三井寿は諦めの悪い男   作:ネコガミ

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本日も1話の投稿です。


第69話『2年目の春の県大会開幕』

side:三井寿

 

 

2年目の春の県大会が始まった。

 

俺達湘北は今年はシードで2回戦から試合が始まる。

 

「では今日のスターティングメンバーです。C、猪狩君」

「はい!」

 

「SG、長谷君」

「はい!」

 

「G、毒島君」

「はい!」

 

「F、小堺君」

「はい!」

 

「そして最後にPG、安田君」

「は、はい!」

 

流石は安西先生。安田を抜擢するとは面白い采配だぜ。

 

選手個人の能力で見た時、安田は宮城には及ばない。だがチームとして見た場合は宮城よりも安田の方が魅力的な選手となる。

 

何故か?それは……2人の好むゲームメイクの仕方の違いだ。

 

宮城は自身の速さを活かすためかアップテンポなゲームメイクを好むんだが、これは長瀬さんのゲームメイクと被っているんだ。

 

対して安田はターンオーバーの30秒を目一杯使ったスローテンポなゲームメイクを好む。これが湘北というチームに戦術的に変化を与えてくれるんだ。

 

まぁ宮城がミドルシュートを身に付けたらそれでも安田を抑えて試合に出れるだろうが、試合で使えるレベルになるのは早くても夏以降だな。

 

「安田君、今日は君のデビュー戦です。ミスは皆が補ってくれます。ですのでのびのびとプレーをしてください」

「はい!」

 

「ヤス、この野郎。抜け駆けしやがって!」

「裏切り者には制裁を!」

「うわっ!止めろよリョータ、ズマ」

 

宮城と東が安田に絡んでいっている。安田のやつ、緊張でガチガチになるかと思いきや程よくリラックスしてるな。

 

見た目に反してといっちゃ悪いが思ったよりも度胸があるぜ。

 

 

 

 

side:安田靖春

 

 

まさかいきなりスタメンで試合に出れるなんて思わなかったな。

 

驚いて三井さんに聞いてみたら、俺のゲームメイクの仕方が湘北にとっていいものだかららしいけど。

 

「さぁ、始まるぞ」

 

そう言う猪狩さんに背中を張られた。いけないいけない。集中しないと。

 

試合が始まった。猪狩さんがジャンプボールを制するとボールが俺に来る。

 

ゆっくりと上がりながらどうするか考える。

 

(先ずは全員にボールに触ってもらおうか。余計なお世話かもしんないけどね)

 

立ち上がりの緊張を解してもらうためにボールを回す。

 

中にいる小堺さんにパスを出したらボールを貰いにいく。続いて外にいる長谷さんにパスを出したらまたボールを貰いにいく。

 

そして最後に毒島さんにパスを出したところでチラッと時計を確認した。

 

(ターンオーバーまで残り10秒。よしっ、いこう)

 

中に切り込みながら毒島さんにパスを要求。ゴール近くでパスを受け取ったら相手のCに対してシュートフェイクを1つ……よしっ、かかった!

 

相手のCが空中にいる間に猪狩さんにパスを出す。すると猪狩さんは豪快にダンクを決めた。

 

(猪狩さんがダンクか。珍しいな)

 

猪狩さんがダンクをするのは珍しくて少し驚いていると、猪狩さんはベンチにいる赤木さんを指差してアピールしていた。

 

「ははっ、本当に余計なお世話だったかも」

 

そう思ったその時……。

 

「ナイスだぞ安田。その調子で頼むぜ」

 

そう言って毒島さんがポンッと背中を軽く叩いてからディフェンスに戻っていく。

 

「次は俺にシュートを撃たせてくれよ」

「俺も忘れるなよ。3Pシュートを撃つ準備はいつでも出来てるからな」

 

小堺さんに長谷さんも毒島さんと同じように、俺の背中を軽く叩いてからディフェンスに戻っていく。

 

そんな先輩達の行動が俺に湘北の一員になったんだって実感を与えてくれる。

 

「……はいっ!」

 

俺はきっと今日という日を一生忘れない。湘北の一員になれた今日という日の事を……。




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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