディフェンスをする。そして攻守に渡って兼田さんを潰しに掛かった。
兼田さんも奮闘をしているが常にダブルチーム以上の人数を相手に苦戦をしている。
これは兼田さんが赤木より下なんじゃなく、二人の選手としての特性の差が出ているからだな。
最近の赤木はベビーフックを始めとして色々と技術を身に付けてきたが元々パワータイプのCだ。だからダブルチームがついても、ある程度はパワープレーで対応が出来る。
対して兼田さんは生粋のテクニックタイプのCだ。1対1でのゴール下争いは全国でも間違いなくトップクラスだが、ダブルチームに抗うには少々パワー不足なんだ。
それでもそれなりの確率でリバウンドを取れている兼田さんは流石と言える。けどこのままじゃジリ貧だな。
慣れないパワープレーの連続で兼田さんの消耗が早い。
「宮益がいればまた違ったんだろうが……」
「そうだね。宮益君がいればかなり楽になったと思う」
美和の相槌に頷く。
翔陽の作戦は海南に外が無いことを前提にしたものだ。
だからまだ3Pシュートの成功率がそれほど高くない宮益でも、コートにいるだけで十分に牽制になる。けど宮益はベンチ入りすらしていない。
「あるいは高砂を入れてダブルCに……いや、それは悪手か」
「高砂君はまだ経験が浅いからねぇ」
美和の言う通りに高砂は経験が浅い。
リバウンド争いをする分には兼田さんの助けになるだろうが、それ以外で兼田さんがフォローに回る分だけ消耗してしまう。
ならばいっそ今の自分のプレーに集中出来る状態の方がマシだ。
一応他の海南の選手が兼田さんのフォローにいこうとするんだが、慣れていないせいかどうしても翔陽のプレーに一歩遅れちまう。
兼田さんは全国でもトップクラスのCだ。ゴール下を任せられるだけの信頼がある。だからこそこういう展開を想定して練習をしておくべきなんだろうが…少なくとも、県内じゃそうする必要がなかった程に兼田さんの実力は飛び抜けていたんだろうな。
それにしても牧は流石だ。
兼田さんがリバウンド争いに苦戦することが影響して他の海南の選手がシュート成功率を落としている中で、ただ一人気を吐き続けているんだから。
牧がいなかったらこの試合は翔陽が圧倒してただろうよ。
だが……
「海南の粘りもここまでか」
試合残り5分のところでついに兼田さんの息が完全に上がってしまった。
慣れないパワープレーでここまで粘れたことは素直に称賛するが、それでも翔陽の執拗な潰しに抗いきることは出来なかった。
その後は兼田さんの代わりに高砂が出てきたが、高砂では翔陽を相手にするにはまだ色々と足りない。
試合の形勢は完全に翔陽に傾いた。
だがそんな中で勝利を諦めない牧が奮闘している。
牧のプレーを見ているとあるいはと思ってしまうが、強豪の翔陽もさるものでしっかりと勝ち方を心得ていた。
最後のワンプレーまで諦めず奮闘した牧だが届かず、試合は翔陽が勝利したのだった。
これで本日の投稿は終わりです。
また来週お会いしましょう。