三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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本日も1話の投稿です。


第67話『後輩』

side:三井寿

 

 

翔陽の壮行会兼練習試合は送り出す俺達にとっても実りあるものになった。

 

翔陽が全国用に用意していた各種戦術は俺達にバスケを深く考えさせてくれ、バスケがより一層楽しく感じられる様になったぜ。

 

それにしても仙道か……。

 

センスのある奴だが、今はそれほど怖い存在じゃねぇな。

 

スコアラーとしての能力はいいが、それ以外が年相応というか並みだった。

 

パスをしない、ディフェンスは出来るが上手いわけじゃない。その上パフォーマンスにムラがある。中学時代はそれでもよかったかもしれねぇが、高校バスケはそれで通用するほど甘くないぜ?

 

もっとも、その事は仙道自身が一番良く理解したみてぇだがな。

 

翔陽の壮行会兼練習試合が終わり冬の時期特有の基礎トレ三昧の日々を送っていると、時間はあっという間に過ぎていった。

 

ウインターカップの全国大会で翔陽は3位だった。準決勝で大阪の豊玉に負け、愛知の愛和学院ってとこに3位決定戦で勝った結果だな。

 

そして翔陽に勝った豊玉は決勝で山王に敗れた。王者山王は健在……いや、更に強くなっている感じだな。

 

さて、いよいよ新年度になり俺達も進級すると新入部員達がやって来た。

 

見知った中学の後輩もいればそうじゃないのもチラホラといる。去年まで弱小と呼ばれてたと考えればかなり多い新入部員数だ。女子マネも1人来たしな。

 

「宮城リョータです。ポジションはPG……」

 

宮城に安田、角田に潮崎、そして女子マネの中原彩子は既知感があるな。まぁ、それはいい。大事なのは今のこいつらがどれぐらいやれるかだ。

 

 

 

 

side:宮城リョータ

 

 

「三井さん、1on1お願いしていいですか?」

 

入部初日、練習が終わると俺は1つ上の先輩の三井さんに1on1を申し込んだ。

 

「宮城か、受験鈍りは大丈夫か?」

「それを解すのにもお願いしますよ」

「そうか、いいぜ」

 

中学MVP……それだけじゃなく既に高校バスケでもMVPを取っている三井さん。先ずは実際に体験してみないとな。

 

(先ずは小手調べってな)

 

そう思って始めた三井さんとの1on1だったが……。

 

「ほらどうした?フリーだぞ。撃たないのか?」

「くそっ!」

 

三井さんの指摘に乗ってミドルレンジでジャンプシュートを撃つが、ボールはリングに当たって弾かれる。

 

その後も1on1とは名ばかりの三井さんの指導が続き、俺は文字通り圧倒されて負けた。

 

「クイックネスとフェイクは悪くねぇが、その他諸々が課題だな」

 

そう言って去っていく三井さんの背中は背丈以上に大きく感じた。

 

「宮城、三井さんはどうだった?」

「ズマか……」

 

中学時代の三井さんの後輩だった同じ新入部員の東隆博(あずま たかひろ)が俺に声を掛けてくる。

 

「見てたろ?手も足も出なかった」

「その割には随分と楽しそうだったけどな?」

「バーカ、やってる最中は必死だったさ」

 

ズマに連れて同じ新入部員のヤス(安田)にカク(角田)、そしてシオ(潮崎)も俺の所にやって来る。

 

「リョータも凄かったけど、三井さんはもっと凄かったなぁ」

「流石は国体MVPって感じだったよ」

「ほら宮城、立てるか?」

 

シオの手を借りて立ち上がるが、受験鈍りの足がプルプルと震えてまた座り込みそうになる。

 

「まったく、無茶しちゃって。ほら、足を出して」

「あ、彩ちゃん……」

 

同じ新入部員で女子マネの彩ちゃん(中原彩子)が俺の足にエアーサロンパスを吹き掛けてくれる。

 

「それじゃ、後は頼んだわよ」

 

元々一目惚れしてたが、カッコいい彩ちゃんの姿にますます惚れ直す。

 

「よし、とりあえず邪魔にならないとこに移動すっか」

 

ズマの先導で端に寄り、先輩達の居残り練習を見学していく。

 

「……すげぇな」

「あぁ、湘北に来てよかった」

 

カクとシオの言葉にヤスとズマが頷く。俺はずっと三井さんの動きを追っていた。

 

(どうすれば三井さんを抜ける?)

 

背の低い俺にとってドリブルは生命線だ。そのドリブルが全くと言っていい程に通じなかった。

 

原因はわかってる。俺に中距離から遠距離の武器が無いからだ。

 

(後一歩……いや、半歩でいい。三井さんが距離を詰める様なシュート能力がないと話にならない。なら今後俺が取り組むべき練習は……)

 

中学時代からスピードには絶対の自信があった。それを活かすためにドリブルに加えてフェイクの練習もたっぷりやった。

 

けど、いざ高校バスケに来てみればあっさりと跳ね返された。

 

どこかで天狗になってたんだろうな。高校でも俺のバスケは通用するって。

 

「……燃えてきたぜ」

 

追いかける目標……その先輩達の背中を見ながら、俺は闘志を燃え上がらせるのだった。




☆新規キャラ紹介☆

・東隆博(あずま たかひろ):第1話で三井の隣に座っていた後輩君。ポジションはGだったが、三井のブザービーターに触発されて3Pシュートの猛練習を重ねSGにコンバートしている。


・宮城リョータ(みやぎ りょうた):原作主要キャラ。ポジションはPG。三井の指導で自分に足りないものを自覚。今後の成長が楽しみなキャラの一人。


・安田靖春(やすだ やすはる):原作においては三井襲撃の被害者の一人。三井の指導によってスーパーサブに成長するかも…?


・潮崎哲士(しおざき てつし):原作では宮城と三井の復帰、更に桜木の成長によって控えに回ってしまったキャラ。拙作三井の指導による成長に期待。


・角田悟(かくた さとる):原作では控えCをつとめていたキャラ。拙作では赤木が魔改造されてきているので原作同様控えに甘んじるかも……。


・中原彩子(なかはら あやこ):原作でも登場している女子マネ。原作者曰く名字は無いとのことですが、拙作では書きやすくするため中原性を付けました。


これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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