side:赤木美和
ウインターカップは残念な結果に終わっちゃったけど、乙女としてはまだ大事なイベントが残っているわ。
12月も終盤、街中がイルミネーションで彩られている時期……そう!クリスマス!私は勝負をかけるわ!寿君に告白するの!
「う~ん……大丈夫かなぁ?」
「大丈夫!バッチリ決まってるよ美和お従姉ちゃん!」
晴子ちゃんの言葉にお母さんと叔母さんも笑顔で頷く。
「ほら!お兄ちゃんも何か言ってあげて!」
「うん?あぁ、近々壮行会代わりに翔陽との練習試合があるからな。あまり三井を連れ回して疲れさせるなよ」
「もう!お兄ちゃん!ちゃんと応援しないとダメだよ!」
剛憲の言う通りに近々翔陽の全国壮行会代わりに練習試合があるわ。
その練習試合は湘北、海南、陵南の合同チーム対翔陽で行われる予定よ。正に神奈川高校バスケ選抜とも言えるチームでの激励ね。
それはともかく……今日の告白を絶対に成功させなきゃ!
もう本当に最近は寿君のファンが増えきてるのよねぇ……。
ルックス良し、バスケの実力良しで同年代の女子受けは抜群。まぁ、剛憲や木暮君に倉石君もそれなりにモテてきているけど、寿君と比べたら周囲は静かなものだわ。
「それじゃ行ってくるわ!」
「行ってらっしゃい、美和お従姉ちゃん!」
「「頑張るのよ~」」
「……まだ1時間前だぞ」
晴子ちゃんにお母さんと叔母さんの激励を、そして呆れた様な剛憲の声を背に私は出陣をしたわ。
「……40分前、ちょっと早かったかな?」
そう思ったんだけど、寿君は5分後にやって来た。
「おう美和、待たせて悪かったな」
「そんなに待ってないよ。思ったよりもずっと早かったわ」
「母さんに最低でも30分前にいるのが礼儀とか言われて追い出されてな」
ほほう、お養母様からの援護と……これは是が非でも成功させなくちゃ!
「それじゃ、ちょっと早いけど行こっか」
「おう」
こうして始まった寿君とのクリスマスデート。周囲のカップルの雰囲気が私を後押ししてくれている気がするわ。
まぁ、立ち寄ったお店の女性従業員からは怨念を感じた気がするけど気のせいよね。うん、気のせいだわ。気にしたら負けよ。
長くも短く感じるクリスマスデートも終盤、私と寿君はファミレスに入って夕食を食べ始める。
「あっ、寿君。これプレゼント」
そう言って私は包装してある紙袋を渡す。
「開けていいか?」
「どうぞどうぞ」
私が用意したプレゼント、それは……。
「サポーター?」
そう、私が用意したのは膝用のサポーターなのだ。
「寿君の最後まで諦めない闘志と湘北の色ということで赤をチョイスしてみました」
「おぉ、いいじゃねぇか。ありがとな美和」
いえいえ、寿君のその笑顔がなによりのお礼ですとも。
……ハッ!?いけないいけない、幸せ過ぎて告白を忘れるところだったわ。
「美和、俺からもだ」
そう言って寿君が包装された紙袋を渡してくる。嬉しくて歓声を上げそうになるのをグッと堪えながら受け取る。
「開けていい?」
「おう」
ガサガサと紙袋を開けて中の物を取り出す。
「サポーター?」
「あぁ」
寿君からのプレゼントは足首用のピンクのサポーターだった。
「美和は今もたまに足首を気にしてるからな。色気が無いもんで悪いが……」
「ううん、すっごい嬉しい。ありがとう、寿君」
ちゃんと私の事を見て選んでくれたプレゼント。色気が無いのなんて関係ないと本気で思うぐらい嬉しい。
「寿君」
「うん?どうした?」
「好きです。付き合ってください」
気が付けば告白していた。
晴子ちゃん達と色々と考えた告白プランが全部すっ飛んじゃうぐらい好きって気持ちが溢れた結果って感じ。
まぁ、この方が私らしいからいっか。
「あ~……知ってると思うが俺はバスケ馬鹿だ」
「うん、知ってる。それも含めて寿君が好き」
「なんだ、その……ありがとよ。けどバスケを優先しちまうから、今日みたいなデートはあんまり出来ねぇぞ」
「大丈夫、バッチこい。バスケ見るのは大好きだから」
NBAオタクを舐めないで。バスケを見るのはむしろ大歓迎なんだから。
「……俺はアメリカの大学に行くぞ」
「私も行くから問題ないよ」
絶対に何が何でも寿君と同じ大学に行ってみせるわ。
「はぁ……ここまで覚悟を見せられて応えなきゃ男じゃねぇよなぁ……わかった、こんな俺でよけりゃよろしくな、美和」
「……やったーーー!!!」
歓喜の声を上げて立ち上がった私に、周囲のカップルから祝福の声が掛けられる。
まぁ、今日もお仕事な女性従業員からは舌打ちが聞こえた気がするけど……気のせいってことにしときましょ。
これで本日の投稿は終わりです。
また来週お会いしましょう。