side:牧紳一
兼田さんの仕掛けで後半早々に赤木を潰せたが、俺にとってはここからが本番だ。
ウインターカップはインターハイと違って全国に行けるのは基本的に1チームのみ。だからこそ俺達が全国に行くにはここで湘北に勝つのが最低条件だ。
タイムアウトが終わると湘北は予想通りに翔陽と同じ戦術を使ってきた。
翔陽に負けた後、今日まで俺達は少ない時間ながらこの戦術に対応するために練習をしたが、正直に言って完璧とは言い難い。高頭監督も今の対海南の戦術としてお手本と言える翔陽の戦術に頭を抱えた程だ。
現状出来る対応策として俺と兼田さんがバスケットカウントを貰うように攻めるのが最善なんだが、それでもやはり外が無いのがネックになっている。
来年には宮がユニフォームを着て外を補ってくれるだろうがな……。
さて、この試合俺達が勝つには今俺の目の前にいる男……三井をどうにかしなければならない。
3Pシュート能力は間違いなく日本一、そしてその他の能力も全国トップクラスだ。
俺個人としてはそんな三井との勝負は大歓迎だが、チームとしては厄介としか言いようがないだろう。
さて、どうしたものか?
実は前半の仕掛けていた時、俺は何度も三井からファールを貰おうとしたが、奴から取れたファールは1回だけだ。しかもその後直ぐにファールを取り返されている。
まだ慣れていないスタイルだが、こうも簡単に対応されると笑いそうになるぜ。
三井が仕掛けてきた……っ!?
「ちぃっ!」
1歩踏み出すフェイントを掛けてきた三井はその後にレッグスルー、そしてそのまま3Pシュートを撃ってきた。
俺は目一杯手を伸ばし跳んでブロックしようとしたがボールに触れられなかった。
振り返ってボールの行方を追うと、ボールはスウィッシュでリングに吸い込まれていった。
赤木が抜けた後の大事な立ち上がりで、こうも簡単に3Pシュートを決められるとはな。
いや、こういう場面でこそ力を発揮するのが三井なんだ。
俺が目を向けると三井は不敵に笑いやがった。
「……このやろう」
「赤木をベンチに下げられちまったからな。そのお返しでとりあえずは1本ってとこだ」
そう言って自陣に戻っていく三井の背中を見た俺は闘志を燃やすのだった。
◆
side:仙道彰
「おっ?いいな、あれ」
三井さんがやったレッグスルーからの3Pシュートに俺は感嘆の声を上げる。
「こうか?」
頭の中で動きをイメージしてみると、やはりいいと思えるプレーだ。
「よし、今のもらい」
帰ったら練習をしようと心に決めると、俺は頬杖をついて試合を眺める。
「……早く高校生になりたいな」
高いレベルで鎬を削り合う三井さんと牧さんを見た俺は、心の底から羨ましいと思ったのだった。
これで本日の投稿は終わりです。
また来週お会いしましょう。